トラウマケアの方法論⑥ IFSとセルフ
こんにちは。
うるま心理相談室ココロンの、とねがわです。
前回はIFSにおける防衛パーツについてお話ししました。
前回記事:IFSと防衛パーツ
おさらいすると、
内的家族システムでは、
こころの全体をひとつの家族のようなものと捉え、
・全体を見守るセルフ
・そのもとにいる各種パーツ(防衛・追放パーツ)
で構成されている、ということでした。
今回は、その全体を見守るセルフ、について書きたいと思います。
※今回の内容については、
先日参加したIFSのワークショップ↓が大変参考になったので、
そちらを参照しながら、一般向けに説明できればと思います。
(すでに終了している研修です。)
入門的な位置付けのものでしたが、IFSの研修は少ないので、
概念の整理にもなり、大変助かりました。
セルフとは?
セルフの定義は難しく、いくつか文献をみましたが
定まった言い方はされていないようです。
先のワークショップでの森本先生の表現がいいなと思ったのでお借りすると、
わかりやすいイメージでたとえると、
「オーケストラの指揮者」 かもしれません。
指揮者は、全体の演奏をよくみながら、
ひとつの楽曲を調和のとれたものにまとめ上げていく、
いわばリーダーシップをとる存在です。
各パートのことを俯瞰して見て、よく知りながら
テンポや音量を調節したり、
出るところは前に出してあげたりしています。
パーツワークにおけるセルフ、の役割ととてもよく似ています。
セルフは、私たちに内在する
全体のバランスを取ろうとするエネルギーのこと、といえそうです。
このような、セルフが本来の指揮者の役割を果たしている状態を、
「セルフ主導」と呼びます。
(これが、IFSの目標のひとつです。)
セルフの質「8C」
セルフのエネルギーは、下記のような形で私たちの中に現れます。
英語の方の頭文字をとって、「8C」と呼んでいます。
・つながり
・おちつき
・自信
・創造性
・明瞭さ
・勇気
・慈愛
・好奇心
これらどれかの気持ちをもってパーツを眺められているとき、
指揮者である、私たちのセルフが現れています。
あなたにとって一番馴染みのあるセルフエネルギーは?
セルフの8つの質は、
いきなりすべてが感じられなくても大丈夫で、
自分にとって馴染みやすいセルフの質が1、2つでもあれば、
それでいいのです。
…たとえば私個人でいえば、
「好奇心」「明瞭さ」「慈愛」「創造性」
あたりが一番馴染みがあります。
私は「好奇心」について想いを巡らすと、
・ワクワクする感覚
・前に進もうと背中を後押しされる感覚
を感じます。
あなたにも8つのうちどれかに
肯定的な良い感じやエネルギーが感じられたら、
そのなんとなく「良い感じ」が、
あなたがセルフにアクセスするための「窓」になります。
セルフの8Cを感じる意識づけを、
普段から心がけてみてください。
セルフとパーツの関係 〜ブレンド〜
ところで、パーツはセルフと混ざり合うことができます。
どういうことかというと、例えば
といったあるパーツに圧倒されている状態のことで、
これはセルフの中にパーツが混ざってきています。
いわば「乗っ取られている状態」ともいえます。
これをIFSでは
「ブレンド」している状態と呼びます。
セルフ自体は常に存在しているのですが、
パーツの影に隠れてしまっています。
一方、パーツが離れると、セルフにはすぐにアクセスが可能です。
セルフからパーツが離れることを「ブレンド解除」と呼びます。
大切な概念なので、よく覚えておいてください。
ブレンド解除がないとき
ブレンド解除がされないと、
あるパーツを眺めたときに、
といった気持ちが出てきます。
これは、先ほどの「8C」とは性質が違うことがわかるでしょうか?
ではこれは何なのか? というと、
「別なパーツの気持ちや、考え」である可能性があります。
ブレンドしているために、
あたかもセルフかのように、別なパーツの気持ちが出てくるわけです。
なぜパーツはブレンドする?
なぜパーツはブレンドしようとするのでしょう?
シュワルツ博士によれば、
と書いています。
そういう時に「ブレンド解除」が必要で、
立ち止まって、まずはこのパーツの話を聞いていく、
ことも肝要です。
少なくとも「どけろ〜っ」とパワーで追いやってはいけません。
パーツとの関係性を損ねてしまいますので。。
ただ、この辺のやり方はブログレベルでは詳述できないので、
こういうのがあるんだな、
というのをとりあえず知っておいてください。
あとは本を読んだり、専門家に相談しながら安全なやり方で
ブレンド解除していくのをお勧めします。
圧倒的におすすめなのはこの本です。
個人的なつぶやき
私自身は、IFSについて学び始めた当初、
あまりセルフの重要さはよく分からず、正直ピンときませんでした。
「なんかスピっぽいな」とすら感じていました。
ただ、7月のワークショップに出たのと、
シュワルツ博士の「悪い私はいない」を読んで、
やっとこさ意味が理解でき、
「セルフが重要だ」ということが
理解できるようになっていきました。
聞くところによるとシュワルツ博士自身も、
最初にセルフの概念を採択するかどうかは疑念があったそうです。
ただ治療がうまくいくとき、
背景に「セルフのエネルギーがしっかり働いていること」
が共通しているのは、わかっていたそうです。
そこで医師である父(厳格な科学のトレーニングを受けている)に意見を求めたところ、
「自身の直感とデータに食い違いがあるときは、データの方を取れ」
との助言を受けたと。
そうしてはじめて「セルフ」を採択することにした、と聞いて、
ここもまた私としては非常にグッとくるポイントでした。
これを聞いてはじめて僕としては、安心しました。
理屈がよくわかると
臨床もはかどるようになりましたしね。
さて。では、今回は、ここまでにします。
次回もよろしくどうぞ。
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