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ここのねの教育方針

 私たちは、昨年2020年の秋まで、ここのねを「カリキュラムのない学校」と言ってきました。それは「サドベリーバレースクール」の教育方法や「“やってみたい”が子どもたちの中から生まれるのを待つ」という姿勢を大事にしていたからです。

 しかし、子どもたちと活動していく中で、「私たちが大切にしたいこと、してほしいことをもっと子どもたちに提案してもいいのではないか」と少しずつ私たちの考えが変化してきました。それは、私たちが何か活動を提案したときに、子どもたちが生き生きと学ぶ姿があったからです。もちろん、提案された活動に参加するかどうかは本人が選びます。

「”やってみたい”が子どもたちの中から生まれるのを待つ」という環境を大事にしながらも「色んな体験をしているうちに自分の”やってみたい”が見つかる」環境も大事にしたい。これが、ここのねの新たなカリキュラムが生まれた背景です。

 ここでは具体的に子どもたちがどのように学んでいくのか。ここのねの教育方針となる「カリキュラム」と「学校生活」についてご紹介します。

【カリキュラム】

〜3つの学ぶ時間〜

◎からだとこころ

 身体と心は互いに深く関わり合っています。身体が健康で体力があるということは、子どもたちの心を自然と元気にし、学ぶ意欲、生きる活力が生まれます。
 また、ここのねを卒業してからも、生涯にわたって自分の身体や心と上手に付き合えることが「わたしの幸せ」を追求するためには必要不可欠なことだと考えています。
 そのため、ここのねでは毎日「からだとこころ」の時間があります。身体をめいっぱい動かして遊ぶことで、自分の身体を上手に使いこなせるようになり、自然と体力を身に着けることが目的です。また、身体と心に関する知識を得ることも大事にしています。
 一年間を通して「食」「睡眠」「性」「感情」「運動」などについての講座を開き、身体と心の仕組みを知識として理解し、習得できるように計画しています。知識としての理解と、実際に身体を動かす実感が深く関わり合う体験を重ねることで、自分の身体と心を大事にできる人になって欲しいと考えています。と考えています。

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◎出会う時間
 知らないこと、やったことがないことがあるということは、自分の世界を広げるチャンス
だと、私たちは考えています。子どもたちが自分が、自分が興味があることを調べてこれまで知らなかった知識を身につけたり、やったことがないことに挑戦したりする時間を「出会う時間」と呼んでいます。
 この時間には、スタッフが準備したチャレンジシートを使って自分のペースで基礎学習を進めたり、外部講師の「ここのねクリエイター」による講座を受講したり、ものづくりや料理などの体験をしたりすることができます。
 たくさんの選択肢がある中で、自分の興味があることを自分で選んで学ぶ経験を積み重ねることによって、自分に合った学び方を知ることも大事にしています。

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◎プロジェクト
 「からだとこころ」「出会う時間」を通して知識や体験を得ていく中で、子どもたちの中から「もっと知りたい」「もっとこんなことしてみたい」という探究心が生まれたとき、「プロジェクト」は生まれます。
 例えば、「出会う時間」にスイーツ作りが好きになり、熱中していた子が「自分で作ったスイーツをどこかで販売してみたい」と考えたとき、その子の探究の時間が始まります。スイーツ作りの「ここのねクリエイター」に講師として来てもらい、スイーツ作りのノウハウや販売について直接プロの技を教えてもらったり、実際にお店で販売する経験をさせてもらったり。その体験の幅は無限にあります
 また、自由研究として「なぜ温泉の水は色が違うのだろう?」「どうして空は青いのだろう?」という自らの内側から生まれた問いを深めるために、理科専門の「ここのねクリエイター」に講座を開いてもらうこともできます。ここのねでは、子どもたちの興味のあることを深めることのできる環境を常に準備し続けることがスタッフの大事な仕事です。


