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「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」について


「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」は、平成13年4月に議員立法で提出され制定されました。その後平成16年、平成19年、平成25年に大きな改正を経て、閣議決定後第211回国会に内閣府・男女共同参画局の閣法として「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部改正法案」が提出され、内閣委員会で審議される予定です。
参議院浜田聡議員のお手伝いで、その改正内容と背景を調査し、私の疑問や感想などを投稿します。

今回の一部改正の背景の1つは、


DV相談件数の推移

皆さんはこのグラフを見て何を考えますか?
2020年令和2年4月以前と以降では約1.5倍「DV相談件数」が増えています。
2019年令和元年12月中国・武漢でCOVIT-19の新型コロナウィルスが発見され、瞬く間に全世界に広がり、日本でも令和2年2月には感染が確認され、子供の命を重視し故安倍元総理はいち早く臨時休校を決断しました。そして、4月には日本で初めて緊急事態宣言が発令した時期でもあります。 


内閣府・男女共同参画局「女性に対する暴力に関する専門調査会」の令和4年10月の配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループの報告書によると、近年相談件数が増加していると報告されてます。

配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループ 報告書



DV相談プラス事業における相談支援の分析 に係る調査研究事業P98
生活安全局資料
配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループ参考データー
配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループ参考データー

令和3年度前期「DV相談+(プラス)事業における相談支援の分析に係る調査研究事業」報告書には DV相談の半数以上(62.6%)を精神的DVが占めているとも報告されています。(精神的DVとは、大声で怒鳴ったり無視したり電話のチェックなどをする言葉や態度での暴力の事です。)

また、生活安全局のストーカー事案を見ると、警告や禁止命令等が増えています
「配偶者暴力に関する各種対応の状況」の緑の棒グラフは「警察本部長等の援助」で、平成28年は約21,000件であったものが、令和元年は約25,000件と近年増加しています。
「最近の保護命令の状況」を見ると、裁判所で受付した総数や接近禁止命令などの発令した件数が減少しています。
(※保護命令には警察と地方裁判所と二通りあります)

これらの事から、「昨今の現状をみると、センターへの相談件数や配偶者からの暴力事案等の検挙件数、警察本部長等の援助申出受理件数は、この5年間でいずれも増加している中で、保護命令の認容件数は一貫して減少しています。
ワーキング・グループにおいても、ストーカー規制法に基づく禁止命令の件数が配偶者暴力防止法に基づく保護命令の件数を上回ったことや、東京や大阪のような大都市圏での保護命令の認容(発令)件数が人口に対して少なく、減少していることから、裁判所の保護命令が現実の必要性に十分応えられていないのではないかとの指摘があった。」と報告されています。
つまり、「配偶者暴力に関する各種対応の状況」の図の左側の紫の棒にみられる様に、相談センターでは配偶者の暴力の相談が近年増へ警察の保護を受けているが、裁判所による接近禁止命令などの受付や命令がどんどん減っているので、裁判所での手続きや接近禁止令をもっと出しやすい様に制度を見直す必要があるのではという話のようです。 


報告書には地域ごとの裁判所からの保護命令件数の資料は見当たらなかったので、新聞記事を見つけました。
2022/11/24 08:40佐賀新聞の共同通信記事によると
「都道府県別に見ると、大都市圏で活用の低調さが目立つ。最高裁によると、19~21年に全国の裁判所が出した保護命令は計4,391件。国勢調査の人口に基づき、都道府県ごとの10万人当たりの3年間の発令数を算出すると、宮崎(10.9件)が最多で、沖縄(10.6件)、和歌山(10.0件)と続く。最少は愛知(0.7件)で神奈川(1.0件)、東京(1.2件)の順だった。佐賀は2.0件だった。」とありました。

11/24佐賀新聞

2022/12/14読売新聞記事には、

DV「殴られる方にも原因あるのでは」裁判所の保護命令が減っている 相談件数は増えているのに

2/23追加記入 裁判所の保護命令件数資料ありましたので追加しておきます。【令和2年】保護命令の種別ごとの認容(発令)件数(総数・地裁別


つまりワーキング・グループでは、都会では人口に対し相談者も保護した件数も少ない点から、相談所も人員も足りてないのではとみているようです




改正に向けての政府の議論

令和2年11 月に「男女共同参画会議第5次男女共同参画基本計画」が政府に答申され、新しい目標は、「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す。そのための通過点として、2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」とあります。

