「普通の日本人」にも「市民」にもなれないあなたへ

こんにちは、このタイトルからこの記事に興味を持ってくれた方は、政治にそこそこ関心がある方ではないでしょうか。そして、同時に政治に一種の嫌悪感や怖さ、疎外感を抱いてらっしゃるかもしれません。
 衆院選はもうすぐ投票日を迎え、今後数年間の新しい政治勢力が決まります。これを読んでいる方の中にはもうすでに投票先を決めているよ、という方も多いかもしれませんが、同時に「まだ迷っている」「決め手に欠ける」「そもそも行くかどうか……」という方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
 政治は生活に身近なものだ、だから投票に行かないといけない。そんな話を選挙前にはよく聞きます。ですが実際に政治は身近なもの、になっているでしょうか。
 選挙カー、うるさいですよね。家の中にいてもその音は遠慮なく入ってきて、静かな空間を乱してしまう。だけど言っていることは、候補者の名前と、政党名ばっかり。本当に知りたいことを、選挙カーは教えてくれません。
 では、駅前で配っているチラシを受け取ってみましょう。ひょっとすると、ポストを覗いたらどこかの政党のチラシが入っているかもしれません。一体どんなことが書いてあるのだろう、どんな選択肢を見せてくれるのだろう。それくらいワクワクできるほど政治にポジティブな印象を持っている方は、ほとんどいないかもしれないですね。どれだけいいことが書いてあっても、これが全て実現すればとてもいい社会になると確信できるようなあれこれのオンパレードでも、やっぱり脳裏にちらくつのは「どうせ選挙の時だけでしょ」という不安、疑問、不信感。
 「実績のある我々に託していただいて安定した政権を」と言われても、今の社会についてはなんだかはっきりと言葉にできない違和感があり、かといって「今の政治を変えよう」と言われても具体的に何が悪いのか、どう変えればいいのかわからない。奥歯に何かがずっと詰まっているような、そんな感覚。投票に行った方がいいのはわかるけど、忙しいし、ちゃんと選ぶ時間も自信もない。そして気づいたら、テレビで開票特番が始まっている。


 一体いつから、政治は遠く離れた近寄り難いものになってしまったのでしょうか。


 政治を変える、ということは、社会を変えることです。今の社会構造では自分らしく生きることが難しい、そういった人たちが声を上げることで、政治はこれまでも変わってきました。生きづらい人達が普通に生きられるようになる、政治にはそんな力があります。だけど、別に生きづらくない人、しんどいけど社会が原因なのかよくわからない人、そういう人たちにとっては、政治に関わるメリットってなかなか見出せないかもしれません。
 政治に関わった方がいい理由、メリットはいろんな人が解説してくれています。その中にはとても納得できる説明もあるでしょう。「だけど」「でも」二の足を踏んでしまう人、多いような気がします。それは、きっとこの記事のタイトルにも関係があるんじゃないでしょうか。

 政治に興味を持ったら、今の総理大臣が好きか嫌いか決めないといけない。自民党に賛成するか反対するか選ばなくちゃいけない。右か左か、保守かリベラルか、よくわからないままクラス分けのように振り分けられる。政治の話で目立つのは、政権を支持する過激な人と、政権を支持しない過激な人。政治に興味を持ったら、このどちらかにならないといけないのか。普通の日本人と名乗る人の言葉がよくわからなければ、自分は普通じゃないのか。市民の力で政治を変えようという人の変えたい社会に全部賛同できない自分は、市民じゃないのか。どうしても、ついていけない。
 どうして政治って、敷居が高いのでしょうか。難しいから? ややこしいから?

 政治って、お祭りの側面があります。お祭りって、普通のテンションじゃつまらないですよね。盛り上がって、熱狂してこそのお祭りです。政治もそれと似ていて、どうしても政治の話になってくると、熱を帯びてきます。何か内輪で盛り上がっている集団を外から見ている時、どうしても冷めた目になりますよね。あなたが政治を見ているときの目は、それに近いものがあるかもしれません。
 政治参加には、熱量は不可欠です。だけど、今政治への関心はあっても熱がない人に、いきなり燃え上がれと言っても無理な話でしょう。そして熱がある人のところに行っても、火傷してしまうのがオチです。

