塾選び④
Wアカデミーの入塾テストの日がやってきた。
二人で学校に入り、受付に声をかけると、優しそうな事務の女の人が
「お待ちしておりました。お母さまはこちらの部屋でお待ちください。」と小さな部屋に案内してくれた。
息子はテストがあるからと、違う部屋に連れて行かれた。連れて行かれるとき、子犬のようなつぶらな瞳で不安そうに私を見ていたので、ちょっと大袈裟に手を振って、
「がんばって!」と口パクで応援した。
しばらくすると、テストを終えた息子が事務の人に連れられて部屋に入ってきた。心なしか、前回よりは表情が明るかった。
「どうだった?」と聞くと、
「うん、前よりは出来たと思う。でも、半分は難しかった~。」
「えー、でも、前より出来たんなら良かったね。」
などと他愛もない話をしていると、テスト用紙を持った男の先生が入ってきた。Aゼミナール同様、やっぱり見た目ちゃんとした明るそうな先生だった。
「えーっと、テストなんですけど・・・。」
そう言って見せられたテストに、またもや衝撃が走った。
ええ、ええ、少しは期待していました。前より少しは出来たって聞いたものですから。いや、息子の言っていることは間違ってはいない。確かに、Aゼミナールよりかは、ほんのすこーし出来ていたようだ。
とはいっても、半分も出来ていないことに変わりはない。
★国語 →点数が取れそうな漢字がほぼ全滅。何を血迷ったか分からないが、漢字ではなく、カタカナを書いている箇所がある・・・。な、なんで?文章問題のほうが、まだ出来ていた。
★算数 →やっぱり計算ミス連発。難しい文章題がまぐれで当たっているのが一つあるくらいで、後は空欄。
「youはショーック!」と北斗の拳のOPソングが頭に鳴り響いていた。
先生は「試験に慣れていないのかな?」と優しく声をかけてくださったのだが、息子はモジモジ君、絶賛発動中で何も答えないので、私が
「えへへへへ、そうなんですぅ。」とえへらへら笑いながら答えた。
その後、先生が息子とやり取りしながら、問題をいくつか解説してくれた。先生がモジモジ発動中の息子を物ともせず、時折「この漢字書けたってすごいね!」とか「見て、この問題出来てるって、なかなかないよ~。」と褒めながらやり取りしてくれているのを見て、
「あ、ここ、いいな。」と思った。
最後に今回のテストの偏差値を見せてくれた。
国語・・・46.6
算数・・・42.8
総合・・・44.4
う~~~ん、なかなか厳しい現実。
先生が「何か質問はありますか。」と聞いてくれたので、
「あの、この偏差値って、上がっていくものなんでしょうか?」と答えに困るような質問をしてしまった。案の定、先生の回答は
「そうですね、人によります。(そりゃ、そうだ!)勉強しだいで上がっていくことは可能です。(ごもっともっ!)」
当たり障りのないものだった。私としては
「大丈夫です!これから一緒に頑張っていきまっしょい!ワッショイ、ワッショイ!!」
なーんて励ましてほしかったんだけど、そんなこと安易に言えないよな、と納得。
帰り道、息子は
「先生、優しかったねー。」とご機嫌だった。褒められたのが余程嬉しかったのだろう。私が
「夏期講習、ここ行ってみる?」と聞くと、
「うん、行ってみる。」と元気な答えが返ってきた。
というわけで、夏期講習はO塾とWアカデミー、2つ通うことにして、
夏期講習の後、どちらに通いたいか息子に決めてもらおうと思った。