今国会に提出される「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」(以降「DV防止法の一部を改正する法律案」と呼びます)は政府の第5次男女共同参画基本計画を踏まえ議論されています。平成13年に初めてできた「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以降「DV防止法」と呼びます)は議員立法で制定され、数回改正されています。

今回改正時の議論として、以下の点で論点整理し議論されました。特に相談センターへの相談件数が増加し半分以上が精神的DVの相談であった事、同時に児童虐待が起きている事、ストーカーによる保護命令が多かったのに配偶者による暴力被害保護命令が年々少なくなっている事などから、ワーキング・グループでは以下のような見直しの論点整理が早くから行われました。

 つまり、男女共同参画は女性の人権擁護や差別撤廃を目的として作られ女性の活躍を目標としています。仕事と家庭を両立しながら出産育児をし、持続可能な社会を作る事が重要、その為に作られ改正する法律です。

配偶者暴力防止法の見直しに係る主な論点

1 通報の対象となる暴力の形態と保護命令の申立てが可能となる被害者の範囲の拡大について
(※児童福祉法等の一部改正法附則における検討事項)
【論点】
通報の対象となる暴力や保護命令の申立てが可能となる被害者として、精神的暴力や性的暴力、その被害者を対象とするには、どのような基準でその判断を行うべきか。

2 通報や保護命令の在り方について
【論点①】
保護命令が発令される「生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい」ときの規定ぶりを変更すべきか。
【論点②】
保護命令制度において、新たな命令制度や暫定的な命令を創設すべきか。
・新たな命令制度や暫定的な命令を創設する場合、どのような内容の命令が考えられるか。
・暫定的な命令を創設する場合、その要件や申立てにあたって必要な疎明資料等の手続きについてはどのように考えられるか。また、命令主体や不服申し立て制度をどのように設定すべきか。
・保護命令制度において強制力のある加害者プログラムを実施するとしたら、どのような改正が考えられるか(受講しない者に罰則を科す等)。その際、裁判で有罪が確定していない者に対して、加害者プログラムの受講を強制することに問題はないか。(「3加害者更生のための指導及び支援の在り方について」に再掲)
・ストーカー規制法の改正を踏まえて、SNSでのつきまとい、GPS等を使用して位置情報を把握することやそれを告げることを禁止行為に追加するべきか。
【論点③】
・保護命令違反の罰則を加重すべきか。
・接近禁止命令の命令期間を拡大し、延長を可能とする制度に変更すべきか。

3 加害者更生のための指導及び支援の在り方について
(※児童福祉法等の一部改正法附則における検討事項)
【論点】
・現行法に基づき、試行的に加害者プログラムを実施し、地方自治体で活用可能なガイドラインを策定することとしているが、現時点で規定ぶりを見直すべきか、今後、加害者プログラムの検討状況を踏まえ、見直しを行うべきか。
・保護命令制度において強制力のある加害者プログラムを実施するとしたら、どのような改正が考えられるか(受講しない者に罰則を科す等)。その際、裁判で有罪が確定していない者に対して、加害者プログラムの受講を強制することに問題はないか。(再掲)

4DV対応と児童虐待対応の連携について
【論点①】
・DV対応と児童虐待対応の情報共有の在り方について、新たな規定を設けるべきか。
・新たな規定を設けるとしたら、どのような規定が必要と考えられるか。
【論点②】
・子供について、接近禁止命令の対象として措置されているが、それ以外に「被害者」として位置づけていくべきか。
・位置づけていく場合、法律上見直しが必要なのはどのような点か。

5 逃げないDV対応について
【論点】
DV被害者が逃げずに安全確保できる選択肢として、退去命令期間を現行の2月から6月や1年に延長すべきか。

6 その他
【論点①】
交際相手からの暴力(いわゆるデートDV)について法制度に組み入れるべきか。
【論点②】
司法機関が一時保護の開始を判断する審査の仕組みを導入すべきか。
司法機関が開始を判断する仕組みは、利用を躊躇させることにつながらないか。

