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庭園のバラを撮影していたら、ふいに声。 「〇〇ちゃん、このオバサンがどくまで、いい子で待とうね」 ふりむくと、プードルとオバサン。 私、今オバサンに、オバサンって言われた! 切れ味あっぱれ、ハイ、負けました。
杏里の『オリビアを聴きながら』の歌詞の女性に、お茶の知識があったとしたら。 好きなジャスミンティーは日中のんでリフレッシュ。 良眠でメンタル安定、彼が愛したのは私の幻…などと発想することもなかった、かナ?
ジャスミンティーはカフェインを含むので、眠りを誘わない。むしろ目がさえるほうに働く。 杏里の名曲『オリビアを聴きながら』に憧れた世代としては、驚愕の事実を知った。 夜明けの電話に、イラッとくるわけである。
96歳で旅立った祖母が夢に出てきた。 スカーフを髪に巻いて、大きなイヤリング、顔はたぶん40代。 白い洋風の一軒家に住んでいて、ソファーがあり芝生の庭が見えている。 晴れわたって静か。 不思議な目覚めだった。
半夏生(ハンゲショウ)。 その植物の名を知ったのはいつだったか。 ひとひらだけ白い葉が、何かの余白のようであり、抜け落ちた記憶のようであり。 「ねぇ君たちは、どうしてその姿になった?」 しげしげ眺めてしまう。
ホットサンドメーカーがコンロに置きっぱなし。 夜寝る前に片付けようと思って持ち上げたら、キツネ色の、しかし冷たくなった食パンが挟まっていた。 今朝せっかく焼いたのに、おかずだけ食べて、忘れていたのである。
ありふれた、でも今の自分を乱している過去のトラウマ。 「私にも同じ傷があるよ」 と話す人に、今日出会った。 「その苦しさ、わかる。私も同じだから」 痛みを共有できることが、こんなにも心に力を授けてくれるとは。
「あの指揮者、米津玄師っぽいよね」 友人の一言で、突然それは始まった。 絶対に笑ってはいけない地獄。 管弦楽の繊細な調べ。 息をひそめる観客。 私は口をおさえ腕をつねり、体の震えに耐えに耐えた。 死ぬかと思った。
祖母の形見から、ロケットタイプのペンダントが出てきた。 爪先で開けると、左に祖父、右に祖母、それもかなり若き日の。 亡夫だけでなく自分も入れて、ずっと身につけていたのだ。 祖母らしくて、可笑しくて…涙出た。
リラックスのための「夕暮れのハーブティー」は、お湯を注いで10分待つ。試しに、タイマーで測ってみた。 そろそろかな? まだ3分! もういいかな? まだ5分。 せっかちな性根も、抽出されていく10分であった。
私が私であること。 それが煩わしくて、一切の自分をやめたくなる日がある。 一方で、私が私であることを誇れる日もある。 どちらであっても、結局目の前のことをやるしかなくて。 お米を研いだり、洗濯を始めたりする。
娘が大切にしていた、ハリーポッターの、あのホウキ。素敵な夢をいっばい授けてくれたけど、いつしか部屋の隅で、魔法は消えていた。 迷った末に不燃ゴミへ。しかし、大きすぎたのか結局回収されず、舞い戻ってきた。
ホテルニューオータニのスーパーメロンショートケーキ。 一口食べてうなった。 「か、軽い!」 クリームも果肉も生地も、全てがふわっと、パーフェクトに調和している。 スーパーメロンショートケーキ。 この名しかない。
いつのまにか庭のユズに、白い小さな花がついていた。指先で触れると、キリッと柑橘の爽やかな芳香がたちのぼる。 花と若い芽をつんで、朝のバスタブに浮かべてみた。 立夏はとうに過ぎて、季節は次へと向かっている。