6本目の指は出るか ―第六感の話―

(読了目安9分)

「人間には未知の力が宿っている」


「祈りや瞑想をすることで未知の力を発揮できる」


「人間には常識では説明できない力がある」


こんな話をするとき、「第六感」という言葉を使うことがあります。
「シックスセンス」という言葉でも表現されるようですが、今回は、人間には「第六感」があるかどうか、そして、もしあるなら「どうやって引き出せばいいのか」という話です。


もし人間に第六感があり、それを引き出すことができるなら、みなさんの人生がより明るくなるだけでなく、人類の未来は今よりも希望に満ちていると言えます。


でははじめましょう。


あるところに、K子ちゃんという少女がいました。
ピアノを弾く練習をしているK子ちゃん、練習していくうちに徐々に難易度が上がり、自分の手の大きさや、運動神経の限界を感じました。


そこでK子ちゃんは考えます・・・


「この曲、6本目の指があったらもっとうまく弾けるのになあ、もう1本、指が出てこないかなあ」


願うだけで6本目の指が出てくればいいんですが、実際は、その場ですぐに出るなんて無理ですよね。


ピアノの先生は、「6本目の指が出ないかなあ」と願うK子ちゃんに対して言います。


「もうちょっと手が大きくなって、もっともっと練習すれば、みんな5本の指で弾けるようになるの。6本目の指が出てくるのを願うのもいいけど、たくさん練習しましょう」



・・・数年後

K子ちゃんはその曲を5本の指で弾けるようになっていました。



「6本目の指があれば弾けるのに」と思っていた曲が、5本の指でも弾けたんです。



・・・



・・・次の話です。

あるところにM子さんという独身女性がいました。

会社の経理をしているM子さん、仕事をしていくうちに、仕事や人間関係、結婚についてなど、徐々に悩みが増え、自分の能力に限界を感じました。



そこでM子さんは考えます・・・



「私、第六感があったらもっとうまく生きていけるのになあ。結婚もできるのに・・・第六感、出てこないかなあ」


ここでM子さんが思う「第六感」とは、未来や人の気持ちがわかる「超能力」です。

超能力があれば宝くじも当たりますし、人間関係も思いのままになるので、M子さんは第六感を欲しがりました。


願うだけで第六感が出てくればいいんですが、実際は、その場ですぐに予知能力が手に入るなんて無理ですよね。


マスターは、「第六感が出てこないかなあ」と願うM子さんに対して言います。


「もっと人生経験を積んでいけば楽しく生きていけるようになるよ。第六感が出てくるのを祈るのもいいけど、いろいろと社会勉強しようね」


さて、いつかM子さんの悩みは解決するんでしょうか・・・これは、今後M子さんが本質的な努力をするかしないかにかかっています。



以下に続きます。




◎研ぎ澄まされた五感


昔の人も、今の人も、状況がピンチになるとどうしていたと思いますか?


「ピンチ」というのは、追い込まれてどうしようもないときとか、なにか重要な決断をしなければならないときです。


・・・さて、どうしてましたっけ?


・・・


そうです、「変性意識状態」です。


「変性意識状態」とは、第五感を超えた感覚です。
人間は極限状態になると、運動神経のリミッターを解除する「火事場のばか力」を発揮しますが、同じように、思考能力のリミッターを解除する「火事場のばか思考」を得ようとするわけです。


その方法のひとつが、「変性意識状態」です。


変性意識状態になって「火事場のバカ思考」を得ようとするわけです。


M子さんが願ったのは、「良好な人間関係を構築できる能力」ですよね。
しかしこれって、みなさんの周りを見ればわかるように、「変性意識状態に頼らずできる人」もいるんです。


つまり、人間が本気でがんばれば、M子さんの願いは「五感」までで実現できるものなんです。


たとえば大昔、太陽が沈み、月もなく辺りが暗くて困っているとき、「明るくなってください」と願うだけでは明るくすることはできませんでした。
山火事などで「火」が周囲を明るくすることを知った人類は、考えに考え抜いて、まずは意図的に火を起こして明かりを手に入れ、フィラメントに電気を通して明かりを生み出し、やがて蛍光灯になり、現在はLEDにまで進化させました。


第六感がなくても、努力することで、人類は明かりをともすことに成功したんです。


また、「空を飛びたい」と願うだけでは飛ぶことはできませんでした。
人類は考えに考え抜いて、まずは数十メートルの飛行に成功し、やがて月までの往復に成功し、現在は火星に行く準備をしています。


