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SixTONESのエモさを言葉にしてみる

 2020年1月22日にSixTONESというジャニーズのグループがメジャーデビューを果たす.まだCDを1枚を出しておらず,一応まだ「ジャニーズJr.」という研修生ポジションに立っていながら,単独のコンサートツアーを全国規模で行い,今年の12月23日までに開催された「Rough"xxxxxx"」は沖縄コンベンションセンター劇場棟での公演をラストに,無事幕を閉じた.しかし,その約10日後の2020年1月4日から「TrackONE-IMPACT」というツアーを横浜アリーナを皮切りに全国をまわる.念のために言っておくが,彼らはまだメジャーデビューをしていない.

 メジャーデビューをしていない「のに」のところでいうと,彼らの代表曲「JAPONICA STYLE」の再生数は,このnoteを書いている今日(2019年12月24日現在),1年前に公開されてから12,471,145回もまわっている.この数字はきっとファンだけで取れるものではなく,世間一般からの数も無視できないほどに追加されているのだとボクは考える.いかにファン/世間が彼らを注目しているか,期待しているかが分かるだろう.

 「ガッツリ」というと本当の意味でコアに応援しているファンの方々に対しておこがましいのだが,ボクはまだこのグループに「SixTONES」という名前がつく前,つまり非公式にこのグループが「バカレア組」と呼ばれていた時期から応援していた.それは2012年くらいだったろうか.ボクはいま23歳で,その当時は16歳くらい.ちなみにボクはジェシーとタメであるため,「ジェシー(16歳)」と考えてもらったほうがその歴史の長さにおける感覚を共有することができるだろう(もしかしたらこの時期は「ルイス・ジェシー」期だったかもしれない).

 今でこそ「さすがSixTONES!おっきなプロジェクトを何個も抱えて,今までちゃんと成功を収めてきて...すごい!!」といった感想を抱くことが多いのだが,これまでの彼らの歴史を振り返ってみてから今を見てみると,もうそこにはエモさしかない.

 ちなみに「エモい」という言葉は定義が曖昧で人によって使い方が違う気がするので,ボクの中での「エモい」を説明しておくと,類義語として「感慨深い」「しみじみする」が挙げられる.めっちゃ砕けて表現すると「はぁ〜〜〜〜〜すげー...さいこう..!!」みたいな感じだ. 

 「SixTONESの何がエモいのか」「SixTONESのどういうところに感慨深さを感じるのか」といったクエスチョンをちゃんと言葉にするのは困難なことだろう.ジャニーズだけでなく,多くのポップカルチャー系のファンは何かそのオブジェクト(アイドルとかアニメキャラクターとか)が感動を与えるような言動/行動を行うと「◯◯ちゃんやべー(語彙力)」というような感想をSNSに放出する人が多い.

 気持ちは分かる.自身の心の深部を突き動かす感動や興奮を言語という記号に落とし込むのは難しいし,それゆえに「(語彙力)」というフレーズに逃げたくなることも十分わかる.「言葉では言い表せない」,“beyond description”であることは同意だ.

 しかし,SixTONESのためにも他のファンのためにも,そして自分のためにも,そこで諦めてはいけない.「自分はSixTONESのどういうところに感銘を受けているのか」ということをちゃんと言葉で言いあらわせる程度に具体化させたほうが,彼らの魅力をちゃんと理解することに繋がるだろうし,それを他のファンと共有することで深い共感を得られるし,新たな魅力発見にも繋がる.なので,わりかし良識のあるスト担は「(語彙力)」というワードを使って逃げるのを禁止する条例を作りたい.

 では,そんなSixTONESが,様々なタイアップに選ばれ,CMにも出演し,ライブも単独で行う.そしてデビュー曲も超大物アーティストであるYOSHIKIに依頼されるだけの期待を授かるようになったこの事実に,ファンが享受することのできるエモさは一体どこにあるのかどうかについて見ていきたいと思う.

「SixTONES」という名前が与えられるまでの歴史(2012年から2015年)

 SixTONESの結成前そして結成後の歴史を辿ろうとするとこれが結構長い.ファンのみならず,誰でも閲覧可能な「Johnny's net」にはそれぞれのグループにbiographyが添付されていて,グループまたはメンバーという単位で今までの歴史を客観的に捉えることができる.

