「2020年6月30日にまたここで会おう」を読んで
はじめに
瀧本さんの本は何度か読んでいて、京大の時に授業も受けていたので内容が真新しいわけではないが、持ち前のテンポ(めちゃ話すの早い、そして滑舌悪い)感が十二分に伝わってきて、スピード感を持って読めた一冊でした
3行まとめ
自分なりに、この本でのメッセージで印象に残った部分を列挙していくと、
①「カリスマモデル」でなく「武器モデル」: 1人のこいつやべー、みたいなのよりも、不特定多数の人が働きかけてくほうが既存の仕組みを変えていくには効率良い
②パラダイムシフト=世代交代: 天動説→地動説に変わったのは説得というよりも、大衆を形成する母体の世代の認識・空気感が変わったこと(=旧世代が死んで次の世代が年をとったこと)
③アリストテレス「奴隷とは、ものを言う道具」: 自身のその発言の裏に、自分の思考はあるだろうか
このあたり。交渉の話とか、そういうのもあるんだけどその辺は別の本でもカバーされてますので
コピー機を配りまくる
「以前は一人のカリスマを立てれば世の中変わると思ったけど変わらんかった。それより、群を作ってそこが変化に向けて試行錯誤してくほうが結果的に確度高い」といった趣旨のことを仰っていて、読みながらうなずくことが多かった。その例として挙げている、「ジョージ・ソロスは民主化促進に色々自分でやってみたけど、結局一番うまく行ったのはコピー機を配りまくったこ(=そして色々な活動家がそれをベースに発言していったこと)」
最近一人の、くそ賢い人間が短期的に滅茶苦茶生産性を上げることって長い目で見たときあんまインパクトなくて、それより、投資で言うところの複利のイメージで、中庸な人s、群が長期間betして積み重ねてくことのほうが価値を生み出すのではないかというようなことを思う
1人で動く人 x ∞だと効率悪いので一定のまとまりは必要だけど、1人に全betするより、似たような変化の方向性を持っていても複数の動き方がある方が結果的に目指した変化があがる可能性は上がる。それに、「1人に全bet」的な考え方の裏には「この人が言うことは正しい」という思考停止があって、上記で言うところの③につながってしまう
実体験: 1人突進 < 空気感?
自身の、ある程度の大きさの組織の中での経験を振り返ってみて、「自分できます! この案件で色々変わるっす! バリバリ進めるっす!」みたいに一人で突っ走っていった時には権限ある層(a)から反対されたりしたのに、周りの(権限ある層に限らず)じんわりと何をやるのが良いのか話してたら、時間を経て(a)だった人が自分で「これをやるべきです」みたいに言い出して、あれーてなったことがある(良い意味で)
これも、①を拡大解釈すれば、一人で全部できるようになる・全部やろうとするよりもある程度分散するというスタンスをとったほうが確度が高まり、別に誰も死んではないが①の積み重ねにより②母体における「空気感」が変わったことの例とも言える気がする
でも、そのための思考
ただ、ほっといても起こるとうことはなくて、その変化を起こしそうな人を見つけて支援するか、それかその発端となるべく自分が動く必要はあるのだと思う。そしてその過程で、③自分で考える、ということが鍵になるのだろうと
先述の自身の経験で面白いなと思ったことがある。客観的に見ると「反対」と思っていた人が「賛成」に変わったので、説得がうまくいったという風に見て取れる。けど、 少なくとも自分では説得した実感はなく、どちらかというと(a)層は、その時の空気感で発言をしていて、この(客観的に見た)意見の変化の前後で、自分の考えが変わったという実感すらないのではないかと思うこと
当人にとっては、当該の案件に対する重きが少なかったということかもしれないけど、自分にとってはとても興味深く、
(i)書類に署名をする、意思決定者として記録を残すかどうかはどうでも良いので、自身が関わってることについては考えを持って取り組んでその進捗を追っていたい
(ii)意思決定というのは、結構空気(世論?)で動くものだ。そしてその空気感は、じんわり作ってくことは可能
ということを感じる良いきっかけとなった
おわりに
こういう本を読むとじゃあ自分何するわけ、みたいにプレッシャーを感じますね。 20代も終わりそうとう、若いっちゃ若いけどそうでもない時期にかかってきて、「一人で動いてなにか変わるわけではない」という一定の諦観を持ちつつ、ではその前提でどの立ち位置に身を置きbetすることが、期待する変化が起きやすいのかということを考える今日この頃
あと、こういう本とかでちょこちょこ出てくる歴史人物を愉しく識るなら、COTEN RADIOが圧倒的におすすめ!
Today's book
間の交渉の話は別の本でもカバーできるので、そこを飛ばせば30分でも読めます。通勤のお供にでも
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