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大人の数いらない系アイドル・ジャニーズWESTについて,大人の数多い系アイドルKing&Princeと比較して“WESTらしさ”を考えてみる

 先日放送された「行列のできる法律相談所」にシゲこと,ジャニーズWESTの重岡大毅がゲストとして出演した.去年の「しゃべくり007」然り,ジャニーズ WESTが芸人のたくさんいるトークバラエティーに出演した際にトークテーマとしてよく挙がるのが「King&Princeとの差」である.先日の放送でもその例に洩れず,WESTの自虐トークに花を咲かせた.

 去年,メンバー全員がゲストとして出演した「しゃべくり007」ではキンプリについて,シゲの「あいつら売れ方えぐい」小瀧の「すげー勢いでブチ抜かれてるんですよ」や桐山の「(僕ら)事務所にあんまりハマッてない」といった自虐発言によってファンはじめ,一般視聴者に大きな爪痕を残し,見事なトークっぷりを我々に見せてくれた.

 特に今回の法律相談所の自虐表現は本当に面白かった!前までのCD売り上げや事務所の期待値というのは,なんとなくファンの目線から見てもそれを感ずることができるのだが,とうとう内部からの目線での自虐を繰り出し,これまた大きな爪痕を残したのであった.

 法律相談所はじめ,しゃべくり然り,彼らの“キンプリとの差”トークをしているときボクはいつも「WESTらしさでてるなー笑笑」という印象を抱く.もしかすると,WEST自身についてのトークをしているよりも,キンプリの話をしたほうが対照的にWESTの姿が照射され,彼らの姿が客観的に映し出される感覚がするのである.

 たしかに,WESTの醸し出すイメージとキンプリの醸し出すイメージは全然違う.キンプリが白い綺麗な感じだとしたら,WESTは原色のべちゃっとした感じだろうか.

 今回の「大人の数が違う」というシゲの発言を受けて,ボクのなかでWESTに対する新しい表現を思いついた.

 それが「大人の数いらない系アイドル」である.

 これはもう断言できるが,WESTは絶対放置プレイさせたほうが“らしさ”という1番の魅力が引き出せる!彼らに大人をつかせたほうがかえってマイナスなのだとボクは強く感じる.今日の記事では「WESTには大人はいらないだろ!」ということを彼らの役割や歌う楽曲を考察して,WEST・大人不必要論を深めていきたいと思う.

WEST役割分業(トーク/パフォーマンス)

 性別役割分業ではないが,WESTは他の若手グループと比べて自身らの役割というものがきっちりと決まっている.その役割分業は極めて安定的であり,トークに関しては,もはや芸人さながらだ.以下にボクの目線でまとめた彼らの確立された役割をトークとパフォーマンスに分けて挙げてみようと思う.

〜トーク〜
桐山  … トーク先陣(イニシアチブ)
中間  … ツッコミ・ブレイン
濱田  … いじられキャラ・混乱爆弾
重岡  … ガヤ(トークに油そそぐ感じ)
小瀧  … 援護射撃・リベロ
神山  … モノマネ・テクニカル
藤井  … 傍観者
〜パフォーマンス〜
桐山  … 歌
中間  … 衣装(ビジュアル)
濱田  … アクロバット
重岡  … 圧倒的センター(バランス型)
小瀧  … フレッシュさ
神山  … 全能(とりわけアクロバット,ギター)
藤井  … ビジュアル(シュッとしてる感じ)

 ボクの脳内で今まで見てきたWESTを再生しながら思いつくがままに書いてみたのだが如何だろうか.結構的を射てる気がボクの中ではしている.現代のジャニーズアイドルが必ず通ることとなるパフォーマンスとトークにおいて,彼らは安定的なポジションをかなり早い段階から確立しており,大物芸人が司会をはる番組では毎回若手芸人のような扱いをされ,人々に笑いを届けている事実はご承知の通りであろう.

