歯車が完璧にハマった話

今の会社に転職して2年と11ヶ月、決算賞与込みで5度目にして初めてちょっとアガる額のボーナスを頂いた。つっても知れてるが。法に明るくないのでアレだが賞与からも遠慮なく保険料その他で数万さっぴかれてて毎度悲しいが。
で、使い途を考えるわけ。奨学金の繰り上げ返済とかの優等生な選択肢も一応思いついたけど、サガるから一旦置いとく。思いついただけ偉い。資本主義国家でしか生活したこと無いからお金使う方法でしか自分を可愛がってあげられない性分なんだもんカルダモン。

私はどっちかっつーと「持ってる方」だと思って生きてきた。福引の特賞とか年末ジャンボはからっきしだけど、あの日あの時あの場所で君に会えちゃうタイプ。だがしかし最近はあまり調子が良くなかった。
ただでさえコロナがどうちゃらで社会全体鬱屈してるし、バズってるツイートはだいたいヤベー奴発見機と化してるし、楽しくってしょうがない職に就いてる訳でもない。あとたぶんPMSってやつかも知れない。元々気分の浮き沈みが激しかったのが輪をかけて沈み易くなり、なんか睡眠の質が悪くなった。
なーんかいいこと、ないかなー。と、上を向いてお口ぱくぱくしてるお魚さん状態でいた時、ふと「そういえばあの服…」と思いついた物があった。憧れのブランドの、自分にはちょっと手が出せないお値段だけどずっと気になっていた、長年愛されているデザインの服、
Vivienne Westwoodのラブシャツ。

画像1

思いついた事を一旦寝かせてしまいがちな私にしては珍しく、即座にVivienneの大ファンの幼馴染みに連絡を取った。
ーーあれはまだ流通してる?
ーー人気だからたまに復刻されてるよ。4〜5万位かな。よく行くショップに問い合わせてみようか。
いやーいいよ手間でしょ、なんて遠慮しがちな所を素直に甘えてみた。そしたらなんと、ちょうど復刻版を入荷したばかりときた。しかもあまり出回らない綿製、正規輸入品でお値段2万円ちょっと。取り置きお願いしとこうか。え、そんなのできるのお願いします。いつお店行ける?何なら明日でも!おっけい!
トントン拍子のお手本みたいな怒涛の展開だった。そんな訳で月曜からたった1つしか持ってないベビードールを着込み(画像の通り、胸元にがっつりハート型の穴が空いてるので
ね…)、ウッキウキで仕事を片付けショップに向かった。

あのねえ、結論から言うとねえ、ベビードールめっちゃ透けた。白の綿シャツからがっつりピンクが透けた。ピンクのインナー持ってって正解だった。とまあ、ちょっとしたハプニングもありつつサイズもぴったり、即買い。幼馴染みもついでにお買い物。幼馴染みとはすっかり顔なじみになっていた店員のお姉さんもニコニコ、みんなハッピーで退店。

いつも一緒の幼馴染みといつもの喫茶店に向かう道すがら、私のフィッティング中にお姉さんと幼馴染みが話していた事を聞かされた。
幼馴染みも仕事だなんだでここしばらく店舗から足が遠ざかっていたらしい。お姉さんからすればそんな彼女が久々に電話してきたかと思えば「ラブシャツありますか?」と、ほんの数日前に入荷したばかりの、人気と最近の世間の動きゆえに転売が危ぶまれる商品について問い合わせてきたので「何処かから情報が漏れた…!?」と本気で戦慄したんだとか。お姉さんごめーん!と虚空に向かって詫び、つまり私にこのタイミングでラブシャツ買えって事やったんやな!と大笑いした。そんな、誰かに話したくなるほど見事に色んなタイミングが重なった、ひと月程前のお話。

次はこのシャツ着る時専用の下着の歯車カモン。