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オンライン個人開業のステップ

これは、今からオンラインでお仕事を始めることを考えている同業者の方に向けての、私のお勧めしたい開業に向けてのステップです。
私は公認心理師・臨床心理士として、心理相談業務を主たる業務としています。そういった心理相談業務のためのオンライン開業をする手順になりますから、他の業種の方とは異同があるかもしれません。

自分なりに考えてやってきたものの、やったからわかる部分も、やっててかわる部分もあります。
時間が経って忘れないうちに残しておこうと思い立ちました。


1.イメージを膨らませましょう。

そこから?と言われそうですが、そこからです。
どんな人たちに、どんなサービスを届けたいのか。
自分にはどんなことができるのか。どんなことができると嬉しいか。

私がオンラインのカウンセリングルームを始めた動機はいくつかありますが、こころの相談室ねこのてのコンセプトは「間つなぎ」です。
人と人の間をつなぐ。困っている人がどこかに腰を据えて相談するまでの間をつなぐ。そういう腰かけや止まり木でいい、と思っています。
というのも、私自身はブリーフセラピー(限られた回数のなかでできることを探す心理的援助の技法)の勉強をしてきたことで、1-3回の面接でも、その中でできることを探すことは可能であることを知っています。
文字の世界や音声のみの世界でも、Solution Focusedなアプローチは安全に介入する指針になることも、体験してきました。私には文字の世界や音声のみの相談の経験があり、オンラインでの相談にとりかかえる心のハードルは低かったのです。
今までやってきたことを少し枠を広げたり、枠を整える。そうすることによって、残念ながら今までお手伝いが難しかった人に届けたい…。
そして、有資格者による、安全で適切な価格設定のカウンセリングが普及してほしい気持ちがあります。
また、支援者を支援することが私がライフワークとしたいことであり、スーパーバイズの要素も欠かすわけにはいきません。
そんな風に自分のやりたいことのイメージを膨らませ、やりたいことを整理しました。
折しも、Covid-19の流行下で、多くの人がオンラインで何かできないかと手探りを始める状況となり、その波が私の背中を押してくれたように思います。

具体的に、自分が関わりたい誰かのためにとイメージすると、このイメージを膨らませることと、サービス内容の具体化はしやすいと思います。
あなたは、どなたに、どんなお手伝いを届けたいと思いますか?
自分はどんな風な心理職として生きていきたいですか?
同業者やユーザーさん達に、どのような心理職として見てほしいでしょうか?

2.名前を決めます。

これ、とっても大事です。
自分のやりたいことのイメージや方向性が決まったら、そこをある程度は反映させるようなネーミングになってくるかと思います。
真面目な印象を与えるのか、キラキラした印象を与えるのか、あったかい印象を与えるのか、どんな名前がお好きでしょうか。
自分の名前を用いる手もあります。
オフラインでも活動していくことを考えると、地名を盛り込むのもいいでしょう。

多くの心理職の方が開業される場合、業務内容を示す言葉を補足して、ネーミングしていらっしゃるように思います。
たとえば、私の場合、「カウンセリングルーム ねこのて」とするか「こころの相談室ねこのて」にするかで迷いました。
心理研究室や心理相談室などなど、どんな言葉を組み合わせるか。
ひらがなにするか、漢字にするか、カタカナにするか。
この作業を優先するのには理由があります。

3.メールアドレスを取得します。

名前が決まったら最初にしてほしいことは、メールアドレスの取得です。
メアドには、できれば、自分の屋号を盛り込みたいではないですか。
ですから、名前が先なんです。

そして、この先のいろんな手続きで、メールアドレスは必要になります。
業務用のアドレスは一括して、そのアドレスで問い合わせしたり、登録したりするのが、後々の面倒を減らせます。
私はこの順序ではなかったので、ネットでのサービスを使うにあたり、どこはどのアドレスだっけ?という管理の手間を増やしてしまいました。
面倒ですよ。
ですから、メアド取得を先に。

いいですか。メールアドレス取得を先に。

4.ロゴを作ります。

次は、ロゴを作ってみましょうか。
自分のイメージカラーを決める作業を兼ねています。
このロゴに合わせて、ホームページを作っていくと一貫したイメージのものが作りやすくなるため、ロゴが先をお勧めします。

便利なもので、無料のロゴメーカーもネットにはいくつもあります。
私もそういったロゴメーカーを利用したのですが、無料のままだと画素の粗いデータしかダウンロードできない仕組みになっていました。
有料にすると、ホームページを作ってもらえたり、名刺やTシャツを作ってもらえたりというサービスもあるサイトだったのですが、さすがにカウンセリングルームのロゴ入りTシャツやら紙袋やらはいらない…と思ったので、無料のままにしました。

その後、プロのイラストレーターさんを御紹介いただけるチャンスがあり、それを機に色味を変えてロゴを見やすくすると同時に、トリミングしてもらって使いやすいように調整してもらうことができました。

この辺りの作業、自分で楽しむのもよいですが、プロにお願いするとクオリティが変わるのは確かにです。

5.HPを作成します。

ロゴができたら、その色合いにあわせて、ホームページを作ります。
私の場合は、Wixを利用して何度かHPを作ってきたことがあったため、自作することにしました。
パーツと文章を組み合わせていくだけで、HPは素人でも作ることができます。
けして難しい作業ではありませんが、目の疲れや肩こりは覚悟したほうがいいかもしれません。