 特にワーキング・グループで活発な議論になったのは、
「2 通報や保護命令の在り方について【論点①】」で、
「精神的暴力等を含める場合には、一般の夫婦間でも生じ得るもの全てをDVとした上で保護命令を発令することは正当化できない。精神的暴力や性的暴力を保護対象とした場合であっても、保護対象が刑事罰を伴う制度であることに鑑みれば、「重大性」の要件は維持する必要がある。法定刑を2年に加重するに当たっても、重大性の要件が必要」という部分です。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」での保護命令は、配偶者からさらに暴力や脅迫を防ぐために地方裁判所が出す命令です。生命等に対する脅迫以外の精神的な攻撃もDVですが、現行では保護命令の対象ではありません。
また、警察が所管するストーカー規制法ではストーカーと禁止命令違反の罰則について「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に令和3年に引き上げられました。
その経緯から、DV相談の半数以上(62.6%)を精神的DVが占め、心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすことから「保護命令の強化」が必要と判断し、改正に向け接近禁止命令等に精神的DVを加え期間を6か月から1年に延長し、接近禁止命令違反した場合の刑事罰を2年以下に延長し過料を100万円以下から200万円以下に拡大しています。



「DV防止法」とこれまでの改正の内容

2001年平成13年4月13日「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」成立・施行
配偶者等からの暴力=DVに係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者等からの暴力の防止および被害者の保護を図ることを目的とする法律。(議員立法)

2002年平成14年4月1日 配偶者暴力相談支援センターに関する規定が施行

2004年平成16年6月に改正
・DVの定義を、精神的暴力を含むものに拡大、離婚後・婚姻取消後に引き続き受ける身体に対する暴力を対象に追加
・加害者が被害者とともに生活の本拠としている住居の周辺をはいかいする行為の禁止を退去命令の対象に追加
・子に対する接近の禁止命令・再度の申立ての制度を追加

2007年平成19年7月11に改正
生命又は身体を加害する脅迫を受けた被害者を保護命令の申立ての対象に追加
加害者に対し保護命令の効力が生じた日から六月間つきまとい行為をしてはならない命令をする制度を追加
被害者の親族等の住所等においてその親族等の身辺につきまとい、又はその親族が通常所在する場所の付近をはいかいしてはならない命令をする制度を追加

2013年平成25年6月26日「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律」成立。
改正によって、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその被害者についても、配偶者からの暴力及びその被害者に準じて、法の適用対象とされることとなります。
法律名が「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に改められます。
背景:交際相手からの暴力が社会的に問題となっており、被害者やその親族が加害者によって殺害されるという事件が生じています。

2019年令和元年6月19日配偶者暴力防止法の一部改正を含む「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」が成立。
改正によって、児童虐待防止対策及び配偶者からの暴力の被害者の保護対策の強化を図るため、児童虐待と密接な関連があるとされるDVの被害者の適切な保護が行われるよう、相互に連携・協力すべき関係機関として児童相談所が法文上明確化。また、その保護の適用対象として被害者の同伴家族が含まれることも明確になります。


 2023年令和5年2月改正予定の内容
男女共同参画社会基本法に基づき、内閣府に「男女共同参画会議」(議長は内閣官房長官)が置かれ、男女共同参画会議では「女性に対する暴力に関する専門調査会」を設置し、夫・パートナーからの暴力を含む女性に対する暴力に関する問題全般について調査審議を行っています
その専門調査会から提出されている資料
「DV対策の抜本的強化に向けて 概要」
「配偶者暴力防止防止法の改正に向けて」です。

以下の3枚は「男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会(第121回)の資料で、法改正の内容が書いてあり、閣議決定される直近の令和5年1⽉18⽇の資料になります。

 

 今回の改正ポイントを新聞記事からみてみました
2022/12/14読売新聞
「担当裁判官の裁量で変わる可能性。
人口比の命令が2.8件で全国5番目に多い宮崎県では、DVの内容を詳しく聞き、申請書類の書き方を丁寧に教えている。
名古屋市は保護命令に頼らず、市のDV担当は「弁護士に代理人になってもらい、その受任通知を加害者に送るなどの対応相談窓口は全国に約1300カ所あるが、保護命令の申請の仕方まで支援できる窓口となると、人口の割に都市部は少ないかもしれない。『支援力の差』が現れているのだろう」と指摘。

 2022/11/24佐賀新聞(共同)の記事によると、
・都道県別で人口当たりの発令数が大きく異なり活用の地域差顕著
制度が使いづらく、自治体の活用サポート体制拡充
身体的暴力のみ、申し立てから発令まで12日かかる
大都市では民間団体や弁護士の支援が受けやすく保護命令が少なかった

