悪しき組織論

 体操の宮田笙子さんの件ですがね。
 パリ五輪出場辞退は、仕出かした事から鑑みて致し方ない結論ではある、と思いますけれど。

 もう一度言いますが、悪いのはあくまでも本人です。
 未成年でありながら飲酒・喫煙を、それもナショナルトレーニングセンター内で行ったとなれば、これは言い逃れのしようもない話です。
 事が明るみになったのが何者かによる内部告発であった点は引っ掛かる気もしますがね。

 ただ、“辞退”に至る過程に於ける日本体操協会の対応は、これが日本の体操競技に於ける最高機関がやる事か?と疑問に思うところでありましてね。

 内部告発によって事が明るみになるとモナコで合宿中であった彼女を帰国“させ”、帰国するやいなや協会幹部が事情聴取を行い、その場で“辞退”する事が決まってマスコミへと流され、間髪入れずに7月19日協会幹部による記者会見が行われた。
 記者会見の席上、協会幹部は一連の出来事とそれにまつわる協会としての責任を謝罪し、「今後は宮田選手に寄り添いたい」と頭を下げたのでありますが……
 事が公になりそうになった途端にモナコから「帰って来い!」で、長旅で帰国した彼女を休ませる間もなく複数の協会幹部連で雪隠詰めにした訳でしょ?

 何処が寄り添ってますのん!?

 不祥事が起きたかもしれんと分かった時点で協会の人間がモナコに飛び、現地でじっくりと事情を聴き、それで“辞退”の結論が出たなら一緒に帰国して、とにかく彼女をマスコミなどの好奇の視線から徹底ガードした上で、それを経ての記者会見ならば「寄り添っている」と言えますけれど。

 こうなると“辞退”というのも眉唾で、本来の意味で言うなら彼女自身が「出場を取り止めさせて下さい」と決断する事を“辞退”と言うのであって、事情聴取という名目で協会の偉いさんに雪隠詰めされた末の……というのを辞退と言うて良いものやら。

 こんなん、学生が校内で煙草吸うて相談室やら言う小部屋に連れ込まれ、教師数名に取り囲まれて「お前、吸うたやろ!?罰受けなアカンわな?」と強要されて停学食らったのと変わらんでしょうが!
 私も専門学校中退なんですが、
 「自分から辞めるのと学校からクビにされるのじゃあ世間の受けが違うからねぇ。将来を考えたら…」
と、暗に自主退学を強要された覚えがあります。
 ま、その学校、私が退学してから十数年後に時の石原慎太郎都知事の手で“強制退学”させられてましたけどね。

 まぁ、どんな競技であっても選手というのは“子供達”であって、その競技団体の幹部役員というのは“大人”であり“保護者”という位置付けなのですから、そこいら辺はキチンとしてあげて欲しいもんであります。

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