石川諭

静岡県生まれ。1985年、1台のカメラを手にニューヨークへ。地元紙で2003年まで記者…

石川諭

静岡県生まれ。1985年、1台のカメラを手にニューヨークへ。地元紙で2003年まで記者カメラマン。2004年からフリー。現在はブルックリンがすみか。旅は続きます。

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  • a Story of Thomas /NYの路上から

    これは、私がホームレスのトーマスとニューヨークの路上で出会い、社会復帰というセクセス・ストーリーをふたりで夢見た4年に及ぶ物語です。

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去りゆく夏の背中かな

去りゆく夏の背中かな

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  • a Story of Thomas /NYの路上から
    8本

記事

    車掌から‐夏の海辺の遊園地

    車掌から‐夏の海辺の遊園地

    サマータイム

    サマータイム

    トンボ ボクのアパートに一泊滞在!

    トンボ ボクのアパートに一泊滞在!

    見栄を切る入道雲

    見栄を切る入道雲

    積乱雲を通過するジェット機

    積乱雲を通過するジェット機

    どこでもエレベーター

    ここがオジサンの仕事場である。 オジサンはエレベーター・マンである。 手動のエレベーターだけど、驚くなかれ、最新鋭の優れモノである。 どこにでも連れて行ってくれる「どこでもエレベーター」なのである。 乗ったら、立つ場所は真ん中である。 恐れなくてもよいのである。 ただイマジンするだけの、思考の中のワンダーランドなのである。 ボクがドリーマーなら、キミもドリーマーってことである。 このエレベーターのある場所は内緒である。 キミの町にもあるかもしれないからである。

    どこでもエレベーター

    雨あがり美術館 作品番号#6  えんとつ兄弟のせいくらべ

      ボクのアパートは海の近くの町にあります。海沿いの道のはずれからは、ニューヨーク港に立つ自由の女神だって見えます。   普段は、そんなこと、意識することもありません。だって、我が街サンセット・パークは、潮の香りがしてサーファーもいるようなサザンの湘南とは大分違うのですから。ただ、マンハッタンと水で隔てられているこの地理的状況に、なぜかホッとしている無意識の自分がいる感はあります。   イースト・リバーとハドソン川と大西洋が交わる所、それが、ここ、ニューヨーク港なのですが、

    雨あがり美術館 作品番号#6  えんとつ兄弟のせいくらべ

    ざあざあ ざー

    路上映画館は雨になり ポップコーンも ふにゃけちまった 土砂降りの銀幕 ヒロインは 傘を忘れた通行人 ホワイトノイズを身にまとい 潔い良いほど濡れながら 横断歩道を渡ってく 55秒の短編のキミ                                                        La Fin  

    ざあざあ ざー

    月追いかけて三月がゆく

    ある夕暮れ ワインを飲んでいた時分に コップの白ワインを揺らしたのは 銀色の か細い月 心象風景に誘われて ふと浮かんだ雲のような気持ちを書き留める。 ああ あと2週間で15番目の月 その晩は晴れるだろうか ボクの町からも見えるだろうか 月はどこに在り ボクはどこで空を見上げるだろうか 幾日かが過ぎて 道半ばの時期になり 月の旅は途中で ボクも旅の途中さ。 霧雨の夜 古めかしい映画のワンシーンのように町は静まり返っていた 雨雲にさえぎられて見えない月を夢想すれば その分だ

    月追いかけて三月がゆく

    生きる

    生きているということ  いま生きているということ それはのどがかわくということ という書き出しで始まる、詩人・谷川俊太郎の「生きる」は、日常をしっかり見つめるまなざしの価値と、素直な言葉の重さと、愛へと続く人生の旅路のありかに気付かせてくれる40行。今この瞬間に、だれの上にも平等に流れている時間が40行というバックパッカーになって、ある日ボクのまえに現れ「やあ」と声を掛けてくる。ボクも応じてみる。「やあ 友よ タビビトよ」。 しょせんモノでしかないモノに騙されそうになったり

    鉄人の谷 の HEART BEAT

    マンハッタン・ブリッジの上を通過する地下鉄の軋んだ金属音に包まれて、ボクは考え始める。今、DUMBOにいる。 薄汚れた銀色の車体から上へ下へと拡散する轟音が、周辺のアパートビルのガラス窓にぶつかって跳ね返り、波打っている。その鉄のパーカッションの響きは意外に安定していて、この街の心臓(ハート)が打ち出す鼓動だと思うのは、ボクだけではないはず。 ここ。 そう、「鉄人の谷」に行くには地下鉄「F」ラインに乗って「YORK STREET」駅で降り、鉄とコンクリートで出来た素材感むき

    鉄人の谷 の HEART BEAT

    晩夏のヒマワリロック

    風よ 9月の風よ ブルックリンの路上で 年老いたひまわりがギンギンに 「命のロック」を歌っているぞ 身の丈2メートルのシンガーの 大輪の瞳が 下を向く 夏の太陽を追いかけた 熱い季節に未練なし  足元を見て 歌うのさ スローバラード 歌うのさ ハスキーボイスで 歌うのさ 今だから歌える詩(うた)があるのさ 数ヶ月前まで このオイラ たった一粒の種だった。 忘れちゃいけない その事実。 だから  だから だから おごっちゃいけない 誇っちゃいけない いばっちゃいけない 得

    晩夏のヒマワリロック