2023/2/17ライブドア プレジデントオンラインの記事
ストーカー被害はどうすればなくせるのか。
筑波大学の原田隆之教授は「福岡で起きたストーカー殺人事件では、被告に接見禁止命令が出ていたにもかかわらず、最悪の結末を迎えてしまった。現行制度での対処には限界があり、ストーカー行為の背景にある心理学的要因に目を向ける必要がある」という――。」
事件では、被害者が何度も警察に相談をし、警察は禁止命令を出すなど、現在の制度のなかではできる限りの対処がなされていた。
海外の研究を見ると、大多数のストーカー行為は、2週間以内で収束することがわかっている。しかし、それを超えても収まらないときは、数カ月以上の長期間に及ぶことがある。そして、暴力的なストーカーは、全体の25~35%で程度であることが示されている。
見出された重要なリスクファクター
精神病患者がストーカー行為を含む犯罪行為に至ることはきわめてまれである。
今回の警察の対応において、「精神病が認められなかったからカウンセリングにつなげなかった」のは間違いである。精神病ではなかったからこそ、そしてリスクファクターが多数認められる可能性があるからこそ、カウンセリングなど専門家にゆだねるべきであったのだと言える。
「最適な介入を行うためには、最低限、精神医学的および心理学的要素を含む学際的なアプローチが必要」
「専門家が標準化されたリスク評価ツールを用いて加害者のリスクを評価することが重要である」
このような海外での先駆的取り組みを見て、現時点での私の提言は以下の4つである。
1.ストーカーを含む性犯罪や粗暴犯罪の専門家を早急に育成する
2.わが国で使用可能なリスクアセスメントのツールや治療プログラムを開発する
3.専門的な治療機関を設立し、関連機関との協働のうえで、リスクの高いストーカーの治療に当たる
4.ストーカーの予防や治療に関する研究を充実させる

 



私の感想と気付き

1・民間団体と補助金について


ワーキング・グループの報告書の中で1つ気になったのが「民間団体」という言葉。
昨年からSNSでColabo問題が賑わっていますが、東京都の一般男性が東京都福祉保健局に住民監査請求し再調査になったあの問題の「若年被害女性等支援事業」が、この法律改正で厚労省の資料として提出されました。政府の行政事業レビューにはたった1行の事業の名前が書いてあっただけで詳細が全く分からず、評価も不明です。
少なくとも東京で行われている状況を見ると効果があったかなかったのか解らないのに、資料には「拡充」とあります。そもそも、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」があるのに年々相談件数や接近禁止命令が増え暴力の内容が陰湿になっているのに、法律の効果はあったの?

東京都が委託した民間団体や関係者は、男女共同参画局の提出した複数の法案にも深くかかわっているのですが、今回のこの改正法の規制の事前評価はされているのだろうかと気になる所です?

 

また、昨年議員立法で提出され成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の厚労省の有識者名簿や基本方針の策定された名簿に見られたNPO法人や戒能民江氏やNPO法人BONDプロジェクトが、今回の「DV防止法の一部改正法案」に関する構成員の名簿に見られます。

 

ワーキング・グループ報告書から
P5「これらの状況を受け、男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(以下「専門調査会」という。)において、令和2年2月から令和3年2月にかけて8回にわたり、学識経験者、地方公共団体、民間団体、関係省庁等からそれぞれのDV対策に係る取組や課題等についてヒアリングを実施するなどして議論を重ね、令和3年3月に報告書「DV対策の今後の在り方」が取りまとめられた。」

3) 加害者更生のための指導及び支援の在り方について
WG報告書P24「<素案(中間報告)における対応案>
加害者プログラムについては、令和3年度内に地方公共団体で活用可能な基礎的なガイドラインを策定し、令和4年度には、それを踏まえた上で、地方公共団体において民間団体と連携し、加害者プログラムの試行実施を行い、本格実施に向けたガイドライン等を策定する。令和5年度以降、全国的な実施に向けて、地方公共団体における本格実施に向けたガイドライン等を活用した実施状況を踏まえ、加害者プログラムの受講の在り方、全国での加害者プログラム実施体制の在り方について検討を行う。」

 

