料理に愛をこめるということ
(読了目安8分)
前回は、
「料理に愛をこめることは可能です」
「愛をこめると料理はおいしくなります」
という話でした。
今回は、「料理に愛をこめる」とはいったいどういうことなのか、マスターが20年間料理を作ってきた経験から、「パートナーに食事を作る」という一般的なパターンを例にして書いてみます。
女性のあなたが男性に料理を作ることを想像してみてください。
<料理中に愛をこめる>
料理中、「イイ感じ~!」などのプラス発言や鼻歌を歌うように心がければ、楽しんで作っていることが周囲にも伝わります。
明るく前向きな言行は夫への愛になりますから、あなたが作った料理はおいしくなります。
逆に、「やっちゃった!・間違えた!・どうしよう・・・」などのマイナス発言が口グセになっていると、パートナーは毎回失敗作を食べさせられることになり、うんざりしますし、あなた自身が「私は毎回ミスをする女です」と宣伝していることになります。
「マイナス発言」にいいことなんかありません。
もしなにかの理由で気分や体調が悪いなら、無理して食事を作るのではなく、思い切ってその日の料理をキャンセルさせてもらい、体調を整えてから料理をするのも愛です。
夫のために笑顔で明るくふるまう「実力」があれば無理してもいいですが、あとになって「あのとき私はあなたのために無理して作ったの、実はとてもつらかった」「私がどれだけ我慢してきたと思ってるのよ!」「私、ホントは料理なんかしたくないのよね」などと言わないようにしてください。
料理に愛をこめるには、「やるなら楽しむ、楽しめないならやらない」、これが基本です。
<料理を運ぶ時に愛をこめる>
笑顔で運んでくるのと、不機嫌そうに運んでくるのでは、料理をおいしくするのは・・・もちろん前者ですよね。
不機嫌な表情や口調で料理を運ぶと、食べる側に対して、
「作りたくなかったのかな」
「体調が悪いのかな」
「手伝わなかったから怒ってるのかな」
などと余計な気使いをさせてしまいます。
運ぶときは「はーい、おまたせー!」などと明るくふるまい、パートナーがリラックスして食べられる雰囲気を作りましょう。
食前に一度でも笑わせるか、ツッコミを入れさせることができれば知恵のある女性です。
運ぶのを手伝ってもらうときは、「突っ立ってないであんたも手伝ってよね!」ではなく、「手伝ってもらっていい?」と明るく声をかければ気持ちよく手伝ってくれると思います。
あなたが料理をする目的は、義務を果たすことではなく、愛をそそぐことです。
相手が快適に食べられることを第一に考えて運んでみてください。
<食事中に愛をこめる>
これも、「場の雰囲気」を見ながら明るくふるまうことです。
パートナーに余計な気使いや心配をさせると、おいしく味わって食べることができませんから、「体調が悪い・不機嫌」と思わせないことが大切です。
また、あなたがパートナーに対して余計な気使いをすることも無用です。
「これ食べる?お茶はどう?」などと気を使わず、自分のペースで食べたいように食べさせてあげる気使い、つまり「気を使わない気使い」ができるようになってください。
「彼が不機嫌になると私がイヤな思いをするから」
「よく気がつくいい子だと思われたいから」
などという考えがベースの気使いは、相手にとってむしろ不快になる場合があります。
チョロチョロと細かい気使いを10回するよりも、会心の気使いをひとつできる女性の方がはるかに大人です。
食事中は「明るくふるまう、余計な気使いをしない」がポイントです。
<食後に愛をこめる>
楽しく後片付けをすることも、次の料理に愛をこめることになります。
楽しそうに食器を下げ、楽しそうに洗うことで、それを見たパートナーは
「毎日楽しく片付けている・僕のためにキッチンに立つことが喜びなんだろう」と感じ、とても安心します。
逆に、食後の片づけで、疲れた顔のあなたがキッチンで溜息をついているとします。
それを見たパートナーは、
「無理させたなあ・辛いんだろうなあ」
「もう作ってもらうのはやめようかな」
「今後外食に切り替えようかな」
「機嫌が悪いのかな?」
などと考えてしまいます。
パートナーにそう思わせた時点で、あなたは「料理」という一連の作業の後半で力尽きてしまったと言えます。
自分の実力を考えず無計画に料理をし、最後でパートナーを心配させるのは大人の思考ではありません。
自分の実力を知り、調理や片付けのペース配分を考えることも、調理に愛をこめることと言えます。
<一緒にいないときに愛をこめる>
あなたの料理をパートナーが食べるとき、あなたが同席しない場合でも愛をこめることはできます。
ハートマーク付きのメモを残しておくとか、LINEで、食事についてポジティブな言葉を使って説明してもいいかもしれません。
盛りつけをひと工夫して、なにかメッセージを残せるようにしてもいいはずです。
