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第70回ケア塾茶山は『体の贈り物』を読み進めます。

 先般の災害で被災された方々にお見舞い申し上げます。


 第69回は「汗の贈り物」を読みました。

 彼は動かなかったが、「やあ」とすごく静かに言った。
 「どうしたの?」と私は言った。
 彼は小さな動物みたいな音を立てた。

 (中略)

 「いいや」。リックはまた唾を飲み込んだ。息の匂いがした。「いいや、結構」

 (中略)

 「すごく寒い」と彼はもう一度言った。
 私はリックの背中に触った。汗ばんで、熱かった。

 (中略)

 しばらくして、震えが弱まった。汗はまだかいていて、彼の顔の側面がさっきより濡れているのが感じられた。泣いていたのだ。

文庫本『体の贈り物』より抜粋

 日本の現場ではありえないようなケアの描写に感心し、参加者の間では共感を呼びました。
 作品の中のケアワーカーが目にしている場面を、私たちも介護の中ではしょっちゅう体験しているわけですが、それがマニュアル的なものによってどんどん瘦せ細った言葉と感覚になり、ずぼーんと抜けたケアの記録と経験しか残らなくなります。
 進行役の西川勝先生曰く、ブラウンみたいな書き方をすることによって、相手に対する自分の姿勢が露骨に現れてくる、そしてこういう書き方ができたら、ケアも変わるのではないかという。

 第70回は「充足の贈り物」を読みます。
 ご参加を心待ちにしております。

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