平成31年2月1 日 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)にて、「DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会の開催について」第1回目が開催され、「DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援のあり方に関する検討会について」(戒能構成員提出資料)が政府から提出。
3月12日の2回目の会議では、NPO 法人全国女性シェルターネット NPO法人 DV防止ながさき NPO法人女性ネットSaya-Saya の民間団体が意見を提出している。
趣旨: DV等の被害者の一時保護や相談、自立に向けた支援等を行う民間シェルターが置かれている厳しい状況(脆弱な人的・物的・財政的基盤、関係機関との連携不足、情報不足、安全性・秘匿性等)に鑑み、民間シェルター等の抱える課題を整理するとともに、民間シェルター等に対する支援の在り方について検討を行うため。

 この法案改正の直近の有識者会議で、厚労省の取り組みとして若年被害女性支援事業(拡充)としているとして提出「資料2-4」
さらに、厚労省の事業から補助金を受け法案作成に深くかかわった「特定非営利活動法人全国女性シェルターネット」のジャジットによる厚労省の補助金の資料を添付ました。

非営利法人って、ボランティアでは無いのですね。営利目的にボランティア経営をしている法人だと思いました。

女性に対する暴力に関する専門調査会121回厚労省資料
政府の事業が検索できるサイト

2・男性の相談所が殆ど無いのは何故?

 配偶者からの暴力を受けているのは女性だけではなくて、老若男女すべての人があり得る。
男性も子供もお爺さんもお婆さんも被害者になりえます。地元の市や県の自治体に状況を聞いても、男性専門の相談場所は見かけない。相談場所はあるようだが男女共同参画関係のサイトの中で殆ど気づかないように書いてあるし、実際も相談する方も殆どいないような感じがした。男性の相談員もいるのかいないのか、ましてや公的なシェルターなど聞いた事もない。

 内閣府男女共同参画局で行う3年毎のアンケートによると、配偶者からの暴力を経験した男性は18.4%女性25.9%。
相談した人は男性31.5%女性53.7%、男性で暴力を受け相談する人は22.2%少ない。これは世間体や時間的なものもあると思うが相談場所を知らなかったり見つからなかったりするからではないだろうか?
被害を受けた後の行動も、子供の育児を考えると女性よりも躊躇するのかもしれない。
特に、男性の「相談しても無駄だと思った」や「他人を巻き込みたくなかった」という理由が相談件数を少なくしている原因の1つの様に思う。

アンケートの説明:「男女間における暴力に関する調査:報告書男女間を取り巻く環境の変化に応じた被害傾向の変化等に適切に対応するため、これまで、平成11年度、平成14 年度、平成17 年度、平成20 年度、平成23 年度、平成26 年度及び平成29 年度に、全国20 歳以上の男女5,000 人(平成17 年度以前は4,500 人)を対象に、無作為抽出によるアンケート調査を実施している。」

男女間における暴力に関する調査
男女間における暴力に関する調査
男女間における暴力に関する調査
男女間における暴力に関する調査



追加資料:男性の相談内容令和3年度後期 DV相談プラス事業における相談支援の分析 に係る調査研究事業P56あたり
(男性からの相談) 



立憲民主党のサイトにあった「男性の2.5倍
立憲民主党のサイトにあった「男性の2.5倍

立憲民主党のサイトに女性が配偶者や交際相手に殺された割合は男性の2.5倍の絵がありました。2020年の殺人で検挙された事件の中で、女性が配偶者(内縁関係含む)に殺される割合は男性の2.1倍です。交際相手を含めた場合、じつに男性の2.5倍になるそうです。

 衆議院自民党杉田水脈議員のFBにも投稿があり
『DVの相談の20%は男性。殺人事件に至っては被害者の40%は男性である。男性の為の保護施設等はあるのか?」と質問しました。また、他の出席議員から「この法律の前文に『配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。
このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。』と、あるが、そもそもDVは女性が被害者とは限らない。前文を変えるつもりはないのか?」との意見が出ました。内閣府からは「前文を変えることはしない」との答弁でしたが、この改正法案はこれからも注視していきたいと思います。』

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律


 以上の点から、男性のDVにあった人数や男性の相談に行かない人の人数と理由を考えると、男女平等と謳いながら女性ばかり優遇されているのではないか、男女とも積極的に問題解決が出来るような科学的なプログラムに沿った相談ができていたら酷いトラウマになる事も少なかっただろうし、女性への人権侵害も殺人も、もっと少なかったのではと思うのです。
加害者の相談の事例が沢山あれば理由や原因がわかり、加害者の責任の取り方も明確になり、学校教育で何をすべきかも明らかになったのではないでしょうか? 


