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感想備忘録:SixTONES『1ST』 〜バカレアからの歴史と2020年が味わい深くさせる〜

先日SixTONESのアルバムを購入し,ようやくゆっくり聴ける時間ができたので,日曜の朝7時からテンションぶち上げで味わっていた。

アルバム全体の感想としては,彼らのこれまでの長く不安定で険しい歴史とその苦労がなければ,そして2020年という時間があったからこそ非常に味わい深かったり心にグサッと刺さる言葉が生まれているんだなという,そんな印象で,どの曲も存在感があって,忘れたくない言葉が数多にある,

1発目のアルバムとしてはこれ以上があるのかと思わせられるくらいの作品だった。

初めて聴いたときの感想と思ったことは忘れずに残しておきたいので,ここに書いてみようと思う。とりあえず,どの盤にも入っている「ST」から「Lifetime」まで。

ST

リード曲にして深い言葉が多くあった「ST」。アルバムを再生して最初に流れる歌詞が

曇りなきマナコならば 今見えるものすべてが 
チリ一つなく見えるだろうか
摂理のまま咲く花の 本能だけで舞う蝶の 
儚さに酔いしれるのだろうか

だなんてトガりまくって,さすがSixTONES...!!

その後の北斗の,

正解はどこまでいっても独りよがりで 
二本の足だけじゃたかが知れてしまうんだろう 
なあ?

の「二本」が最初「日本」に聞こえてめちゃくちゃドキッとした。真髄に響く北斗の声でいわれると尚更。

この曲の味わい深い言葉はサビにある,

弱さのない世界は強さとは無縁だ

でしょう。2020年を考えると,社会的にも個人的にも弱ってしまう側面がたくさんあったけど,そういったことを知って体験してこそ本当の強さというものがみえるのかと思わせられるフレーズ。

SixTONESもいまでこそ外からの人からしたらパッと出てきて一瞬にして2020年を彩ったジャニーズのグループみたいなカタチで受け止められてるだろうけど,バカレア組と呼ばれてた時代からみてた我々からすると「いや,もうどんだけ6人が悔しい思いをしてきたことか...!!」と思わずにはいられない。

色んなことを深く思わせられるリード曲だった。

ちなみに,「弱さのない世界は強さとは無縁だ」という言葉を受けて,随筆家の若松英輔の言葉をボクは思い出した。

NAVIGATOR

個人的にこの夏は「NAVIGATOR」を聴きまくった。

改めて歌詞を読みながらきちんと腰を据えて聴いてみると,かっこいい言葉がたくさん歌われている。

ベッキーも惚れていた,

夜を駆けるか 夜明けに賭けるか

は何気なく聴いてたけど,これ非常に深いフレーズだなとふと思った。
「夜」という比喩の指す先と「夜明け」のそれと自分はどう対峙するのか,真正面から向き合うのか時の流れに任せるかってことなんだよなーきっと。

ところで,

NO LIMIT 無限大
未踏を進め 
Doubt navigator.

の「Doubt」が指す疑う先って,今思うと「日常的統計」とか「前時代の統計」のことだったんだな。

1曲のなかにあるストーリー性と世界観がハンパない。この曲がシングル2枚目,ファーストアルバムの2曲目っていう位置付けもまたシビれる⚡️

Special Order

1曲目の「ST」がバンドサウンドで,2曲目の「NAVIGATOR」がストリングスサウンド,そして3曲目のこの曲が電子サウンドの打ち込み・クラブミュージック調で「振り幅!!」と思わずにはいられない。曲の並び順のセンスに感服する。

今のこんな時代にこれくらいブチあがるアグレッシブな曲は嬉しいねー。
同じメロディーを繰り返す系だから1発でカラダにインプットされた。

NEW ERA

シングル3枚目のこの曲。サビの

走り出そう
連れて行こう
約束の場所へと
《聞き逃すな 始まりの合図》
奇跡を信じて

を聴いたり,「NAVIGATOR」を聴いたりすると,SixTONESはガッと手を掴んで全速力で先へ連れて行ってくれるイメージが強い。そう考えると,キンプリとWESTとは全く違う。

ボクは一昨年くらいにキンプリは「いつも一緒・そばにいるよ」系でWESTは「背中をポンと押す」系だと分類してみた。

*参考

〜キンプリ〜

「シンデレラガール」
ボクはキミを守り続ける

「Memorial」
君を守り続けるよ

「koi-wazurai」
君を迎えにゆこう

(最高以上の君だから)独り占めさせて

〜WEST〜

「ええじゃないか」

ええじゃないか! ええじゃないか!
(ええじゃないか! ええじゃないか!)
まだまだいけるで!
(まだまだいけるで!)あっぱれあっぱれあっぱれあっぱれの
心意気!


「ジパング・おおきに大作戦」

明日も元気に参りましょ

「ズンドコパラダイス」

好きにやっちゃって~
派手にイっちゃって~

そう考えると,SixTONESの採用する応援手法はなんだろうと考えると,「ついて来い」系かな?