 この点に関して,例えばKing&Princeは2011年の岸優太・永瀬廉の入所を境に歴史がはじまっている.これに対し,今回取り上げているSixTONESは2006年からはじまっている.2006年は京本大我と森本慎太郎の入所年だ.

 ボクが初めてSixTONESメンバーを認知したのは2007年だったと思う.それは,2007年に関ジャニ∞が開催した「47」という都道府県全てをまわるツアーのなかで行われていたエイトレンジャーというコーナーで大我は結構おいしい役で出演していたのだ.“ブルー”扮する安田章大の一目惚れの相手かなんかを,チンピラの格好をした当時小6か中1くらいの大我が高い声で「オレ!ジャニーズJr.の京本大我だけど,お前(彼女)! あいつと〜」と全然怖くない様相でセリフを喋り,当時小5ながらなんかポカンとした感じで観ていたのを思い出す.

 まあボクの個人的な思い出話はこの辺にして,今回はデビュー・ブレイク間近のSixTONESの醸すエモさを歴史的観点に基づいて言及したいと思っている.客観的な変遷はWikiとかにも載っているので,そこに掲載されている情報を載っけつつ,ボクのフィルターで見てきた彼らのことについてを書き連ねてみたい.

☆ 2012年

2012年2月、A.B.C-Z初演作『ABC座』出演期間中に6人が呼ばれ、日本テレビ深夜ドラマ枠『私立バカレア高校』の起用が告げられる。深夜枠にも関わらず平均視聴率2.8パーセントという高視聴率を記録し、映画化が決定。『劇場版 私立バカレア高校』が公開される。
また、この時期に6人でジャニー喜多川氏に直談判し、『Johnny's Jr. Johnny's Dome theater〜SUMMARY〜』を開催。
年末に開催された『フレッシュジャニーズJr. IN 横浜アリーナ』では、スクリーンに『私立バカレア高校』の映像が流され、主題歌『Shake It Up』を披露。

 そもそもこの6人が集結したきっかけというのは『私立バカレア高校』という深夜ドラマのキャスト起用である.このドラマは深夜に放送されるものではあるものの, Hey!Say!JUMPからは髙木雄也,Kis-My-Ft2からは宮田俊哉というデビュー組のメンバーも出演し,そして,ヒロイン枠としてAKB48のメンバーも数多く出演し,わりと豪華な顔ぶれであった.

 思えばこのときから『Shake It Up』はじめ,体育会系な曲を歌っていたし,彼らにはその雰囲気が非常に似合っていた.

☆ 2013年

翌年2013年1月放送の『ザ少年倶楽部』にて6人での『SIX SENSES』が放送されるが、翌月の放送では、ジェシーと松村北斗の2人と、森本慎太郎、田中樹、京本大我、髙地優吾の4人に分かれての出演となり、その出演を最後に同番組内で6人が揃ってパフォーマンスを披露することが無くなる。
同年春の『Live House ジャニーズ銀座』で、再び6人での出演が発表されるが、突然、ジェシーと松村北斗の2人と、森本慎太郎、田中樹、京本大我、高地優吾の4人に分けられての出演者変更が発表され、その後も6人が揃う事はほぼ無くなった。

 記載にあるように2013年に入ってから,この6人が一堂に会する機会は激減してしまう.分裂した彼らはそれぞれで活動することになるのだが,ジェシーと北斗はシンメとして2人でパフォーマンスする機会がどんどんと増えていき,残りのメンバーは以前のLove-tuneのメンバーとかとつるんでいることが多かった気がする.

 今となってはあまり考えられないが,この時期はジェシーと北斗がシンメだったのだ.ボクが今思うと非常に印象的なのは,朝のニュースでジャニーズJr.が特集されたときに「デビュー目前の超期待メンバーは?」みたいな質問で,コンサート帰りのある女性ファンが「ジェシーくんと北斗くんです」と答えているインタビューである.当時この2人のコンビは結構人気だった.

 当時,リアルタイムで応援していたボクは,この2人が推されていることをちゃんと認識していたが,なかでも「ジェシーめっちゃ推されてるなー」とは本当によく思ったものだ.ソロでの出演も多いし,1人だけ衣装が違う(こっちの方が派手)し,彼がカバーする曲の多くは彼が最も尊敬する先輩・堂本剛やKinKi Kidsの楽曲だったりもしたので,「やべー奴」(褒め言葉)としてみていた.

