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豚の上で待ち合わせ

日曜日。
僕は兄の家に遊びに行った。
一時に集合のところ、パートナーの都合で到着は四時過ぎになった。

男四人、そして僕達。
ポケモンの対戦を見せてもらったり、
こちらが持って行ったゲームを試してもらい

兄の手料理が登場。

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とても美味しかったらしい。

そして友人が持ってきてくれたお酒とケーキも少し頂いた。

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兄が二ヶ月前に誕生日だったので
ケーキは兄の誕生日仕様。

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幸せな気分の僕達は
大好きな人の配信を聴きながら電車に揺られた。


帰りたくなかった。


いつもなら駅のホームで時間を過ごすところ
iPhoneの充電があまり無かった。

「イヤホン挿しながら充電出来ないね。」

僕がそう言うと
表に出ていた人格が驚きの提案をした。


『土手に行こう』


本当に土手に向かい、草の生い茂った階段を降りて土手に着いた。

真っ暗な土手。
対岸の夜景が綺麗に見えた。


「本当に土手に来てしまった。」
人格交代。僕が表に出た。
思わずTwitterに呟いた。


大音量で配信を聴き、iPhoneの充電を始めた。
少し向こうでは男女が花火をしていた。
あちらもこちらもお互いに気にしてはいなかった。


僕は僕よりも大きな豚の置き物の上に寝転んだ。

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【今日の私のやべー格好だれかにみてほしいわ】
とある方のツイート。
全てはここから始まった。

「反対側の土手に居るので来て下さい。」と僕。

本当に向かってくれる事になった。
それは夜の二二一七。

「配信が終わるまでに来て下さい。」
パートナーが寝る時間を考えて書いたツイート。
しかし配信は続き、遂には他の方が続けて配信をし始めた。


いつしか僕と彼女のツイートは
「織姫と彦星」と言われていた。
僕が彦星になれる自信は無かった。


大音量で流れる配信
下ろし立てのリュックを枕に
僕は他の人格達と話しながら
空に輝く月と星を握っていた。

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頭の方から誰かが近付く音がした。
クロックスが土手を踏む音。

僕はゆっくりと起き上がり
音の方向を見た。


「本当に会えた。」


嬉しくて堪らなかったけれど
寒さにやられて少し話しただけで人格交代をしてしまった。


「○○さんだwww」と他の人格。


持っていたカフェオレとありったけの絆創膏を渡した。

そこから色々話をしていた。
会話は僕達と彼女だけの秘密。


「あと少しで今日が終わりますよ。
なんかハッピーニューイヤーみたいですね。」

『それならハッピーニューデイズですね!』
と彼女が笑う。

月曜日を一緒に迎えた。

【ハッピーニューデイズ!】
土手に響く二人の声。
ケラケラと笑いながら日曜日が終わり
月曜日が始まった。


「歩いて帰る」と言った彼女。
電車を提案したけれど。
ワープでもしない限り間に合わない事が発覚。


『一時間歩けば家に着く』
心配だけれど、彼女の慣れと絆創膏を信じてお別れ。

どうやら泥にはまってガン萎えしたそうだけれど
配信をしながら無事帰宅してくれた。


朝、僕がTwitterを見ると
彼女も全然寝ていなかった。


今度は昼頃お会いましょうか。

https://note.com/mamii_onakaitai/n/nfdc2fd32d7db?sub_rt=share_pw