「ST」も手は引っ張ってないけど「泣き笑っても憂いても未来は 強い光の方だ そこに向かって行くんだ」と光を導きだしてくれてるし。

「NEW ERA」こそ改めてSixTONESとの向き合い方を示してくれる革新的なシングル曲だと思った。

Curtain Call

アグレッシブな曲たちからおしゃれなミディアムソングへ移行する流れというか緩急がアルバムを聴いていて飽きさせない。

サビにある

Tell me, what should I've done?
Baby, I could not make you stay here

という言葉は「ついて来い」系なSixTONESが歌うからこそ切なさが倍増する。

あと,歌詞には一度も一回も出てこないのにタイトルが「Curtain Call」という大きなタイトルにしてあるのも非常におしゃれ。

かつてKAT-TUNの「YOU」とかJIN AKANISHIの「BODY TALK」をカバーしていたけれど,オリジナルで切ない系の曲をようやく聴ける日がきたかと思うと非常に感慨深い。何年後かの後輩がカバーしそう。

Dance All Night

スノスト以降,デビュー曲のときからそう簡単には歌いこなせない難しい曲ばかりだなと思っていたけれど,今回のアルバムでこれを強く思わせられたのがこの曲。全編英語であることはもちろん,サビ以外のAメロとかも英語独特な発音(脱落とか連結とか)たっぷりでよそのグループが英語で歌うのとではワケが違う。

「だんすおーなーいっ」が永遠に脳内リピート不可避なクセ曲。

S.I.X

初めて聴く曲なのに「こんな曲もう既にストもってなかったっけ?」と思わせられるくらい超しっくりきた曲。ジャニーズでここまでパリピソングみたいなやつで右に出れるグループはもういないかも。

この曲で詞に"SixTONES"を入れたのはセンスのカタマリ。グループ名のはいった曲はなんだかんだずっと歌い継がれたり記憶に残ったりすることが多いから,その位置付けにあるのがこの曲でもう,当たり!

これから歌い継がれるだろうから今からでも聴き込みまくろう。

Coffee & Cream

アルバムの曲タイトルが発表されたとき,ボクが1番に目をひいたのがこの曲だった。『1ST』というタイトルで,ガンガン攻めていくというコンセプトがきっとあるだろうに,「Coffee & Cream」というこの曲名の箸休め感ハンパないなと1発目から思っていた。

歌詞カードにメンバーそれぞれのソロショットが随所随所にちりばめられているなかでこの曲のソロショットが髙地なのが個人的にめっちゃツボだったのだけれど,これわかる人いないのかな...笑(来るべくして来たな!っていう感じ...笑)

最近YouTubeで「in living.」とか,家のなかとか本棚とか雑貨を映しているチャンネルにハマりまくってるボクにはドストライクな曲だった。

これ聴きながら朝散歩して,ちっちゃいカフェとか見つけて朝食にパンケーキとかを食べたりして,「チル」したい😐

Imitation Rain

イントロ流れた瞬間のこのアルバムの曲順センスにまた度肝抜かれた。ピアノのイントロから徐々に上がっていく感じ。SixTONESの原点にして頂点といっても過言ではないこの曲。

最所の頃は「デビュー曲ぽくない」とか「「JAPONICA STYLE」でよかったじゃん」という声をよく聞いていたけれど,本当はアグレッシブに超攻めた曲のほうが「らしい」けど,この燻っているというか,なんともいえぬ静かに熱さを秘めているミステリアスな感じをデビュー曲に採用したところはやっぱりうまいなーと改めて感じた。

そして,「Curtain Call」に感じていたSixTONESの「ついて来い」系はやはり「Imitation Rain」からあったんだなと確信することができた。

「Imitation Rain」

Imitation Rain
時には激しく 心に降り注ぐ
Shall we play this game
紅に染まるまで 雨に打たれて
「NAVIGATOR」

Pray for the light laying in the dark
夜を駆けるか 夜明けに賭けるか
Drive in the dark going to the light
疑えるか 見慣れた navigator
「NEW ERA」

走り出そう
連れて行こう
約束の場所へと

《聞き逃すな 始まりの合図》
奇跡を信じて

Lifetime

赤西仁のアルバムでいうところの「Lionheart」や「Episode」のような最後に据えられたバラード。

グループ名の由来が「6つの音色」という意味合いも込められるだけあって,6人の声がそれぞれに綺麗でかけがえなくて,どうあがいても聴き惚れてしまう。

SixTONESはデビューする前からもう既に完成されている世界観と実力があったけれど,十分すぎるほどの訓練も重ねてきて尚且つ2020年の時間のあとにそっと寄り添ってくれる言葉を歌ってくれる彼らに感謝するほかないとさえ感じた。


冒頭にボクは「1発目のアルバムとしてはこれ以上があるのかと思わせられるくらいの作品だった。」という感想を書いた。他のグループのファーストアルバムを今振り返ってみるとまだまだグループとしての世界観が薄かったり悩んでる時期だったんだなと思わせられたり,「格差!!😡」と残る課題があることが多い。

だけどある種,そこからの加点方式でリリースされる度にグループの方向性が段々と構築されてきて,そんななかでファーストアルバムとか初期の曲を歌うことによってエモさというか,感慨深さを感じることも多い(例えば,エイトのアニバーサリーライブで「旅人」とか「Cool Magic City」とか「二人の涙雨」歌ったり)。

そんななかで,SixTONESはここまで満点な名盤を出して,この先何があるんだと思わずにはいられない。

とはいえ,いつも予想の斜め上をいかれるから,どうせまた度肝抜かせてくるんだろうけど。

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