 ジャニーズの本業であるパフォーマンスにおいても,そのポテンシャルは絶大なものだ.明るい曲を歌わせばWESTらしくガヤガヤと明るい感じに振舞ってくれるし,バラードを歌わせば全体的な歌唱力の高さが際立ち,ダンス多めのカッコいい曲でも高いクォリティーでカッコよさを届ける.それがジャニーズWESTなのである.

 役割分業に話を戻すと,キンプリに関してはまだそこが不安定ではないかとボクは感じる.この「不安定」というのは決して悪口なのではなく,ジャニーズアイドルには“未熟さ”が特に求められているということは立派な学術論文のなかで立証されていることもあり,ジャニーズに「未熟」という言葉はある意味褒め言葉のようなものだと解釈してほしい.パフォーマンスに役割分業が決まっていなくても,全体がバラバラにならなければそれなりに成立するものではあるため,一旦そこは置いておくが,トークに関してはまだまだ甘いところも多いだろう.

 一応,キンプリ内のまとめ役は廉であり,岸くんがいじられ役というのは確立しているが,時によっては紫耀くんがトークの主導権を担ってメンバーのことを紹介することもあれば,彼がいじり役にもなるし,いじられ役にもなったりする.海人や神,いわちも喋らなくはないが,WESTと比べるとまだまだどっちつかずな感じが否めない.まあたしかに,それもそれで「あり」ではあるが,この短所として“不安定さ”が常に付随し,トークにおいては“見ててハラハラする”アイドルとして受け入れられてしまい,心配で放っておけない感覚を覚える.そう考えると,WESTのトークは他のどのグループと比べても常に安定し,安心して見ていられる.

WEST的エールの送り方 / キンプリ的エールの送り方

 両グループがリリースするシングル曲というのはテイストがまるで違う.キンプリは「シンデレラガール」というまさにジャニーズの王道に沿った王子様ソングで華々しくデビューしたのに対し,WESTは「ええじゃないか」という関西まるだしのごり押しソングでWESTらしくデビューを飾った.

 テイストが違えば,その楽曲に込められているメッセージというものもだいぶ異なってくる.今回ボクがこのnote記事を書くにあたって,「WESTとキンプリの違いって何だろうなー」と色々紙に書き出しながら考えてみたのだが,曲に関連してある大きな違いを発見した.

 それが,両者のオーディエンスに対する応援の仕方である.この違いは歌詞を見てみると如実に出てくるので,ひとまずは歌詞たちをざっと比較しながら見てみよう.キンプリの楽曲における太字部分とWESTの楽曲における太字部分に注目しながら読んでいってほしい.

〜キンプリ〜

「シンデレラガール」

やがてシンデレラガール
魔法が解ける日が来たって
いつになっても 幾つになっても
ボクはキミを守り続ける

「Memorial」

永遠を誓おう 君を守り続けるよ
虹のように温かな愛で
君を包もう

「koi-wazurai」

奇跡が目をさます頃
月夜にハートうち抜いて
いつか星の陰で待つ君を
迎えにゆこう


いつもの笑顔でやっと会えたね
最高以上の君だから
独り占めさせて
〜WEST〜
「ええじゃないか」

ええじゃないか! ええじゃないか!
(ええじゃないか! ええじゃないか!)
まだまだいけるで!
(まだまだいけるで!)
どっこいどっこいどっこいしょ
どっこいどっこいどっこいしょ
ホンマにホンマに
ホンマにホンマにかなわんわ~

ええじゃないか!ええじゃないか!
(ええじゃないか!ええじゃないか!)
まだまだいけるで!
(まだまだいけるで!)
あっぱれあっぱれあっぱれあっぱれの
心意気!

「ジパング・おおきに大作戦」

エビ・バディ・バディ
Say "OOKINI"
ニッポンの空に叫ぼう
明日も元気に参りましょ
合言葉は、お・お・き・に!

