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どこか一つの蔵だけが、売上を伸ばしてもダメなんです。みんなで教え合って、「福岡の酒」を盛り上げていかないと。
令和4年福岡国税局主催酒類鑑評会・純米酒の部において、大賞を受賞した「玉出泉 純米酒」。造っているのは、筑紫野市で300年以上続く、福岡県で最も古い酒蔵「大賀酒造」です。大賀酒造が目指す日本酒とは?13代目蔵元・大賀信一郎さんに、お話をうかがいました。
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目指しているのは「飲み飽きしない酒」
取材当日、大賀酒造を訪ねると、大賀さんが笑顔で迎えてくださいました。販売店舗を兼ねた広々としたオフィスには、酒類鑑評会の表彰状がズラリと並んでいます。「10年ほど前までは、鑑評会で金賞なんてとれなかったですよ」と大賀さん。早速、どんなお酒を造っているのか聞いてみました。
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「大賀酒造では、『飲み飽きしない酒』を目指しています。香りが華やかで味わい豊かなお酒は、1杯目は本当においしい。でも、2杯、3杯と飲んでいるとだんだん重たくなってきませんか?」
たしかに、そういったお酒は、何杯か飲むと重たくなってくることがあります。
「『長く飲める酒を造れ』と、代々受け継がれてきました。その教えを守り、いつの間にか盃が進んでしまうようなすっきりとしたお酒を造っています」
江戸時代に庄屋のまとめ役をしていた大賀家には、地域の米が集まります。敷地内には宝満山の伏流水が湧く井戸があり、裏手を通る川から船で運搬ができるなどの条件に恵まれていたことから、酒造りが始まりました。
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「代表銘柄の玉出泉は、『良い水が出る場所』という意味なんです。私が小学生の頃の話ですが、他所の水を飲んだとき『おいしくないな』と感じたことを、今でもはっきりと憶えています。ここは水に恵まれた場所なんですよ」
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そんな大賀酒造ですが、コロナの影響はやはり大きかったそうです。「売上が一時期4割減になって、それはもう大変でした。2019年〜2020年にかけては、中国への輸出が増える予定だったので、増産体制を整えていました。そんな時、コロナ禍で中国がロックダウンし、輸出も無くなってしまって。国内も宴会や結婚式などが無くなって、注文が激減しました。結婚式場には樽酒を年間で100樽ほど入れていましたが、2020年は10分の1に減りました」と大賀さん。この頃は、従業員の給料をどうやって出そうかと、毎日お金のことばかり考えていたそうです。「おかげさまで、鑑評会で大賞をいただくなど、全社一丸となって取り組んできことで、2022年になって、ようやく全盛期の9割まで戻ってきました」
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経営者として多忙な日々をおくる大賀さんの趣味は、ソロキャンプ。「一人でボーっとするのがいいんですよ」。自然にふれて時間を忘れることでリフレッシュしているそうです。
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同じように造っても、同じものができないのが酒造り
酒造りの難しいところってどんなところですか? と聞いてみると、「それは、自然が相手だというところです」とピシリ。「先代杜氏からは、『酒造りは毎年1年生。米も気候も毎年違う。いくら経験があっても、そういう気持ちでやらないと間違えるぞ』と、よく言われていました」
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全国新酒鑑評会で初めて金賞を受賞したのは2011年のこと。それまではなかなか受賞できず、苦悩の日々が続いたそうです。そんな時、ある蔵の杜氏に「どうしたら、受賞できるだろうか」と相談すると、「これを持っていけ」と渡されたのが、酒造りの詳細な記録でした。天候によって変わる米の浸漬時間や醪経過のタイミングなど、酒造りに必要なことが細部に渡るまで書かれた、いわば「酒造りの設計図」だったのです。
「これには、驚きましたね。でも、『造れるものなら、造ってみろ』と言われているような気がしました。『この通りに造っても、違う酒ができるぞ』と。酒造りとは、そういうものなのです」
だからこそ、横のつながりが大事だとういう大賀さん。先行して新酒をつくりはじめている蔵に新米の出来を聞いたり、うまくいかないことを他所の蔵に相談したりと、蔵同士で情報共有をしながら支え合っています。
「どこか一つの蔵だけが、売上を伸ばしてもダメなんです。他県に行ったら、『福岡の酒』という括りで話をされますから。だから、みんなで教え合って、福岡の酒の品質を上げ、盛り上げていくことが大事ですね」
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