第六感がなくても、努力することで、人類は飛行に成功したんです。


「地球の裏側の人と話したい」と願うだけでは話すことはできませんでした。

人類は考えに考え抜いて、文字・手紙・電話・インターネットと進化させ、地球の裏側の人と話すことに成功しました。

第六感がなくても、努力することで、人類は地球の裏側の人との意思疎通に成功したんです。


「暗闇を明るくする、空を飛ぶ、地球の裏側の人と話す」、これらは昔「神じゃないとムリ」、つまり第六感がないとできないことだとされていたはずです。

しかし人類は「五感」を研ぎ澄ますことで、この「神がかり」を実現したんです。

つまり、神に頼らなくても、がんばればできたんです。

ですから、今、「神にしかできない」と思われていることも、未来の人類は「五感」を研ぎ澄ますことで解決していくはずです。


いつも書くように、1000年前の人類にとって現代人は「神」、そして現代人にとって1000年後の人類は「神」なんです。

しかしそこにあるのは「第六感(超能力や神)」ではなく、「研ぎ澄まされた五感」です。


ここまででわかるように、人類は、「第六感」がなくても、五感で問題を解決できる力を持っています。

1000年前に空を飛びたいと考えると、「お祈り(願い)」がメインになってしまいますが、現在なら「飛行機の設計・製造(行動)」がメインになります。

現代人は、いつ終わるかわからない「お祈り」に頼らなくても、飛行機を作り出すことができました。
同じように、今は不可能だとされていることも、1000年後には実現できることがたくさんあります。
そしてそれを可能にするのも、「研ぎ澄まされた五感」です。
(肉体的な制限で五感を発揮できない人は、「持っている感覚全てを研ぎ澄ます」と考えてみてください)



◎6本目の指「第六感」が目覚めるのはいつか


「人類の第六感が目覚めるのはいつか」・・・もし人類として第六感が目覚めるとしたら、それは人類全体が自分たちの能力を限界まで使いきったときです。

つまり、個々の人類が自分の幸せに責任を持ち、愛を発信できるレベルに到達したときです。

戦争や宗教、お酒を卒業できない今のレベルでは、平和を願うばかりで行動していないわけですから、「第六感」が目覚めるには程遠い段階です。



◎普段の脳の限界を超えた「第六感・神の領域」―変性意識状態―


脳が普段の限界を超える現象の「変性意識状態」は、薬物や科学、トレーニング、火事や地震などの極限状態で疑似体験することはできますが、今の人類はまだまだ実用レベルまでコントロールしきれていない状態です。(最先端の科学では、少しだけコントロールできはじめているようです)。


ざっくりと書くと、たとえば大昔なら、「戦争・政治・病気」などの大切な判断が必要なとき、「変性意識状態になりやすい体質の人(巫女など)」を選び出し、火・音・お酒・薬物(神経毒キノコ類)などを使って変性意識状態を作り出しました。

望む変性意識状態になれるかどうかはそのときのコンディションによりますが、良くも悪くも、普段とは違うレベルの思考や判断ができたようです。

変性意識状態になった巫女には「神(霊)」がとり憑いたとされました。

そしてとり憑いている神(霊)の種類や、発言する言葉について外側で観察し、発言内容を確認する人を「審神者(さにわ)」と呼んだそうです。

「審神者」は、現代風に言えば、「脳波計などの機器を操る医師や技術者」という位置付けです。


以前「ジキルとハイド」という小説で有名になった「二重人格(多重人格)」という精神疾患があります。
現在は「二重人格(多重人格)」ではなく、「解離性同一性障害」と呼ばれるようになりました。
マスターは以前、解離性同一性障害をもつ女性と過ごした経験があるんです。
彼女は、本人の他に、3歳、13歳、20歳の女性の人格を持つ女性でした。

ちょっとしたきっかけがあると3人の中のどれかに人格交代するんですが、マスターも「これは3歳の女の子だな」とすぐにわかるようになったんです。
つまり、大昔で言うところの「審神者(さにわ)」です。



◎まとめ

困ったら神(第六感)に解決してもらおう・・・こう考えてきた昔の文化は、神にお願いを聞いてもらうかわりに、「いけにえ」などの悲惨な状況を生み出しました。
「神」「悪魔」「霊」「霊能者」という考え方や、それにまつわる行事などを生み出し、神を特別なものとして扱い、人々はそれらを信じて恐れ、現代よりも宗教的支配の強い環境で生活を送りました。


みなさんは「昔の文化に逆戻りしたい」と思わないはずです。
ですから、「困ったら第六感!」なんて言わず、五感を研ぎ澄ましてみてください。
「第六感」は、結局のところ、「研ぎ澄まされた五感」と言えます。

人は五感を研ぎ澄ませば、自分の中に神、つまり「第六感」を見つけることができます。
言い方を変えると、今ある五感を研ぎ澄まさない限り、第六感は現れない、ということです。
だからこそ、「どうでもいい」「めんどくさい」「ありのまま」などと言っていたら愛にたどりつけないんです。


まとめると・・・

◎「困ったときの神頼み」は、人間が全力を尽くした後の話

◎すぐに「神様!」では、すぐに親に頼る子どもと同じようなもの

◎もし神がいるなら、「人間よ、争っていないで愛する努力をしなさい」と言われておしまい

◎困っているなら、第六感に頼ろうとせず今の力を研ぎ澄ます努力をしましょう

こんな感じになります。


五感を研ぎ澄ませば、過去に第六感の領域だと思われていたものを実現できます。
第六感が出るかどうかは、人類が五感を研ぎ澄ませるかどうかにかかっています。

・・・

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