子どもは親の作品 ―脳のアプリの削除とインストール―

(読了目安6分)

◎子どもは親の作品 ―脳のアプリの削除とインストール―



子どもは「親の所有物」ではありませんが、ある意味「親の作品」と言えます。


人の脳の状態は、たとえば新品のメモリーカードのように、生まれたときはみんなほぼ同じ状態です。
もちろん、生まれながらの個体差や、人によっては脳の障害もありますから、厳密に言えば誰もが違う脳を持っています。
しかし、日本語で育てれば日本語を、英語で育てれば英語を覚えるように、生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、どんな色にも染まる状態です。


そして、生まれたばかりのまっさらな「メモリーカード(脳)」に、どんな「アプリ(価値観)」をインストールするか決めるのは、「親」です。
特に幼少期の親子関係は、子どもの脳に絶大な影響を与えます。
ですから、子どもはある意味「親の作品」と言えるわけです。


「子どもは親の作品」というのは、スマホで例えるとわかりやすいかもしれません。
買ったばかりのスマホに、様々なアプリをインストール(ダウンロード)する作業は、生まれたばかりの子どもに様々な価値観を与えるのと似ています。
スマホを見れば、持ち主の性別や年代、仕事などが連想できるように、みなさんのスマホは、それぞれがみなさんの「作品」です。
人の生き方がスマホに現れるように、親の生き方は子どもに現れるわけです。


スマホと人間の違いは、スマホはあなたの所有物ですが、子どもは親の所有物ではないということです。
また、子どもはスマホと違い、自分の意思で成長することができます。
子どもは、親にインストールされた「価値観」という名のアプリを、自分の意思で削除したり、変更したりしながら成長できます。
親の作品のままでいるか、変わっていくか、自分で選ぶことができるんです。


みなさんが親から受け継いだ「役に立つアプリ」、たとえば、「挨拶をする・約束を守る・他人のために気を使う」などは、愛に近いアプリですから、存分に利用してください。
しかし「愛から遠いアプリ」、たとえば、「暴言や暴力・飲酒やギャンブル・批判や否定」などは削除し、より愛に近いアプリを自分の手でインストールする必要があります。


皮肉なことに、「親のようになりたくない」と思う人の多くが、自分が親になったとき、過去の思いに反して親と同じような事をしてしまいます。
たとえば、あなたのお母さんがあなたに対して、「あんなお婆ちゃんになりたくないわよね」と言いながら、自分も同じようなことをしている場合があるわけです。
「あんな親になりたくない」と言いながら、気づけば自分もそうなっているんです。


理由は、

「親のようになりたくないと言いながら親のマネをする、というアプリが、先祖代々受け継がれているから」

です。


それは人類そのものに受け継がれているアプリなのかもしれません。
しかし、それでは人類の成長はありませんよね。
ですから、そうならないためには、親からインストールされたアプリの中から、「不要なアプリ」を削除し、自前で「新しいアプリ」をインストールする必要があります。


もちろん全部のアプリを入れ替える必要はないんです。
たとえばあなたは、親の否定的な態度がイヤだとします。
その場合、おそらくあなたも気付かないところで親のマネをしていますから、「否定的な態度をする」というアプリだけを削除し、「肯定的な態度をする」というアプリをインストールすればいいわけです。
あなたを客観視できる「他人」から助言をもらい、少しずつ考え方を変えていけば、「否定的な態度をする」というアプリを削除し、「肯定的な態度をする」というアプリをインストールすることができます。
それが「成長する」ということです。


自分に愛をそそがないと長く愛されません。
自分に愛をそそぐとは、「なりたい自分になる(愛をベースにした判断で)」ということです。
逆に言えば、「いやな部分をなくしていく」ということでもあります。
「いやな部分をなくしていく」というのが、アプリの削除、「なりたい自分になる」というのが、アプリのインストールです。
時間はかかりますが、脳のアプリの削除とインストールは、小さな努力の積み重ねで実現できます。
焦らず根気よく努力を続けてください。


◎小さな努力


「小さな努力を根気よく続ける」ということの具体例は、たとえば、「怒りたいところで怒らない」「愚痴りたいところで愚痴らない」「自己否定したいところで自己否定しない」「約束をキャンセルしたいところでキャンセルしない」などを根気よく続けるということです。
どんなことでも「反復練習」が必要だということは、運動や勉強などで、みなさんも体験しているはずです。
「いつもなら怒っているところで怒らない」という練習を続けると、本当に「怒らない」でいられることができます。
怒らなければ自分が楽になりますから、ストレスの解消が無用になり、人間関係も良好になります。
「怒らない」というアプリをインストールできたら、次は「人を褒める」というアプリをインストールすれば、さらに愛に近づくことができます(もちろん同時進行でもOKです)。


上にも書いたように、

「挨拶をする」

「約束を守る」

「他人のために気を使う(「気を使わない気使い」も含む)」

などをインストールできれば「愛」に近づきます。


時間はかかりますが、これらは誰にでもできることです。
すぐに結果を求めるからできないだけなんです。
今始めたことは、数ヵ月後、数年後に結果になりますから、今後、自分の成長を感じながら長く愛される人生を送りたいなら、やることは決まっています。
今から始め、そして絶え間なく、無数の小さな努力を続ければいいんです。
そうすれば、数ヵ月後からは、無数の結果が出る充実した日々を迎えることができます。
自分が変わった実感を得られれば、自信につながり、「親の作品」から「オリジナル作品」へ変わることができます。


余談ですが、「いますぐに小さな努力を始める」というのは、「ダイエット」も同じです。
「明日までに5キロのダイエット」はできませんが、1ヶ月前からコツコツとダイエットを続けていれば、明日の時点で「5キロのダイエット」は成功していたんです。
過去に戻ることはできませんから、小さな努力を始めるなら、「今」から始めることです。
今から始めると、1ヵ月後に5キロのダイエットが成功するわけです。



◎まとめ

子どもは親の影響を強く受けて育ちますから、ある意味「親の作品」と言えます。
あなたの両親が「理想の両親」と言えるなら、その価値観で育ったあなたは、自分の考えを通して生きることで、理想の家庭を持つことができます。
両親が「理想の両親」と言えないなら、親があなたの脳にインストールしたアプリの削除、そして、理想を実現するために必要な、新しいアプリのインストールが必要です。
脳のアプリの削除とインストールには時間がかかりますが、努力すれば必ず成功します。
自分を取り巻く「状況証拠」から、自分に不要なアプリ、必要なアプリを判断し、削除とインストールの努力を続けてください。

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