じゃあ、どうしましょう。

 その答えを見つける前に、少し基本的なことを考えてみましょう。今回の衆院選、我々は何を選ぶのでしょうか。
 政権、政党、政策、政治体制、色々な要素が思い浮かびます。でも、まず第一に大前提として、衆院選は、衆院議員を選ぶための選挙です。もっとざっくり言えば、国会議員を選ぶ選挙です。
 当たり前すぎて何を言っているんだ、という話です。だけど、国会議員を選ぶためには、国会議員が何をする人なのか、国会は何をするところなのか、ちゃんと知っておかないと選ぶのは難しいと思いませんか。
 参議院は、国会議員のお仕事をこういうふうに纏めています。


①法律案を国会に提出し、立法に主体的にかかわる。
②会議での質疑や文書による質問、国政調査などを通じて、行政を監視し、コントロールする。
③法律の制定、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名など、国政の重要事項に関する国会の意思決定に参加する。
④選挙や国民からの請願・陳情などを通じて国民の意思をくみ取り、国政に反映させる。
⑤外国の政治経済情勢を調査し、国政に反映させる。

 
 とても大雑把にいうと、この5つのことをちゃんとできる人を選べば間違いはありません。じゃあ、どの候補者さんがこの5つのことをちゃんと出来るかどうか、判断する方法はあるのでしょうか。

 

 結論から言うと、選挙期間だけで判断することは不可能だと思います。ひょっとすると、大政党の公認をもらったあの人より自分一人で選挙運動をしている人の方が国会議員としていい仕事をするかもしれない。大政党にいるからといって、その人が優秀とは限りません。だけど、その政党が認めたと言うことはある程度はちゃんとやるだろう。多くの人はそう判断して一票を投じます。
 日本は議院内閣制のため、政党を選ぶことが政権を選ぶことにつながります。なので政党はとても大事です。でも、いくら大政党から公認をもらっていても上にあげた国会議員のお仕事をちゃんとしない人を選ぶのは、何か違いますよね。
 逆に言えば、今地元で選ばれた国会議員さんやその政党が国会でやっていることがわかれば、自分の一票を、自信を持って投じることができる、と言えるかもしれません。
 なんとか総選挙、と銘打たれたイベントは全国でも多数あります。でもそのイベントは全て、そのジャンルに興味がある人しか投票しません。アイドルも、ゆるキャラも、グルメも、よく知らないという人は見向きもしないでしょう。だけど政治は違う。みんな一人一票、グッズやCDを買わなくても年齢をクリアしていれば参政権はあります。普通は、興味があるからなんとか総選挙に参加するのに、政治はその逆なんですよね。選挙に参加するから、興味を持とうと。

 さて、ここで最初の問いに戻りましょう。政治に対する熱はないけど、興味は少しあると言うみなさん。その中の多くは、選挙があるから興味を持った、或いは関心を持とうとしている、そんな感じかもしれません。これを、逆にしてみませんか。
 国会で何しているかに興味を持って、その結果として選挙に行く。選挙前に無理して考えなくても、選挙の時には自然と入れたい、応援したいと言う議員さんがわかっている。だけど熱くなりすぎず、世間から離れすぎず、あくまで日常の延長線上で興味を持つ。それこそ、アイドルやゆるキャラ、グルメと同じように。

「ゆるーく」国会を見てみませんか。


 さて、ここまで長々と書いてきて、ようやく自己紹介です。私は国会ニュース速報という国会情報を紹介するアカウントをやっています。衆院選で少し選挙に興味持ったけど、選挙が終わったら国会が何やっているのかわからない! 政治に興味はあるけど何からしればいいかわからない、そういったみなさんに気軽に国会を通して政治に触れてもらえるように用語解説やトリビアなど常にビギナー目線での紹介を心がけています。
 そして、今回ビギナーさん向け企画として、「ゆる国会のススメ 投票日から始める熱量ゼロの政治参加」というのをやっていきたいと思います。選挙が終わると国会が開かれます。その国会をみんなで見て、国会は何をやっているのか、どう言った議論をしているのか、ということをみんなで知っていくための記事を出す予定です。
 政治に興味はあるけど壁を感じているみなさん。投票日から一緒に国会を見てみましょう。切り取り動画じゃわからないものが見えるかもしれませんよ。
 
国会ニュース速報 アカウント 



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