その料理を見て、パートナーが明るい気持ちになったり、喜んだりすることができれば、料理に愛をこめたと言えます。
・・・
「そりゃあマスターが言うようにいつも楽しく作れればいいですよ。でも私だって仕事で疲れてるのに常に明るくなんて無理ですよ。彼はいつも味についてひとこと多いし、協力してくれないし・・・マスターのは理想論ですよ。実際にできる人なんていないんじゃないですか?」
なんていう声も聞こえてきます。
たしかに上に書いたことを、5年、10年と安定して実行できる人は多くないようです。
パートナーから食事について文句を言われると「文句言うなら食べなきゃいいでしょ!自分で作りなさいよ!」と反論したくなる人もいるようです。
しかしそう言われると、男性は料理について意見を言えなくなり、小言や味について我慢して食べるのが苦痛になるので、外食が多くなります。
そしてあなたはパートナーから料理についての助言を聞くことができなくなり、いつまでたってもパートナーの好みの料理を作ることができません。
パートナーは夜の食卓から逃げて、飲み屋に夢中になっていく・・・これはまさに子供の思考が作る悪循環です。
大人の愛は先払いですから、パートナーに腹を立てるよりも、まず自分がパートナーの考えに合わせる努力をしてみてください。「褒めてもらえないから料理をしない」「文句を言われるから作るのイヤ」では、あなたの料理の腕は上がらず、パートナーも気分が悪く、いいことはなにもないんです。
付き合い始めや新婚時代は楽しい食卓だったのに、いつのまにか義務で料理をするようになり、ケンカが絶えない食卓になり、やがて2人は同じ食卓を囲まなくなることもあります。
それぞれに事情があるのはわかりますが、多くの女性は、男性と付き合い初めのころは、料理に愛をこめることはできていたはずです。
男性のために料理をすることが喜びで、味について言われても、どうにかして彼の好みに合わせようと努力し、その努力が「楽しかった」時期です。
「料理に愛をこめる」というのは、その状態です。
しかし、それを続けることができないのは、やはり子供の思考だからです。
子供の思考ではひとつのことを長く続けられませんから、やがて愛をもらうことばかり考えるようになり、付き合い初めのころの気持ちがなくなります。
◎マスターの場合
マスターは仕事柄、結婚してから20年、ほとんど毎日料理をしています。
「誉めてもらいたい・自分を認めてもらいたい・好かれたい」というより、
「料理を作れることがありがたい」という気持ちです。
今よりも自分の体調が悪く、たくさんの人の世話になっていた昔は、料理は作ってもらうばかりでした。
外出も料理もできず、料理ができない高齢者向けに用意された「役場のお弁当配達システム」を利用していたときもありました。
昔と比べると今は体調が安定しているので、それだけでありがたい気持ちになります。
マスターはこれまでに、ほとんど同じメニューではありますが、家族とお客様のために10万食以上食事を作りました。
昔の「料理をしてもらう立場」から、今の「料理をする立場」になれたことに感謝し、楽しく料理をしています。
(マスターのことについては「自己紹介」を参考に)
みなさんも、子供のころは「料理をしてもらう立場」でしたよね。
しかし今は「料理をする立場」になったと思います。
やがて高齢者になれば、再び「料理をしてもらう立場」になるかもしれません。
今の立場に感謝し、料理を楽しめるといいですね。
◎包丁の技術も愛です
「そもそも料理することが好きじゃない」という人もけっこういますが、その理由として、「包丁をうまく使えない・ケガが怖い・一人で料理をするのはつまらない」というものがあります。
この問題は、包丁の技術を身に付けることで解決します。
包丁をうまく使えるようになると、ケガをしなくなりますから怖くないですし、それぞれの食材が求める切り方が、食材から伝わってくるようになるんです。
食材と「おしゃべり」ができるようになりますから、キッチンに立ったときに孤独ではなくなり、料理が楽しくなります。
そして、料理が楽しくなればさらに包丁の技術が上がり、リズムよく料理ができるようになります。
もしあなたが男性だったら、キッチンから軽快な包丁の音が聞こえてきたら、彼女を誇りに思えるだけでなく、料理を任せておける安心感もあるはずです。
マスターは仕事の関係上、これまでに多くの女性に包丁の使い方を教えてきました。
「切るのが楽しくて料理が好きになりました」と連絡をくれた人もたくさんいました。
料理を好きになることができれば、料理に愛をこめることができるようになります。
その一環として、「包丁を使う技術」も大切だと感じています。
以上、料理に愛をこめるということについてでした。
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