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3月19日 金曜日 14時 | ホッファーとアーレント

エリック・ホッファーの自伝、90%ぐらいを一気に読んだ。残りの数章と付録のインタビュー記事がとってある。読み終わってしまうのがちょっと寂しいと思ってしまう、そういう本に出会えた。こういう出会いはそう多くない。

エリック・ホッファーの存在は『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)』を読むまで知らなかった。この新書の中でアーレントとホッファーが知り合い、意気投合し、アーレントがホッファーの地元であるアメリカ西海岸を訪れた際にホッファーがウキウキしながらアーレントを案内する様子が書かれている。本の内容的に、戦争、差別、論争などの暗くて重いテーマや描写が連続する中で、このアーレントとホッファーの朗らかなエピソードは心休まるオアシスのように感じられた。

そのアーレントについても、名前は知っていたが著作を手に取るまでは至らずにいた。新書で彼女のアウトラインをざっくり掴み、図書館を利用して何冊か取り寄せてみて、最初に読む本を選んだ。

ハイデッガーの『存在と時間』へ呼応するような内容として位置づけられる『人間の条件』という本がある。この本ははじめアメリカで出版するために彼女の母語ではない英語で書かれた。その後、母国ドイツで出版するためにドイツ語に翻訳され、その翻訳を元にアーレント自身が改訂と注釈を加えた書である『活動的生(Vita activa)』という本がある。実質的に『人間の条件』の第二版がこれだ。

自分はこの『活動的生』からアーレントを読み始めることにした。こちらはなかなか分厚い本で、そう簡単に読みきれそうにないが、それ以上に、内容がいちいち面白くて読むのが余計に遅くなる。目の前の一文に書いてあることが私の思考を掴んで放さない。

ホッファーにしてもアーレントにしても、その思想や哲学の奥深さもさることながら、人間的魅力に惹かれる。

SN

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