☆ 2014年

翌年2014年の『ジャニーズ銀座 2014』で、ジェシーと他5人に分かれての出演だったが、同時期開催された『ガムシャラJ's party‼︎ vol.4』では6人が1年半ぶりに再集結し『Shake It Up』を披露。
しかし、同年10月発売の『Myojo』11月号掲載の松村北斗と京本大我の対談内で「同じステージに立っているのにしっくりこなくて…」「この公演をキッカケにバカレアへの未練はなくなった」と当時の複雑な心境を語っている。
ところが、同誌発売の翌月、年末に開催される『ガムシャラJ's party!! vol.6』の出演メンバーに、岩橋玄樹、神宮寺勇太、岸優太らと共に6人揃っての出演が発表される。2015年発売の同誌3月号では『バカレア組』の文字が同コンサートのレポート内で掲載され、さらに『Duet』2月号では同コンサート本番前夜の6人への取材レポートが掲載される。

 2014年もそういえばジェシーは無双していた.ソロで活躍することもあれば,Snow Manの岩本くんとか,あとは半澤くんとか増田くんと一緒にユニットを組むことも多く,どこ見てもジェシーがいるみたいな状況があった.

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 そんななか,ジェシーを含めた当時バカレア組のメンバーが再集結して,彼らにとって思い入れの深い『Shake It Up』を披露した.「伝説の6人組が再集結!」と言わんばかりのこの集合はアベンジャーズさながらだ.

 今でこそいつも6人でわちゃわちゃと運動部の陽キャ系男子が(人に迷惑をかけない程度に)騒いでいる場面を何度も見ることができているけれど,彼らは一度離散し,そして決して短いとはいえない時間を経て,再集結したという歴史が存在するのである.

 彼らのこのような歴史を知らなければ「同じステージに立っているのにしっくりこなくて…」「この公演をキッカケにバカレアへの未練はなくなった」といった,当時のきょもほくの素直な吐露にリアリティを見出すことはできないだろう.てか,この対談をするにあたってこの2人が指名されたこともまた感慨深い!

☆ 2015年

翌年2015年1月放送の『ザ少年倶楽部』で2年ぶりに6人で『Hell,No』を披露。
同年4月開催の『ジャニーズ銀座 2015』では、舞台『エリザベート』と日程が重なったため、京本大我を除く5人での出演が発表されるが[55]、初日より京本大我が飛び入り参加し、公演2日目の5月1日、6人よりグループ結成と新ユニット名が発表された。発表は「シックストーンズ」だったが、後日「ストーンズ」に変更された。

 少年倶楽部で6人が集まったのはどうやら2015年のことだったらしい.当時,オタ垢界隈が興奮しまくりのファンで荒れまくってTLが追いつけなかったことは昨日のことのように覚えている.そして,久々の6人の疲労する曲が『Hell,No』とは構成を考えた方のセンスに脱帽するほかない.(ただしなぜお下がり衣装をNEWSのそれにしたんだ)

 そして,4月に彼らは正式なグループ名を与えられることになる.それが「SIX TONES」であった.今は「SixTONES」と表記され,読み方も変わっているが,これに関しては北斗が『VS嵐』で詳しく言及していた.

 名前の変更があったとはいえ,ようやくこの6人が流動的で不安定な状況から一つの確固たるチームに生まれ変わった.2012年の『私立バカレア高校』で初めて会ったこの6人はその当初から独特な化学反応を放ち,ファンはそれを享受しながら彼らのことを一つのチームとして“勝手に”みなしていた.その後幾度の離散と集合を繰り返し...

いや,繰り返し“され”,そして正式にようやくその6人にタイトル看板が与えられた.この歴史はなかなかエモい!今の6人を対比させながら考えると尚更だ!

「SixTONES」という名のグループが持つスター性

 ここからは彼らの醸すオーラについての話をしていきたい.嬉しいことばかりではなかった歴史を経て,ようやくジャニーさんから名前を正式に与えられた彼らはどのような化学反応をボクらに見せてきたのかについてまとめることで,より彼らの沼へハマっていくはずだ.