資料のアンケートの中身を素直に見れば解ると思うのですが、政府は何故前文を変えなかったのでしょうか?

 世界中がパンデミックに陥る程の大災害で、コロナ禍の緊急事態宣言や自宅勤務や休校、営業自粛や外出自粛、失業、さらにマスクやワクチンなど次々と経験した事が無い事ばかりが起こりました。この状況で日本国民は冷静に行動していたし、少子高齢化で海外に比べれば政府はそれなりにうまく対応したと思っています。

気になるのは、日本特有の狭い居住空間で、周りに配慮しながら生活する人達の逃げ場のない精神状態はどんなであっただろうと想像してしまいます。地方でのDVによる殺人事件はあまり聞かないように思いますが、DVによる配偶者殺人での地域性や居住条件、就業タイプなどの因果関係はあるのか、データーで知りたく思いました。
それと、国民の殆どが日本全国で夏でもマスクをしてマラソンしたり自転車で移動したりしていました。この従順ぶりは何処から来るのでしょう?私は電車でも散歩でもノーマスクで、言われたらマスクをするようにしました。外でマスクする事は殆どありませんでした。


既に男女行動参画局の有識者によって加害者プログラム等の準備が進められているようです。
「困難女性支援法」での基本方針パブコメ資料を読むと、支援調整会議で議論される内容の重要性及び会議構成員の任命基準に関する不透明性、また支援内容等や本人の情報が秘密で基礎的な情報公開請求も受け付けない所に不信感があり、同じメンバーがいるこの法案の基本方針もシェルターや支援内容等の部分で秘密性が高く基礎的な情報開示もされないのか注視する必要があると危惧しています。


3・男女共同参画局の誕生と外圧?


なぜ男性の為の相談所やシェルターが少ないのか、なぜ法案の前文が変わらないのか、考えました。
男女共同参画局は何の為に出来たのでしょう?
1980年昭和55年7月コペンハーゲン(デンマーク)で「国際婦人の10年」中間年世界会議が開催 「国連婦人の10年後半期行動プログラム」が採択。我が国は高橋展子在デンマーク特命全権大使(注:女性で初めての大使) を首席代表とし、超党派8人の国会議員も顧問団として参加。

昭和60年6月1日「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇を確保するための労働省関係法律の整備等に関する法律」が提出(H9年名称変更 男女雇用機会均等法

1987年昭和62年に日本は「『国連婦人の十年』ナイロビ世界会議」において採択。女子差別撤廃条約の批准

 1991年平成3年には、国連経済社会理事会において採択された「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略」を受けて、新国内行動計画を「西暦2000年に向けての新国内行動計画」へと改定。
西暦2000年までに男女の平 等参加を達成するため、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標

1992年平成4年12月の宮澤喜一内閣改造内閣で、河野洋平内閣官房長官に対して、「婦人問題を総合的に推進する ため行政各部の所管する事務の調整を担当させる」旨発令があり、我が国で初めていわゆる婦人問題担当大臣が置かれた。

1993年平成5年6月、ウイーンで開催された世界人権会議では、女性に対する暴力は人権問題と位置付けられ、「ウイーン宣 言及び行動計画」で、公的及び私的な生活における女性に対する暴力の撤廃が示された。

1993年平成5年の第48回国連総会では、同年の第37回婦人の地位委員会における審議を踏まえ、「女性に対する暴力 の撤廃に関する宣言」を採択した。

1994年平成6年には、国内本部機構の充実強化を図るため、婦人問題企画推進本部を改組し、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官・女性問題担当大臣(男女共同参画担当大臣)を副本部長とし、全閣僚を構成員とする男女共同参画推進本部を設置、内閣総理大臣の諮問機関として男女共同参画審議会を設置

 平成7年9月北京で第4回世界女性会議「北京宣言及び行動綱領」

平成8年7月男女共同参画審議会答申「男女共同参画ビジョン」

平成8年12月には、男女共同参画推進本部は、男女共同参画社会の形成の促進に関する新たな行動計画である「男女共同参画2000年プラン-男女共同参画社会の形成の促進に関する平成12年(西暦2000年)度までの国内行動計画-」策定。
ジェンダーフリー「ジェンダー」からの解放