「ズンドコパラダイス」

ズンズンドコ ズンズンドコ
今日も絶好調
ズンズンドコ ズンズンドコ
浪速最高潮
しみったれた日も
(Hey)
甘ったれな日も
(Hey)
笑ったれ 踊ったれ
キンキラキンのキン
(キン)

ズンズンドコ ズンズンドコ
好きにやっちゃって~
ズンズンドコ ズンズンドコ
派手にイっちゃって~
ズバッと決めるで!
ズンドコ パラダイス

 上記の初期シングルリリース曲を比較させた形で任意で曲を抜粋し,注目すべき箇所に太字をつけたのだが,この2グループにおけるオーディエンスへのエールの送り方に違いを見出せただろうか.一応,見やすように太字部分だけを抜粋したバージョンを下に掲載してみる.

〜キンプリ〜

「シンデレラガール」
ボクはキミを守り続ける

「Memorial」
君を守り続けるよ

「koi-wazurai」
君を迎えにゆこう

(最高以上の君だから)独り占めさせて
〜WEST〜
「ええじゃないか」

ええじゃないか! ええじゃないか!
(ええじゃないか! ええじゃないか!)
まだまだいけるで!
(まだまだいけるで!)
あっぱれあっぱれあっぱれあっぱれの
心意気!

「ジパング・おおきに大作戦」

明日も元気に参りましょ

「ズンドコパラダイス」

好きにやっちゃって~
派手にイっちゃって~

 お分かりの通り,キンプリは,君を守り続けると「いつも一緒・そばにいるよ」系をとっており,WESTはええじゃないかと「背中をポンと押す」系の応援手法を採用しているのである.

 特に面白いのがキンプリで,前節の役割分業のなかでキンプリにはまだキャラやポジションの未確立の感触があり,不安定といった表現で言及し,心配で放っておけないとも述べた.そんな心配で放っておけない男たちに「キミを守り続ける」「君を迎えに行こう」なんて言われれば,もはやティアラとキンプリちゃん同士の共依存である.多くの大人たちに見守られるのもなんだか腑に落ちる.

 WESTに関しては「ええじゃないか!」「まだまだいけるで!」「明日も元気に参りましょう」「好きにやっちゃって〜」と,ある意味,ファンをぽーんと押し出して放置する系のメッセージを歌っている.放っておいても色々と勝手にやってくれる彼らだから,これを受け取るファンも「あ,は〜い笑」といった感じで入退室が容易な感触を覚える.

 共依存か放置で考えるとそりゃ依存しているのだから,彼らの「不安定」という性質を鑑みると,キンプリの方が沼にハマりやすいのは必然なのかなと考えられる.(あくまでも予測です)

WEST・大人不必要論

 以上ここまで述べてきたように,シゲの「大人の数が違う」という発言をもとに「WESTらしさでてるなー笑笑」とそれを聞いて感じたボクの感触をポジションと歌詞の2つを裏打ちさせて説明してきた.

 要は,まだまだ未熟で確立していないところが散見され,放っておけないキンプリは「君を守り続ける」とあちらから歩み寄り,こちらもそれに従う共依存関係を築くことで,保護者(=大人)が多く必要になってくるのに対し,トークやパフォーマンスにおけるポジションが既に確立されており「ええじゃないか」と後ろから背中をポンと推してくるWESTは放っておいても全然大丈夫そうな雰囲気を帯びているために保護者(=大人)なんてもはや必要ないという対比が両者によって詳らかにされるのだ.

 WESTの「(キンプリに)すげー勢いでブチ抜かれてるんですよ」や「事務所にはまっていない」「(キンプリと比べて)大人の数が違う」という自虐発言を聞いて,ボクは心配どころか,安心したのを覚えている.

 彼らの口から正直にこのような言葉が出ているということは,今のところWESTはWESTらしくここまでの道を歩めているんだなと,ボクはそっと胸を下ろすのであった.

 

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