☆ オリジナル曲

2015年
この星のHIKARI
BE CRAZY
2016年
IN THE STORM
2017年
Amazing!!!!!!
JAPONICA STYLE
Beautiful Life
2018年
Jungle
Night Train
Hysteria

 SixTONESが披露するオリジナル曲の大方は,「爽やかか?」と聞かれると,あまり爽やかではない.Mr. KING vs Mr.PRINCE(今のKing&Prince)の披露する『サマーステーション』や『Happy Happy Lucky You』と比べると笑顔できゃーきゃーと騒げるような曲ではないというのはこれらの曲を知っている方なら共感してくれることだろう.

 ボクはここに彼らの武器があると確信している.SixTONESメンバーの関係性とMr.KING vs Mr.PRINCEメンバーの関係性というのは,だいぶ異なり,今のKing&Prineは高校生活における“日常”を華やかに彩ってくれるようなさわやかできらきらした美少年感があるのに対し,SixTONESは体育祭や文化祭という“特別行事”を,自身のもつ溢れんばかりの野心さで彩ってくれる感じがする.どうだろうか.

 それが彼らの曲にも表れていて,特に『BE CRAZY』や『IN THE STORM』『Amazing!!!!!!』『Jungle』においてはそのパフォーマンスを観ているボクらファンは「きゃーー!!」というよりかは,真顔.なんか洗脳されてるような感覚を覚える.

 『Amazing!!!!!!』では冒頭「魅せるからほらこっちに来いよ チェックしとけオレの全て」から始まり,そこからの数分間高い歌唱力と力強い声色でファンの興奮を超次元にまで昇華させ,終盤は「お前らは守るから」「どこまでも付いて来な」という歌詞でボクらを煽る.その時にはもう放心状態で「はい.付いていきます」と言わんばかりに最早服従してしまう.

 ボクは社会学を勉強している人なので,人々の間に発生する様々な現象について色々頭に入っているつもりではあるのだが,SixTONESこそエミール・デュルケムの提唱する「集団的沸騰」を巻き起こすのが本当に上手なグループだと思う.ディスプレイ越しで見ていれば冷静状態を保つことができるけれど,リアルで彼らを目の前にしてしまうと本当の意味で発狂しそうになる.

 つまり,我々は軽い気持ちでSixTONESと対峙することはできない.一度捕らわれてしまえば,もう彼らの餌食になるしかないし,喜んで身を捧げてしまう.ここまでの威力を持つようになったのはもちろん彼らの高いポテンシャルに起因することにあるだろうが,今までの歴史を鑑みた時,SixTONESの結束力というものは決して生半可であるワケがなく,彼ら本来的に持ち合わせていた体育会系な気質も相まって,ひと度SixTONEに興味を持てば彼らは自分たちのJungleにそいつを引き込む.そして,今はメディアやマスコミの力が彼らに味方していることも上乗せされ,ファンクラブ開設時にサーバーがパンクし,数日間繋がらないという伝説が生まれた.

 「見て聴いて楽しむ」というポップカルチャーの土壌が十分に形成された現代において,そのステージというのはSixTONESにとってはまるで自分たちのために築かれたのではないかと錯覚してしまうくらいに十分すぎる状況が整っている.

 ジェシーのツンとした,心を直接突いてくる歌声と,きょものそんなジェシーの声を優しく包み込み,時に聴く人の心を強く握り離さないツンデレな歌唱.樹のシャガレと歪みを効かせた歌声と直接脳内にブチこんでくるようなラップ.慎太郎の自身のガタイを生かしつつパワフルにそしてそれを裏打ちする繊細な動きやステップとストレートな声色,北斗グループのユニゾンに低音bassを引くことでサウンドを3Dにしてくれるミステリアスな雰囲気を帯びる声,優吾のおだやかで優しい雰囲気を帯びながらも頼り甲斐のあるような芯を持った歌声の質...



 そろそろ日本は彼らによって席巻されることだろう.なんてたって,彼らはボクらのエモ(ーション)を超次元にブチ上げさせる力を備えているんだから.彼らの魅力を日本中に広める広報としての我々は早いうちに彼らのエモさと自分がSixTONESに抱く感情を一度整理し,理性を持って受け入れてくために,今後の彼らを向けて準備しておいたほうがいい.

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