信じる力 1

(読了目安9分)

「動物性たんぱく質は身体に悪い」という情報を信じた女A子さんは、動物性たんぱく質を避けるために、植物性の健康食品を10年間摂り続けてきました。
体調は良好で、動物性たんぱく質を摂っていないことが、その理由だと信じていました。


しかしある日、

「その食材に動物性たんぱく質が混入されていた」

というニュースを見ました。


彼女はショックを受け、さっそく食材を切り替えましたが、ニュースの数日後から体調がおかしくなりました・・・

・・・

上記の状況からわかることは、第一に、「身体に悪い」と信じていた「動物性たんぱく質」を10年間摂り続けても、体調が良かったということです。
そして第二に、ニュースを知らなければ、A子さんは健康のままだったということです。
彼女の10年間の健康は、「動物性たんぱく質」を避けたことによってではなく、動物性たんぱく質を摂っていないと信じる力で保たれていたということになります。
さらに、動物性たんぱく質を摂ったことで病気になったわけではなく、動物性たんぱく質を摂ってしまったから体調が悪くなるかも、と信じる力で病気になってしまったんです。

・・・

そして1ヵ月後、新しい事実が判明しました。


なんと、動物性たんぱく質の混入は、「調査ミス」で、その食品には動物性たんぱく質は含まれていなかった、というものでした。


結局、動物性たんぱく質は含まれていなかったことが判明しましたが、彼女の体調が回復することはありませんでした。


それは、彼女にとってなにが本当のことなのか、わからなくなったからです。

「その情報もまたウソかもしれない」

「本当のことはわからない」

「なにもかも信じられない」

「真実は誰も教えてくれない」

「この10年はなんだったの?」

このように信じる力が、彼女を病気のままにしてしまったんです。


たとえば宗教的な制限で肉を食べられない人などは、禁止された肉を「そうと知らず」に食べても体調は変わりませんが、知っていてムリに食べると体調が悪くなることはありえます。
体調を悪化させているのは、「肉」ではなく、戒律を破ったと「信じる力」だからです。


また、以前書いた「こっくりさん」の話では、その仕組みが自己暗示だと解明されているにもかかわらず、「呪われたと信じる力」がその人を病気にしますし、「遠隔ヒーリング」では、そのときヒーラーが体調不良で寝ていたとしても、「癒されていると信じる力」が、ヒーリングを受ける人を元気にします。


ひとつのことを強く信じることは、とても大切な場合もあります。
信じるだけで元気になれるんですから。


しかし、外部からの情報に頼りすぎる人生だと、情報が変わるたびに右往左往し、なにを信じていいのかわからなくなります。


たとえば、健康・長寿・整腸作用などのイメージがある「ヨーグルト」の話だと、「菌が生きたまま腸に届く」と宣伝し、そのイメージを売りにしていたら、その後の研究で死んでいても効果は変わらないことがわかり、業界がバタバタしたことがあったようです・・・


動物性たんぱく質が身体に良くないと信じている人は、ヨーグルトそのものを食べませんから、健康になれないのかというとそうでもないですし、ホントになにがいいのかわからなくなってきます。
そして、そんな不安や不満や心配などが体調を悪化させ、最後は自分の人生そのものを悲観してしまうわけです。


彼女は、「動物性たんぱく質は身体に悪い」と思っていなければ病気にならなかったでしょうし、社会の仕組みを知っていれば、たとえ動物性たんぱく質が混入されていても、「まあどうせそんなもんでしょう」と笑って済んだかもしれないんです。

・・・


こんな考え方もできるはずです。


たとえば、菜食主義の実践として、「動物性たんぱく質と砂糖は身体に良くないから避ける」、こう考えている人がいるなら、「沖縄」の食生活を思い浮かべてみてください。
沖縄の高齢者たちは、油で揚げた砂糖たっぷりのサーターアンダギーを食べ、ラフテーと呼ばれる豚バラ肉の煮込みも普段から食べているそうです。


どうです?


長寿のおばあちゃんたちが証明してくれていると思えば、動物性たんぱく質も砂糖も、安心して食べられるはずです。
精神的な負担なく食べれば、よほどの物でない限りきっと体調は崩れません。
動物性たんぱく質を避けることよりも、温暖な地域に住んだり、ストレスをためなかったりすることの方が、身体に良いのかもしれません。


また、寿命が単に遺伝子の問題なら、なにをやっても健康だったり長寿だったりするかもしれません。


実際に「それはさすがに不健康じゃ?」と思われる食生活で元気な高齢者はたくさんいます。
そんな人には、健康論や栄養学では説明がつかないなにかがあるわけです。


さて、はじめに書いたようなことにならないためには、いったいどうすればいいんでしょう。
なにも信じなければいいのかもしれませんが、それじゃ人間は不安定になってしまいますし・・・


