yamiyuuto0606

たまに何か書きます。

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誰にも言ったことのない。

私には、推しの鉄塔がある。 私の自宅の裏手は山である。山沿いなせいでネット環境はどの会社もギリギリ圏外だし、ほんの数年前までは、自宅内でも携帯電話の電波が立つ部屋と立たない部屋があった。要は田舎なのだ。繁華街まで車で1時間という中途半端な田舎。 そんな田舎でも好きな風景がある。 田んぼが広がる平坦な土地に聳え立つ鉄塔。繋がれた線が山向こうに消えていく様は壮観である。私は、毎日この光景を目にしながら会社へ向かう。 ある日は鉄塔の向こうに澄み切った青空を見、夕方は鉄塔に遮

    • 「君と夏が、鉄塔の上」を読んで

      私の生家の隣には鉄塔が建っている。気付いた時にはその場所に佇んでいて、風景の一部としてすっかり溶け込んでしまっていた。ちなみに私は生家に住み続けている。つまり、人生の半分以上を鉄塔の隣で過ごしていることになる。だからきっと、この本を手に取るのは必然だったのだと、今は思う。 この本は、主人公の伊達成実が、同級生の帆月蒼唯、比奈山優とともに経験した一夏の冒険譚である。鉄塔好きの伊達と、幽霊が見えるという比奈山。「鉄塔にまつわる幽霊の話って知らない?」という帆月の言葉がきっかけで

    誰にも言ったことのない。