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ココロテン
2023年4月9日 09:39
朝焼け
彼との最後。自分がつまらない人間だと思った。人に合わせること、合わされること。考えれば考えるほど生きづらいけど。今日は気分で歩いて帰りたいと思った。音楽も聴かず、街の音を聞きながら。遠くに見える高層ビル、廃れたカラオケ屋。曖昧な感情を押し殺して、朝焼けの国道沿いを歩く。世の中には情報が多すぎる。いろいろな情報で溢れていて、本質の部分で大事なことが霞んでしまいそうな気が
2023年4月9日 10:04
天国
天国は本当にあるんだろうか。大勢の人は天国といったら空の上にあるイメージをするけど私は下の方にあると思っている。物理的なこともそうだけど、はるか下の方に世界が広がっていてもいんじゃないだろうか。見えない世界には無限大な可能性がある。私はうまく笑うことができない。先日、おばあちゃんが亡くなった。私の記憶の中では元気だったおばあちゃん。亡くなる数ヶ月前に電話で話して、私の体
深呼吸
川を見ると思い出すことがあります。僕はまだ中学生で、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られ学校に向かっていました。電車が川を渡るちょうどその時、川の真ん中に立つ女性がいました。彼女は自殺を考えているのかもしれない。僕は急ぎ電車を降り、川に向かって走りました。川は逸る気持ちと裏腹に、ゆっくりと流れておりました。たどり着くと彼女はスカートを膝まで捲りあげ気持ちよさそうに水と遊んで
夢
上を見れば、私より優れている人ばかりだ。努力も、才能も、好きという気持ちさえ、私よりずっと上がいる。手を伸ばせば伸ばすほど、その距離の遠さが身に染みて、いつしか私は上を見るのを止めた。もう疲れたからと、好きではなくなったからと、諦める理由はどんどん溢れた。思えば思うほど、どんどんと嫌いになった。下を見る。下には、目の前に広がる新しい景色に目を輝かせ、今は届かぬ未来に手
2023年4月10日 22:11
歩く
深夜にカラスが鳴いていた。それを聞きながら私は眠りにつく。長期休みが取れて久しぶりに地元に帰ってきた。地元の空気が懐かしく感じる。高校を卒業して以来、地元の友人、働いていたバイト先の人とは一切連絡を取っていなかった。当時のわたし、今のわたし。なにかが変わったのかな。陽の光を感じて目が覚める。みんな元気にしてるかな。最近ラジオを聴いていたらパーソナリティーの声が昔好きだっ
2023年4月10日 22:13
また会おう
どうぶつ島に捕らえられている竜の子供を助けに行ったり、小林くんと探偵団を作って大泥棒と戦ったり、クラスメイトと恋バナして夢を語って秘密を打ち明けながら夜通し歩いて、黒髪の乙女を追いかけて酔いにまみれた奇妙奇天烈な京の夜を駆け巡って。私は私で、誰にもなれない。それでも、手に収まるこの本は私をいろんな世界に連れて行ってくれる。楽しいこと、悲しいことを経験していろんな感情が溢れ
2023年4月10日 22:14
こうして世界が
世界の中心で愛を叫んでいたら怒られたのでやめた。それは佐々木さんだった。「おはようございます」と僕は言った。「こんばんは」と佐々木さんは答えた。今は夜だった。 朝になった。僕は「こんばんは」と言うしかなかったでのでそう言う。佐々木さんもまた「おはようございます」と言うほかなかった。そのようにして繰り返すうちに叫びたくなった。そう思ったときすでにこの場所が世界の中心として
2023年4月10日 22:15
川添さんから音が鳴る
ある日、あの人は言葉を捨てた。言葉は間違って伝わるから。川添さんはそう思ったのだと僕は思う。だから今となっては川添さんと話すことができない。川添さんは言葉を持たず、川添さんにあるのは川添さんの真実、それだけだった。川添さんは言葉を捨ててもなお、僕の近くにいる。そんな川添さんを見ていると、何か音がする。そのことが僕には感覚できる。音は川添さんの真実を表している。いま、それ
2023年4月10日 22:17
二杯目コーヒーフロート
「ブラックコーヒーは飲めないけど、シロップで甘いのも嫌、ラテはホットがいいから、やっぱり夏はコレに限る、でしょ?」彼女からの誘いで久しぶりに会った僕らは、懐かしい喫茶店にいた。「さすが、よくわかってる」あの頃と変わらない笑顔で二杯目のアイスをつつく彼女を見て、可愛いなと思った。「……結婚する?」あの時はずっと言えなかったのに、なぜか今日はおはようを言うみたいに言えた
2023年4月10日 22:45
白い部屋
もうなにもしたくない。毎日そう呟いて目を閉じる。ある日、目を開けると僕は白い部屋にいた。なんの音も聞こえない、目に見えるのはただ真っ白な景色で、なるほどたしかにこれは何もできないなと察した。しばらくは悠々それを楽しんだが、どのくらい時間が経っただろう。ふと、いつかの雨の日、ずぶ濡れのままにゃあにゃあと鳴く子猫を無視した夜を思い出した。きっと君や僕がいなくなっても何事もな