語学留学 1 愛か逃げか

(読了目安9分)

今回から3回にわけて、「語学留学」について書きます。


マスターの店は「ウーフジャパン」という団体のホスト登録をしていて、ここ15年で350名ほどの体験学習希望者を受け入れてきました。
その中には、海外へ語学留学に行ってきた日本人女性はもちろん、今後の海外留学に期待を膨らませている日本人女性もいました。


逆に、日本に興味を持つ外国人もいて、10ケ国程度から30名ほどの外国人を受け入れてきました。
彼女たちの滞在動機は、「日本語のスキルアップ・日本文化の体験」というものがほとんどでした。


今回は、

「語学留学に行ったことがある女性」

「語学留学に行こうとしている女性」

「海外から語学留学に来ている外国人」

これらの女性たちから実際に聞いた話を元に、マスターの経験も加え、主に「独身女性の語学留学」についてメッセージです。


お伝えしたいのは、

「語学留学の動機が愛であれば必ずうまくいきます」

「たとえ目的を達成できなくても、語学より大きなものを手に入れることができれば、それはそれでオッケーだと思います」


「語学留学はきっといい経験になります」


「目的を見失わないでください」


などです。


また、語学留学をした女性の多くが陥る状況についても書いてみますので、今後の参考にしてもらえたらと思います。


では本題です。



◎動機が愛ならうまくいく


体験学習希望者を受け入れている関係で、マスターの周りには、「海外で英語(外国語)を覚えたい」と言う女性が意外と多くいます。
「愛をそそぎたい」という動機で英語を覚えたいなら、必ずうまくいきます。
たとえ日本国内だけで勉強しても、うまくいきます。
逆に、「愛をもらいたい」という動機なら、たとえ海外に行ってもうまくいきません。


これはダイエットと似ているかもしれませんね。
ダイエットも、愛をそそぐためのものならうまくいきますし、愛をもらいたいという動機なら挫折します。


「愛をそそぎたい」という動機の語学留学は、人間の心を大切にし、自分をさらに高め、他人の役に立とうとする留学です。
このパターンの留学は、うまくしゃべれなくても、なんとかコミュニケーションをとろうと、明るく積極的な努力を続けられます。
また、時間があるときは常に勉強に励み、積極的に話しかけます。
相手に対してその「積極性」が伝わるため、相手も熱心に教えてくれ、好循環に入ると上達もいっそう進みます。


身内のことなんですが、「愛をそそぎたい」という動機の典型として、マスターは父のことを思い出します。
英語の教師だった父は、「登山」をきっかけに、ネパールという国に興味を持ちました。
文字も書けないようなネパール人から直接悩み事を聞きたくなり、すぐに「ネパール語」の勉強を始めました。
数ヶ月間はネパール語教室に通い、あとは実践での習得でした。
50歳代で始めたネパール語でしたが、30年経った今では、気が緩むとうっかりネパール語が出てしまうほどになりました。
さらにここ10年ほどは、父の活動地域に多く住む民族の言葉、「マガール語」を覚え始めました。
脳の障害や認知症などは別として、「知恵」は衰えることはありませんから父の勉強は一生続きますが、これが、語学を学ぼうとする姿勢としては、「愛」だと思います。
この姿勢が周囲からの信用につながり、愛し愛される関係が生まれます。
父のネパール語の習得の様子については、よかったら「父 人生を楽しんでいる人 3」あたりを読んでみてください。



次です。
「愛をもらいたい」という動機の語学留学とは、日本では人間関係がうまくいかず、「日本から逃げたい・海外ならなんとかなるかもしれない」という動機の留学です。


外国人とは「心の根底」の部分での意思疎通はできませんから、自分が傷つく心配がないことも、海外に目が向く動機のひとつかもしれません。
愛をもらいたいという人の行動は、基本的に目先の苦痛から逃げるためのものですから、行動に積極性はなく、持続力がないのが特徴です。
愛を欲しがることが動機なので、笑顔で過ごすことができる期間は、長く続かない趣味や恋愛と同様に、留学直後の短期間になってしまいます。


留学先で新しい出会いを繰り返しているうちは、刺激があってマシです。
しかし長い人間関係になると刺激がなくなり、声も小さくなり、うつむき加減になるパターンにおちいることもあります。
結局、日本での人間関係と同じ事を繰り返してしまうわけです。
こうなると、英語の上達はほとんど望めません。
語学留学と称していながら、刺激的な外国人男性と遊ぶことが目的になってしまったり、日本ではできない危険なことに夢中になったり、日本人とばかり一緒にいて英語の上達どころではなかったり・・・こんな留学になってしまいます。


