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SDGsに意味はある(4)〇〇とはさみは使いよう

 SDGsに意味はないことを説明してきましたが,そうはいっても,国連で全加盟国が賛成して成立したアジェンダですから,使いようはあるはずです。

 一番良くないのは,皆がやっているからSDGsをするべきだと単純に考えて,しかし新しい活動はできないから,今やっている活動を洗い出して,SDGsのロゴを貼って,SDGs活動をやっているように見せることです。これでは,SDGsがなくても同じことですから,意味がありませんね。

 また,SDGsができたから,何かやろうと思っても,そのような中身のない動機では,17の目標や169のターゲットで規定されている具体的な活動はとても続けられません。もしも,始めるなら,SDGsから始めるのではなく,取り組まなければならない具体的な課題をきちんと認識してから始めるべきです。

 SDGsが最も効果を発揮するのは,これまで取り組んできた取り組みをSDGsを契機にさらに展開する場合です。貧困の撲滅でも,人権や平等でも,環境問題でも,働きがいでも,SDGsという形式で世界のお墨付きが付いたわけですから,これを機会に活動の幅を広げるために活用することができます。せっかくなので,この機会を逃すべきではないでしょう。

 もちろん,それぞれの活動に強い意欲があるなら,これを契機に新しく始めても構いません。SDGsの力を借りながら,協力者を募る方法は,これだけブームになっていますから,何もない時よりは,ずっと進めやすいでしょう。

 ただし,それをSDGsと銘打つなら,2030年までは続けるという決意と,2030年の目標くらいは決めておきましょう。私が,企業や大学のSDGs活動が何となく胡散臭く感じるのは,この時間軸の設定がないからです。SDGsの最大の特徴は,2030年までの期限を切った目標である点にあるのに,それがなければSDGsとは言えないと思っています。

 2030年というそれほど遠くない将来を見通して活動することは,日々の活動に追われやすい企業やNPOなどには新たな視点を提供してくれるでしょう。特に,企業の場合は,事業や業績の変動に影響されることなく,安心して長期的なプランが組めるはずです。これだけでもだいぶ違うはずです。

 さらに,SDGsの良いところは,それによって活動の範囲が格段に広がる可能性があることです。これまで関係のなかった企業や自治体とSDGsということで共通項ができて,協力関係や新しいプロジェクトが生まれるかもしれません。

 SDGsの目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。SDGsそのものに意味はありませんが,SDGsが縁で,つながりが増えることは,活動を普及させ,活性化するためにも,大変重要なことと思います。

 ここまでをまとめると,SDGsは徹底的に実践中心であるべきということです。「SDGsをやっています!」と,宣伝しすぎると,かえって,SDGsの空虚さが浮き彫りになります。

 個々の活動を,SDGsによって,時間軸で深化させ,横のつながりを拡張させることができれば,全世界での共通の取り組みとしての意味が生まれるでしょう。 それが本当のSDGsの意義と思います。

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