マスターは、「信じる力」について「食べ物」を例にして書きましたが、基本的にどんなことでも同じなんです。
人がなにかを信じているときの安心感や能力は、高いレベルを維持できます。
しかし一度信念が揺らぐと、その分の反動が大きくなります。
信念が揺らぐのは、子どもの思考レベルで判断したものを信じるからです。
お酒やギャンブルを趣味にする男性を「カッコイイ男」だと思って惚れてしまい、その後「こんなはずじゃなかった」と「信じる力」が揺らぐのは、子どもの思考レベルで判断したものを信じてしまったからです。
より本質に近いものを信じていれば、世の情報に左右されず、信じる力を発揮し続けられるわけです。


信じる力を発揮し続けるための考え方について書く前に「本質から遠い信念(いつか揺らいでしまう信念)」について、以下に例を挙げながら説明しますね。
下記太文字のようなことが本質から遠く、いつか揺らいでしまうものです。
はじめの2つは子どものときの話です。


〇空を飛ぶサンタクロースはいる

この信念は本質からかなり遠いですから、やがて簡単に揺らぎます。
子どもにとっては衝撃的な「思考のシフト」かもしれませんが、みなさんはこの考え方は卒業しています。


〇親はなんでもできる人
子どもは、「親はなんでもできる」と思っている時期がありますが、いつか親にもできないことがあると知り、親はスーパーマンではないことを知ります。
※みなさんはこの考え方を卒業していますか?



ここから下が、大人でも誤解している人が多いものです。



〇「開運グッズ」には効果がある

開運グッズを売る会社が倒産することがあります。
仮にあなたが「開運グッズ」と信じているものを、内緒であなたのバッグに入れた場合、あなたは「最近運が良くなった」とは感じません。
開運グッズそのものには効果がないということです。


〇コカ・コーラ(コーラ)は骨が溶ける・発がん性物質が入っている
「コーラが骨を溶かす」というのは本当です。
しかし、オレンジジュースでも梅干しでも骨は溶けます。
また、コカ・コーラは世界で一番売れている飲み物で、多くの機関が研究しても決定的な問題が見つかっていませんから、むしろ世界で一番安全な飲み物と言えます。
たとえばコカ・コーラに含まれる発がん性物質でガンになるには、1日10リットルを50年以上飲み続けるような極端な場合ですから、ガンになる前に他の病気で死んでしまいます。


〇こっくりさんは霊の仕業
未成年者の間では、社会現象になるほど信じられていましたが、参加者がわからないことを尋ねたり目をつぶったりすると指が迷走することや、視線を追うと、指が動く前に次のターゲットを見ていることなどから、こっくりさんは自己暗示だとわかりました。


〇私は晴れ女・雨女よ
実際に、ロケットの打ち上げや屋外イベント、農業などに「晴れ女・雨女」が利用されないことから、確率論で説明できることがわかります。


〇寝る直前に食べると太る
寝る前に食べると太るのは、単に食べ過ぎているからです。
戦後の日本や発展途上国など、飢餓状態の国でも、寝る直前に食べる習慣はありませんから、寝る直前に食べても太らないということです。


〇ユリ・ゲラーは超能力者

「ユリ・ゲラー」は、昔、スプーン曲げで有名になった人ですが、スプーン曲げはマジックでした。
いまだに信者がいるようですが、みなさんは次のステップに移行してくださいね。



〇終末予言
世界のカリスマたちの予言は、これまで総ハズレでした。
予言を信じてきた人たちの信念は揺らぎまくったかもしれません。



〇遠隔ヒーリング
ヒーリング効果を感じる人は、遠くから癒しているであろうヒーラーが、たとえ約束の時間に寝ていても効果を感じます。
また、ヒーラーが世界中にエネルギーを発しても、受信する側がそれを知らない場合は効果が出ません。



〇パワースポットの存在
目隠しをしてパワースポット5箇所、そうでないところ5箇所に行き、
どこがパワースポットで、どこがそうではないか、的確に識別できる人はおそらくいません。
土地所有者の商業的なバイアスや「信じる力」が、パワースポットを作り上げていることがわかります。


〇健康法や栄養学の情報など
情報を発信する側の強いバイアスがかかります。
発展途上国のランナーが先進国の科学に鍛えられたランナーをしのぐ場合がありました。
ネパール人の強靭さは、日本で流行っている栄養学では説明できないものでした。
健康食品を売る会社の社員が、自社の健康食や健康法を実践していないこともあります。

〇生活環境が悪いからガンが増えた
「ガン」が増えた主な理由は、他の病気が治るようになったからです。
昔はガンになる前に他の病気で亡くなることが多かったというのが本質です。
昔より医学が発展したからガンが増えたわけです。
天然痘のように、ガンも「予防・治療」できるようになれば、ガンで死ぬ人はいなくなります。
(病気や寿命の話は、「ライフスパン」という本が面白いです)


〇生活環境が悪いからアレルギーが増えた

アレルギーが増えた主な原因は、昔と比べて検査精度が上がったためです。
血液検査だけで軽微なアレルギーがわかるようになったことと、昔はアレルギーという言葉もなく、体調不良の原因が不明だったことも、昔アレルギーが少なかった理由です。
また、100年前と比べて人口が2倍以上になったことも考慮するべきところです。


上記のようなことに右往左往しているうちは、あなたの信念は揺らぎ続け、「心の安定」は難しいかもしれません。


次回はこの続き、「信じる力 2」の予定です。

・・・

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