#57 今も反抗期

水曜日の放課後は、小学校での練習の日だった。野球部員が増えてほしいこともあり、しょうとは友達に体験練習への参加を誘った。そのこともあって、今日の練習にしょうとは意欲的だった。学校から家に帰ったしょうとは、すぐにユニフォームに着替え、グローブやバットなど野球の道具を準備した。「おじいちゃんも来て~」と言って、自転車に乗って出かけた。

小学校のグランドに行くと、りくのおじいさんが来ていた。「今日は、いい天気ですな~。」「暑いくらいですな~」とあいさつして、私たちは野球を見ていた。りくのおじいさんは、りくが野球を始めた頃から見学しているので「あの子は、力がついてきたのでボールが外野に飛ぶようになりましたわ」「あの子は、入った時から足は、速いですわ」「あの子のお兄ちゃんも上手でしたわ」と子供の入部時のことも教えてくれる。「みんな、野球をするようになって、ちゃんと挨拶をするようになりましたわ」とも言っていた。

「うちの子も、筋肉がついて体が締まってきましたわ。だいぶ、成長しましたわ。だんだんと、生意気にもなってきましたわ。しかし、かわいらしいところもありますわ」と私が言った。りくのおじいさんも、うなずきながら「うちの孫も、まだかわいいもんですわ。この前も、孫に少しお小遣いをあげたら、私の部屋に、ありがとうと書いた紙と、小さなチョコレートもおいてくれてありましたわ。感激しましたわ。」と言った。

「孫はかわいいけど、私の娘(しょうとの母)はえらそうですわ。私が雑草をひいて、庭をきれいにしてあげた時も、うちの娘は、ありがとうの感謝より、してもらって当然のような言い方をしますねん。ほんまに、腹がたつことありますわ。孫のほうが、ず~とかわいい言い方しますわ。」と私が言うと、「どこの家でも一緒ですな~。まだ、うちの娘は反抗期ですわ。」とりくのおじいさんが言った。「そやけど、私の娘は家内の言うことはよう聞きますわ。」ともつけ足した。「それも、うちと同じですわ。よう~にいてますな~」と私も言った。

日中は、晴れて夏のように気温が上がったが、夕方には涼しい風が吹いてきて見学には最適な天候だった。


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