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〜多様な外部講師〜

◎ここのねクリエーター制度
 外部講師として「好き」や「得意」を子どもたちに楽しく伝えてくれる「ここのねクリエイター」(以下、ここクリさん)は、ここのねの理念に共感し、深く理解をしてくれている人がなってくれています。
 「からだとこころ」や「出会う時間」には、スタッフから講師として講座を依頼し、子どもたちに提案することもあります。また、「プロジェクト」では、子どもたちから「このここクリさんにこんなことを学びたい」という声が上がり、子どもたちがここクリさんに直接交渉する経験もすることができます。ここクリさんは、子どもたちへの好奇心や興味が生まれるキッカケを与えてくれる存在でもあり、子どもたちの「もっと知りたい」という探求学習・自由研究を支える存在でもあるのです。

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〜自分の手で創る学校〜

◎土づくり
 ここのねに唯一あるルールは、「学校のルールはみんなで決める」こと。そのため、ここのねでは週に一度「土づくり」という任意参加のミーティングが開催されます。ここのねをより良くするために、自分が必要だと感じたことを、大人も子どもも混ざり合って話し合います。
 安易な多数決をせず、一人ひとりの意見を大切にし、納得できるまで話し合います。そして、一度決めたことであっても、必要があればまた話し合って変えていくこともできます。話し合いを通して自分の手で学校を創ることができるのです。  

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【学校生活】

〜テストや通知表で評価をしません〜

 学力とは、「学びへと向かう力」だと考えています。それは、点数で測ったり、他者から評価されたりすることはできません。しかし同時に、その力を言葉にして共通の認識を持つことはできると考えています。子どもの成長を言葉と写真によって可視化し、「わたしのこたえを創る」というゴールに向かって、いま自分が今どこにいるのかを把握できる、それがここのねでの評価のあり方です。

◎デジタルeポートフォリオ
 ここのねでは、デジタルeポートフォリオ「ストーリーパーク」を利用して評価を行います。スタッフや保護者は、子どもを観察し、ビデオや写真、文章をアプリ上に投稿することで、子どもの成長や学びを瞬時に記録します。パソコンやスマートフォン、タブレットからいつでもアクセス可能であり、ここのね・家庭・子どもと創り上げる新しいかたちの評価のあり方となります。日々の記録を積み重ねることによって、子どもの成長を「可視化」し、ここのねにおける評価の基準をここのねと家庭の間で共有することで、子どもの成長のサポートをより多角的に行うことができると考えています。


〜保護者との繋がりは、紙よりもデジタルで〜

 ここのねでは、紙や電話での業務を極力少なくし効率化することで、少しでも環境に配慮した学校運営をすることと、スタッフが子どもの育ちを見守るためにより多くの時間を使えるようになることを目指しています。

◎オンライン連絡網
 ここのねでは、オンライン連絡網アプリ「BAND」を利用して、ここのねと家庭とのコミュニケーションを図ります。お知らせや日程共有、活動の写真・動画の共有・保護者との連絡などはこのアプリ上で行われます。
 また、保護者のみが参加する「おとなのここのね」というグループも存在し、そこでは普段なかなか相談できないことを投稿してみたり、おすすめのカフェスポットを共有してみたり、学校近くのコワーキングスペース(有料)の予約などの活動が自発的に行われています。

 自由な環境にいれば自動的に自由になれるわけではなく、自由になろうとする気持ちや行動によって自由に近づくことができます。そのためにここのねでは、その子が生きたいように生きることができるための環境を日々準備します。
 しかしいちばん大事なのは、ひとりひとりの子どもたちと対話をして、その子から溢れ出すものを引き出すことです。心の根っこから聴こえる声を大事にして「わたしだけのカリキュラム」を一緒に創りましょう。


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【2021年度 募集要項】

【理念と大切にしていること】








ここのね自由な学校は日本の法律上、公的な支援が受けられません。それは回り回って子どもたちの経済負担に重くのしかかっています。ここのねを「誰でも通える学校」にするため、ご支援をよろしくお願いいたします!ご支援いただいたお金は、給付型奨学金や施設設備の充実等に利用させていただきます!