HPに盛り込む情報も、これまでのプロセスのなかで、整理されてきたのではないでしょうか。
契約書や医師の同意書、カルテの管理、守秘義務のことなど、ユーザーに伝えなければいけないことはいろいろあります。それらの文書の準備も必要になります。

なによりも、どんなサービスを提供したいかが頭の中で整理されていないと、ホームページは作りにくいものです。
誰に向けて、どんなサービスを、どれぐらいの価格で提供するか。
しかも、自分のサービスは、どういったシステムで運用していくか。
そこが頭のなかで整理できないと、HPとしてまだ見ぬユーザーにプレゼンテーションできないと思います。

私は、自分のサービスとシステムを、どれぐらい見やすく示すことができるか、初めてサイトを訪れた人にわかりやすくできるかを心がけて、HPを作るようにしました。
HPは、自分は何者で、何をしたいかを伝えるお手紙のようなものです。
私もまだまだ発信は不十分ですが、サイトを訪れてくださる方に感謝です。

6.銀行口座を決めます。

メアドが取得できると銀行口座を作る作業に取り掛かることができます。
ロゴを決めるほうが先でもいいのですが、ネット銀行の手続きには個人情報の確認のため、少し時間がかかるので、新しく口座を作る人は早めがいいかと思います。
特に、事業者名で口座を作りたい方の場合、個人で口座を作ってから、事業者名で口座を作るという二重の作業になりますので、単純に時間は2倍になります。ただし、事業を確認するためのホームページが必要になりますので、ご注意を。
銀行を選ぶなら、入金があったらすぐにスマホやネットで確認できる口座であるとよいと思います。
また、ユーザーにどういった入金方法をしてもらうかによっても、便利な銀行が変わる可能性もあります。

7.入金方法を決めます。

HPを作成するときに、ユーザーにどのような流れでサービスを利用するのか、サービスを提供するシステムを考えると思います。
キャッシュレス決済の方法は乱立しているため、すべてを導入するのはアカウントの作成の手間や管理が煩雑になりそうです。
HP作成のWEBサイトでは、すでにzoomと連携していたり、予約システムやサービス販売ができるようになっているものもあります。その場合、そのWEBサイトで使える決済方法の中から選ぶほうがエネルギーは少なくてすむかもしれません。
あるいは、決済方法を選んでから、付属して使えるサービスを利用するようなことも可能だと思います。

私の場合、当初は銀行振込だけでよいかと思っていたのですが、ちょうど、感染症の流行に伴い、外出自粛の要請が各地に出されたことから、決済もオンラインにしたほうがよい、自分だってユーザーの時にクレカ決済やキャリア決済が便利であるのだからと、オンライン決済を慌てて導入することにしました。
メインで使っていこうと考えているのはPayPalになりますが、Peataxとの連携がよいことから、今後はワークショップを行う時にPeataxを用いてみるという可能性が開けました。

8.帳簿をつけます。

これを忘れてはいけませんでした。
帳簿をつけることと、レシートを保存すること。
オンラインでの開業と言えど、お金のやり取りが発生する以上、記録はきちんと残さなくてはなりません。
独自ドメインの取得など、HPの運営にも有料プランを使うことになるかもしれません。
zoomなどのツールも利用料が発生します。
そういった自分が支払うコストと、いただいたお金のどちらも、溜め込まずにちょこちょこと記録していきたいものです。

その点、PayPalは利用記録が非常に見やすいうえに、オンライン会計ソフトと連動しています。
私は帳簿のいろはがわかっておりませんので、評判のよかったオンライン会計ソフトのおためしプランに申し込んでみました。とりあえず一年間使ってみようと思っています。
めざせ、来年の確定申告、です。

9.税務署に開業届を出します。

最寄りの税務署に行くと、「個人事業の開業・廃業等届出書」という紙があります。国税庁のHPでダウンロードすることも可能です。
これに記入して、税務署に出すと、あなたはもう個人事業主ということになります。
一緒に「青色申告承認申請書」というものも提出することになると思います。
前もって提出しておかないと、青色申告ができないことになるそうですから、ぎりぎりに先延ばしにしないほうがよいと思います。

これらの書類について様々な説明するサイトがありますが、税務署に行き、税理士さんに相談されるとよいと思います。
私はほとんど一緒に書いてもらったのでした。

10.SNSで発信をします。

人によって使い勝手のいい、使い慣れたSNSは異なると思います。
これでなくてはいけない、というものではないと思いますが、人目に触れる自助努力として、SNSを利用しないという手はありません。
Twitter、Facebook、Instagram、LINEなどなど。
自分が負担にならない範囲で、広告を打つことができたらいいですね。
なるべく頻回に近況を発信し続けないと、そのサイトが生きているかどうかもわからないと思うのです。
現在も運営しています、こういう人がやっていますという部分も含めて知っていただくために、日々のSNSの更新は、新たなユーザーに見つけてもらうための大事な場だと考えています。

今の私が考え付くのは、このあたりです。
読んでくださった方に、なにかのヒントになったでしょうか。
困っている人、助けを求めている人に、人を支えたり、慰めたり、いたわったり、励ましたり、育んだり、治したり、癒したり、お手伝いするスキルを持つ人が、うまく出会うことができますように。

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