冒険はもしかすると日常の延長に突然現れるかもしれない本の話
何を読んだらいいかわからない、と言ったあなたへ、私の好きな本の話をしよう
7月の圧倒的な熱が少しだけ冷めたような気がして、ほんの少しホッとしています。
最近って、8月より7月の方が暑い気がして、本当に気候がよくわからない。
氷河期を越えて生きてきた生物や、熱帯に順応した生物はいるだろうけれど、10年くらいではなかなか人類は順応できないんじゃないかしら。
科学は現実に追いつくのかしら?
池澤夏樹さんの好きな本はいくつもあって。童話のような「南の島のティオ」や、写真と文章のかかわりが美しい「きみが住む星」、大学時代に物理学を専攻されているためか、科学が関係しているエッセイや研究者が主人公の小説も多くあるのが興味深いの。
そんな中で、今回は「旅」の小説のひとつをご紹介したいんだ。いや、旅を通り越してもはや「冒険」の物語を!
主人公の林太郎さんはエンジニア。ひょんなことから仕事で「ナムリン」という国に行くことになった。書かれたのが2000年の小説なので、インターネットでメールを送るのもちょっと大変な時代の様子が出てきて、興味深い。
仕事に行った外国で、林太郎さんは冒険に巻き込まれる。それは日本にいた、息子の森介くんをも巻き込む大きな出来事になっていく。
そこに絡まっているのは、信仰だったり宗教だったりもして。よく知らない外国で、よく知らない大きなことに巻き込まれる。
とはいえ、冒険というにはほんの少しだけのんびりするような場面があるのは、これがインディ・ジョーンズやトゥームレイダーみたいな「本格冒険小説」ではないからだと思うんだよね。
特殊ではあるのだけど、日常生活の延長線にある冒険、というのを強く感じるの。冒険なんて特別じゃないんだよ、すぐそこで出会うんだよ、と言われるみたいな。
外国での普通の暮らしであっても、人によっては大きな冒険だと思うんだよね。そんな中で冒険に巻き込まれるなんてこと、あるわけがない。それが「普通」。
でも、もしかしたら明日にでも、私たちの日常のほんの少しの延長線上に、突然冒険が待っているかもしれない。スーパーに行くための身軽な恰好に買い物袋で、突然異世界転生する小説なんかも流行ってるわけだしね。
一方で外国での毎日が、もしかすると冒険が、それに触れる小説が、自分や自分の国や自分の周りのことを振り返るきっかけになるかもしれない。林太郎さんが僧侶たちの舞を見つめながら、いろんなことを考えて考えて考えて……ふと、自分は混乱している、と言ったようにね。
そんなことをふと思うような小説は、夏に読むのにぴったりな気がする。しかもこれは、ちょっと分厚い本だしね。
ちなみにこの「すばらしい新世界」の林太郎さん家族がでてくる話が、「光の指で触れよ」というタイトルでのちに出版されたんだけど。あんまりにも話の展開がびっくり過ぎて、同じ家族に起こるの?と思ってしまった。とにかくびっくり。もしご興味があれば、以下です。
子供のころ映画「グーニーズ」がとっても好きだったんだけど、見たことある?あれも日常の延長線上の冒険だったよね。
大人になったら冒険なんてあまりしないけれど、週末にちょっとした冒険をしてみるのも悪くないかもね。例えば、飲んだことのない飲み物を頼んでみるとか、小さなことからどうかな?
ではでは、またね。
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