平成8年7月に答申されたビジョンの第2部「男女共同参画社会への取組」で、「女性に対する暴力の撤廃」に関して「売買春に関する諸問題を、女性の人権の保障、男女共同参画社会の実現という新たな観点に立って検討するため、当審議会と売春対策審議会の関係のあり方を含め、これらの問題を審議する体制の見直しを進めるべきである」と提言。

平成10年11月に男女共同参画審議会は、内閣総理大臣からの諮問を受け「男女共同参画社会基本法について」の答申
政府は、この答申を踏まえて男女共同参画社会基本法案を作成
平成11年6月、男女共同参画社会基本法が公布・施行。

 平成12 年12月5日に改造された第2次森喜朗内閣改造内閣は、平成13年1月6日に中央省庁再編を迎えたが、この時に内閣官房長官が内閣府設置法第9条に基づく特命担当大臣である「男女共同参画担当大臣」に任命され、内閣府に男女共同参画局が出来、現在に至っている。

 2021令和3年6月2日(水)夜、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)主催のThe Jobs Reset Summit(JRS)のセッションに、丸川大臣がテレビ会議形式にて登壇丸川大臣:テーマ「ニューエコノミーにおけるジェンダー平等の加速」

2022年9月7日(水)、APEC「女性と経済フォーラム」が対面及びテレビ会議開催。日本からは、小倉將信女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)がタイ(バンコク)にて登壇。「女性の経済的自立の確立(Ensuring Women’s Economic Empowerment)」がテーマ。

2022年12月3日、東京において、日本政府主催国際女性会議WAW!2022を開催 森まさこ内閣総理大臣補佐官(女性活躍担当)(モデレーター)。


男女共同参画に関する国際的な指数には、GGIジェンダーギャップ指数 GDIジェンダー開発指数 GIIジェンダー不平等指数 の3つがある様です。
日本は3つの中でジェンダーギャップ指数が低く、特に政治・経済の参画が極端に低すぎ、「国会議員の男女比」や「管理的職業従事者の男女比」を問題視されています。


2023年6月24日~25日本においてG7男女共同参画・ 女性活躍担当大臣会合が栃木県日光市で開かれる予定です。外国の取組のスピードはより速く、世界経済フォーラムが発表している最新の「ジェンダーギャップ指数」(2021年3月発表)において、日本は156カ国中120位、国際的に遅れをとっていると言われています。


参議院常任委員会調査室・特別調査室
ジェンダー平等の実現に向けて -課題となる経済・政治分野における男女共同参画の推進
世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2022」を公表
内閣府男女共同参画局総務課


GII ジェンダー不平等指数


日本は外圧によって何度も変化してきた歴史があります。
1990年の湾岸戦争で自衛隊を戦場に多国籍軍として送らず135億ドルの財政支援をしたにも関わらず「小切手外交」と批判されました。その後日本は世界貢献としてODAを平和外交として活用し、国連に環境分野の援助を積極的に行い、エコだからと議論もつきて無いのに、効果の検証も無く遂にG20であの「レジ袋有料化」を発表してしまった経緯もあります。
何時だって日本は国連やアメリカの圧力で、有意義な議論をせずに決めてきたのではないでしょうか?

米国国務省 Human Rights
2021年国別人権報告書―日本に関する部分


90年の湾岸危機、ブッシュ米大統領が自衛隊派遣を事実上要求…外交文書公開2021 : 読売新聞オンライン
 レジ袋「20年4月にも有料化」経産相、G20会合で意向

2023年2月20日岸田総理は「LGBT理解増進法」の議員立法準備を指示しました。この法案は自民党議員による議員立法案で、特に内容に問題は無かったようですが、一部の自民党議員に反対されて出せませんでした。先日岸田政権の秘書官の差別発言と思われる記事が出され、打消しの為の法案準備指示だとも言われています。

DV防止法の一部改正法案は閣法として2月下旬に提出され、「内閣委員会」にて担当大臣は小倉将信大臣で審議予定となっています。
小倉大臣は内閣府特命担当大臣(こども政策、少子化対策、共生社会、男女共同参画、女性活躍、孤独・孤立対策等)で、G7男女共同参画会議はジェンダー主流化の新しい視点で経済成長しましょうという話の様です。

つまり、この様な流れで男女共同参画局が出来、女性の人権と地位向上の為に法律が作られ更新され、その法律の1つが、DV防止法の一部を改正する法律案です。
そして、杉田水脈議員がFBで述べていた法律の前文が変えられない理由なのでしょう。



そして、最後に男女共同参画局は何故出来たのでしょう?