マスターが外国人を受け入れてきた経験から、「日本語を勉強しに来ている」という外国人には、大きく2つのパターンがあります。


ひとつめのパターンは、いつも勉強し、積極的に話そうとする外国人、もうひとつのパターンは、できる限り自分からは話しかけず、必要最低限の会話で済ませようとする外国人です。
マスターは、前者に対しては惜しみなく協力しますが、後者に対しては「勉強しないの?」などとは言わず、こちらから声をかけることもほとんどありません。
後者は、日本に来ても期待通りではなかったり、ホームシック状態だったり、イヤなことを経験したりして、来日直後の気持ちをキープできなかったんだと思います。


語学留学を考えている人は、その動機が、「愛」なのか「逃げ」なのか、自分に問いかけてみてください。
「日本人女性」は、国際的に人気がありますから、外国に行けば、しばらくは楽しい時間が続き、モテモテ状態を楽しむことができるかもしれません。
しかし、語学留学の動機が愛ではなく逃げだと、滞在はやがて苦痛になります。
そして、その苦痛を「国」のせいにしてしまったら、「ギブアップ」という悲しい事実と意志を達成できなかった絶望感、「日本人はヘン」という、国際的なマイナス評価を受けることになるわけです・・・


・・・が!そのときにです。


そう、これが大切な話です。
以下に続きます。



◎より大きなものを手に入れれば


そのときに、自分の苦痛の原因が留学先の「国」ではなく、まさに「自分」にあるということを自覚できれば、語学留学の意味はとても大きくなるんです。
以下の話は、マスターが病気の治療のため、ネパールに滞在したときの体験にも通じているものです。


もう30年ほど前の話です・・・
マスターの難病は現代医学では治らず、それを心配したネパール人が、アーユルベーダでの治療を勧めてくれました。
5ヶ月間の滞在で、結果的に病状は悪化しましたが、その5ヶ月で得たものは、本当に大きなものでした。
病気の治療を目的にネパールに行き、病気は治らなかったかわりに、「病気は治らなくてもいいんだ」「この病気と付き合おう」「人生は病気を治すためにあるんじゃない」、こんな考え方のきっかけを手に入れることができたからです。
ですから、仮にみなさんが語学留学をしたとき、たとえ期待した結果を得ることができなくても、それ以上のもの、たとえば、「英語が私を幸せにしてくれるわけじゃない」「日本の良さと悪さがよく見えた」、などということを、その国の文化を尊重した上で本心から理解することができれば、それはとても意味があることなんです。
当初の目的よりももっと大切なものが手に入ったなら、その語学留学は大成功です。



◎両方とも中途半端


語学留学は、基本的には「人生経験を積む場」だと考えていいと思いますし、実際にそうだと言える場合がほとんどですから、経験としてはOKです。
しかし留学で「語学堪能」になれるかと言えば話は別です。
10年かけて外国語が「堪能」になったとしても、その国のネイティブスピーカーからすれば、ネイティブ並みに話しているとは言えないことがほとんどです。
事実、10年以上日本に滞在している外国人でも、やっぱり「外国人が話している日本語」なんです。
また、発音が上手なだけでは日本語を理解しているとは言えません。
生まれながらにその国の言葉を話すことによって、お互いに大切な部分でのニュアンスを理解しあえるんです。
たとえば18歳まで日本、その後20年間アメリカに滞在し、38歳で「2ヶ国語堪能」になったとしても、日本語は18歳までの言葉しか使えず、英語はネイティブではないですから、結局は日本語も英語も中途半端になってしまうわけです。


2ヶ国語以上を話すことも大切ですが、日本人であれば、まずは日本語をちゃんと勉強し、日本語を勉強したがっている外国人に対して、日本語を教えることができるようになるのも大切だと言えます。
「両方とも中途半端になるよりは、日本人なら日本語を学びましょう」ということです。
もちろん趣味で英語を学ぶのはアリです。
できないよりはできた方が便利ですし、本人が楽しいならそれが何よりですからね。
ただ、英語にどっぷりと浸かり、「英語を話せれば幸せになれる・ちょっと自慢できる」なんて思ったら、大きな誤算になると思います。


「語学留学」をマスターなりにまとめると、以下のようになります。


語学留学をして得られるものは、一面ではその国の「言葉」です。

そしてもう一面では「その国の言葉を学ばなくても愛は手に入る」という思考です。


ちなみにマスターは、日本語も怪しいですから、日本語に専念したい派です。
外国語を学ぶことが人生の目的じゃないですよね。
究極的には愛をそそぐことが人生の目的ですから、その手段として外国語を覚えるなら、意味のあることだと言えます。
また、語学留学は国際交流の場であり、「日本代表」で行くという意識が大切です。
現在、日本人の評価が国際的に高いのは、過去の日本人が海外でがんばったからなんです。
先人の苦労をムダにしないためにも、また、なによりも自分の明るい未来のためにも、国際的な語学留学の場では気を引き締める必要があります。



次回以降は、語学留学が娯楽留学になり、娯楽留学が堕落留学になっていく話です。
独身女性が陥りやすいパターンなので、参考にしてください。

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