「こだわり」について

(読了目安5分)

今回は、「こだわり」についてです。

ここで書く「こだわり」というのは、わがままとか強情とかではなく、「ひとつのことを熱心に掘り下げていく態度」という前提です。


みなさんはきっと、スマホでゲームをすると思いますが、ゲームのバグは少ないほどありがたいですよね。
スマホのバッテリーが長く使えるほど嬉しいですし、同じ金額を払うなら、通信速度は速いほど嬉しいはずです。
スマホやゲームの開発者が「バグなんかどうでもいいじゃん、ゆるくやろうよ」なんて言っていたら、ちょっと不満になるはずです。
バグのないゲーム・長持ちするバッテリー・高速通信などは、究極に頭の良い人たちが、極限までこだわり続けることで実現することです。
ですから、開発者たちには、「ゆるく」なんて言っていないで、極限までこだわってもらいたいですよね。


みなさんにも「こだわり」があると思いますが、マスターにもあります。
以前投稿した、「トマトの切り方」についてはこだわる方かもしれません。
逆に、みなさんから見て「なんで?」と思うようなところでこだわりがないかもしれません。


人はそれぞれこだわる部分が違うということです。


マスターは人それぞれにこだわりがあっていいと思っているんですが、他人のこだわりを認められず、批判する人になってしまうと危険です。


以下、大切なことです。


マスターは厨房を担当しています。
その中で「お客様への愛情」と考え、こだわる部分があるとしますよね。
たとえばコーヒーの温度、野菜の千切りの太さ、そして上にも書いたトマトの切り方などです。
それを見た人の反応として、大きくわけると2つあるんです。


A子さんとB子さんの反応です。


A子さん 
「マスターも神経質ですよね、そんな細かいことお客さんにわかりませんよ。人はもっとおおざっぱでも生きていけますよ」


B子さん
「これはすごいですね、感動です。私にはきっとマネできませんけど、いいことだと思います」


A子さんの考え方は、基本的にマスターと「勝負」しているんです。
(マスターは仲良くしたいんですけどね)
「自分にマネできないことや、理解できないことに拒否反応が出ている」と言ってもいいかもしれません。
この考え方だと、相手を否定しているだけでなく、自分の成長を止め、「こだわり」という文化そのものの足を引っ張ってしまいます。


もしそこでマスターがA子さんの言葉に対して、「そうだね、じゃあこだわるのはやめようか」とこだわりをなくせば、その技術は進歩しなくなりますよね。
「成長し続けること」が愛ですから、考えることをやめ、楽をしようとする行為は愛ではありません。


また、A子さんはたぶん、マスターのこだわりより細かいこだわりの積み重ねでできる「スマホの開発」に関しては、開発者に対して、「そんな細かいこと意味がない、もっとおおざっぱに生きていけますよ」とは言わないんです。
たとえば「スマホの性能を上げろ」という要求は、技術者に対して「もっと考えれば改善できるだろう、細かいところまでこだわり続けろ」と要求しているのと同じなんです。


つまり、人は、自分が興味ある分野のこだわりを「正義」とし、興味ない分野のこだわりを「悪」とする傾向があり、A子さんの言葉はその一例だと言えます。


「自分が興味あるこだわり」・「自分が興味ないこだわり」、これらは2つとも、「こだわり」という意味では全く同じものですから、お互いに否定しあっていても進歩はありません。
みんなそれぞれに興味がある分野でのこだわりがあるからこそ、文化や文明が多様に進み、その多様さが、さらに人類を成長させていくわけです。
大切なことは、たとえ興味がないことや自分には理解できない「こだわり」があっても、それを否定したら自分を否定することに繋がりかねない、ということなんです。

他人のこだわりを否定することは、愛ではない

ということです。


話は戻りますが、上記B子さんのリアクションが「愛」です。
B子さんのリアクションは、こだわりを認めるものでした。
こだわりを認めることは、自分自身を成長させるだけでなく、そのこだわりをさらに進化させることにも繋がるからです。


他人のこだわりを認めることは愛ですが、マスターはそんなことを言いながら、このnoteでなにかを「否定」することもよくあります。
しかしそれは、「長く愛されるため」と考えた場合です。
たとえば、「長く愛されるために宗教はダメです」と書いていますが、「人類はまだ宗教を卒業できるレベルではない・必要とする人もいる」とも書いています。
「お酒」も同じです。
マスターはお酒を否定していますが、それは「長く愛されるため」という条件付きであって、「全否定ではない」ということです。
「人類はまだお酒を卒業できるレベルではない・必要とする人もいる」とも書いています。
むしろ、短く愛されるためならお酒は手っ取り早いものかもしれません。


「こだわり」・・・人によっては、他人のこだわりを理解するのに苦しむこともあります。
しかし自分にひとつでもなにかのこだわりがあるなら、「私のこだわりは正しいけどあなたのこだわりは間違えている」なんていう考え方では、大人の思考とは言えません。


多くの人のそれぞれのこだわりが、めぐりめぐって自分自身の利益に繋がり、人類の進化に貢献していて、その一例が、スマホがより便利になるということです。
こんなことを忘れないようにしましょう。
そうすれば、理解できない他人の「細かいこだわり」を認められ、ストレスも感じなくなるはずです。

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