2001年平成13年の省庁再編の目的は、縦割り行政の弊害をなくし、内閣機能の強化、事務・事業の減量・効率化が目的とされ、1府12省庁になり、内閣官房に男女共同参画局が出来ました。大蔵省から財務省に名前が変わったのもこの時だそうです。

しかし、よく見ると縦割り行政も、事務や事業の削減・効率化も見られず、厚労省は巨大化しすぎ、経産省は天下り、文科省は児童・生徒の不登校やいじめ問題や学力低下、官僚の働き方も改善せずデジタル化も遅れ、経済は失われた30年になりました。依然として経済大国・先進国と言われてますが賃金は何十年も上がらず社会保障費の社会保険料や消費税が上がり、今や国民負担率は約50%。若者の貯蓄率は低くその日暮らしの若者は珍しくありません。
正直、再編して何が良くなったのか解りません。

財務省令和5年度(見通し) 48.1%

2001年の頃の大綱を見ると、当時は少子高齢化が強く問題視され、女性の高学歴晩婚化、バブル後の失業、核家族化が進み子育て環境にも変化が見られ、持続可能な社会を維持する為には国家によってワーク・オブ・バランスの家庭と仕事の両立を後押しすることで高齢化を乗り切ろうという姿勢が見えます。まるで社会主義のような考え方です。

戦前は家族全員で子育てし、戦後は産めよ育てよで男性は外で働き女性は家で子育てする形が一般的でしたが、経済が衰退すると同時に、人権と差別のない社会やジェンダーが叫ばれ、結婚しない、子供産まない人達が現れてきたり、経済状態から子供の数を制限する夫婦も多くなってきました。

そこで政府は女性に子供を産み育てられる環境を用意する為に男女共同参画局を作ったとも考えます。


しかし、政府の目的や目標とはかけ離れ、少子化は加速し、経済は衰退し、効果が判らない無駄とも思える政策がいくつもあるように思えます。毎日規制は増え続け、社会は規制のチラシや文言であふれ、意味のない注意書きであふれ、閉塞感でいっぱいです。

総務省許認可等の統一的把握の 結果について



それらに使われている税金を減税し事務や事業の効率化をはかり、国民の可処分所得を多くすれば貯蓄や投資に回し、生活も経済も潤い、子供を沢山産み育てる人も多くなり、人口は増え少子化問題は解決するのでは?

また、政府の重要政策の「くらし」の中には子どもや女性の記載はあっても、独身や子供を産み育てない人達の多様で自由な生き方の文言は見当たらず、全体的に「自由」の考え方が薄れているように思います。
これでは若い男性は迷子になってしまいます。そして昨年は移住超過だそうですが、能力の高い若い男性たちは日本から逃げ出さずにはおれなくなってしまうのではと、危惧しています。

 

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 ※参考資料は整理追加します。
 もし誤字脱字、事実と違う箇所あったら訂正します。
20230223修正:キャプション入力 参考資料訂正等 DV防止法に変更
追加・訂正:
・DV防止法での基本方針パブコメ資料を読むと、
  →
困難女性支援法での基本方針パブコメ資料を読むと、
・同じメンバーがいるこの法案の基礎方針もシェルターや
 →同じメンバーがいるこの法案の基本方針もシェルターや
・追加資料:男性の相談内容令和3年度後期 DV相談プラス事業における相談支援の分析 に係る調査研究事業P56あたり
(男性からの相談)

・2/23追加記入 裁判所の保護命令件数資料あり
【令和2年】保護命令の種別ごとの認容(発令)件数(総数・地裁別)

・追加資料:加害者プログラムの在り方について

・追加:レジ袋「20年4月にも有料化」経産相、G20会合で意向 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46148780V10C19A6MM0000/
・90年の湾岸危機、ブッシュ米大統領が自衛隊派遣を事実上要求…外交文書公開2021 : 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211222-OYT1T50094/

総務省許認可等の統一的把握の 結果について
参議院常任委員会調査室・特別調査室
ジェンダー平等の実現に向けて -課題となる経済・政治分野における男女共同参画の推進


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