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#ぱんだ歌劇団 から見出だす未来のミュージカルのあり方
こんにちは! 紅花(こうか)です!
前回の投稿から随分と時が経ってしまいました! 最近は、もっぱらバーチャルSNSにハマっています。
久方ぶりのnoteは、私の大好きな「ぱんだ歌劇団」さんの公演について、「この感動を共有したい!」という想いを込めて書かせていただきます!
(2021.5.21)VRChat公演『レギーナと魔法の鏡 ~snow white~』
さて、私はリアルでもミュージカル鑑賞するのがとても好きなのですが、最近は新型ウイルス感染流行の影響もあり、なかなか観に行く機会が減っていました。そんな中、「ぱんだ歌劇団」が行っている「VR演劇」というものに初めて触れ、衝撃を受けました。
ぱんだ歌劇団は、VRCHATというプラットフォームでVR演劇を行っています。
様々なアーティストの曲から物語に合う曲を見つけ、歌もうたいます。
(ぱんだ歌劇団公式サイトより引用)
初めて現地で観劇させていただいたのは、バーチャルSNS「VRChat」で公演が行われた『レギーナと魔法の鏡 ~snow white~』の第3公演です。
その時私は「これこそ、ミュージカルというジャンルの未来のあるべき姿だ!」と感銘を受けました。
そう感じたのには理由があって、詳しくは最後の章で書きますが、私が特に衝撃を受けた点をいくつか紹介します。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56498520/picture_pc_182f462c9d6a6a376675663906dbb86c.jpg?width=800)
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500731/picture_pc_847e5bef3ec8208241b9b5473afa53ce.jpg?width=800)
まずひとつは、一瞬で切り替わる舞台。これには本当にビックリしました。リアルではそんなこと絶対に不可能なので、まずここでVR演劇の洗礼を受けました。一つ一つの舞台、小物、照明の雰囲気はどれも素晴らしく、観客を物語の世界にグンと引き込みます。
現実ではあり得ないほど客席と舞台の距離が近い(というか地続きになっている)ので、客席も含めた空間そのものが物語の中という感覚が正しいかもしれません。
個人的に、切り替わりの瞬間や場位置変更の際にいかにも舞台らしく暗転するのもミュージカル好きとしてはツボでした。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56498540/picture_pc_fc8262c86fe58b4740929cfdf5c7218c.jpg?width=800)
次にパーティクルによる効果的な演出。パーティクルとはゲームでもよく使われる技術で、炎、雨、煙、光、魔法などのエフェクトを空間に自由に表現することができます。美しいものから禍々しいものまで表現の幅は広く、目の前、客席の足元まで迫ってくるドキドキ感はバーチャルならでは。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500017/picture_pc_86f5ba3a05dea850d6d366e53c1baada.jpg?width=800)
さまざまなパーティクルが登場するたび、客席からはどよめきや感嘆の声が。公演中どの場面のパーティクルもすべて登場人物の感情や音楽と見事にマッチしていて、説得力の強い、より印象深いシーンへとクオリティを上げる事に一役買っていました。
私には詳しい仕組みはよくわからないけれど、演出担当者の物語への深い読解力と確かな技術力は、しっかりと感じ取ることができました。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56498941/picture_pc_cb55d24f409c9711005645b9b71de432.jpg?width=800)
そして、団長であるききょうぱんださんはあくまで「これはお遊戯会です」と仰っていますが、演技も歌も脚本も、芸術として観客の心を掴み感情を揺さぶるような魅力に溢れていて、ちょっと正直無料の域を超えています。
明確なネタバレを避けますが、題材は「白雪姫」であるもののオリジナルの脚本で、登場人物はいわゆる“当て書き”のようにその演者の長所や技量にぴったり合うよう魅力的に描かれていました(実際にそう考えて構成されていたかは別としても!)。
もちろん役を演じる役者側の努力と挑戦があったであろうことも含めて、それぞれが本当にハマり役でした。公演が終わる頃には歌劇団のみなさん一人一人を大好きになってしまうような、そんな素敵な脚本と演技でした。
(2021.7.9)cluster公演『シンデレラ』
バーチャルSNS「cluster」で公演を行うのは初ということで、VRChatとはシステム上勝手が違い、今回はSDキャラでの表現に挑戦されました。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500234/picture_pc_da83a1cf3166437e317e3e5ceaf63133.png?width=800)
パーティクルや舞台切り替えの演出は健在。SDキャラの製作も含め、演出をcluster用に最適化するためにどれ程の技術と労力を費やしたのでしょう…すばらしいの一言です。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500258/picture_pc_bfac5b929dbf51c2bddfcee9df2715e9.png?width=800)
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500427/picture_pc_37c2c95896609db07b5b77b08473cd7d.png?width=800)
演技や音楽も、表情の制限を感じさせないすばらしいパフォーマンスでした。セリフの声色、言い回し、身ぶり手振り、体全体の動きで感情を巧みに表現していたし、むしろSDキャラの親しみやすい見た目や表情のニュートラルさから、かえって感情移入しやすいと感じた人もいるでしょう。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500273/picture_pc_53c01758164c58bad8d4128e1d92fd52.png?width=800)
シーンによっては、観客だけでなく演者自身もエモーション※を使って盛り上げる場面もあって、clusterならではの相互コミュニケーションの楽しさがありました。
※エモーションを使うことで相手にリアクションを取ったり感情を伝えることができます。エモーションにはハートや拍手、色違いのサイリウムなどの種類があります。
(cluster公式ヘルプページより引用)
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500342/picture_pc_24295089304d7c400707cb585937b4df.png?width=800)
また、clusterはアプリの設定により音の大小や周囲のアバター表示/非表示を自分の好きなようにコントロールすることができますが、そういった仕様を熟知し、快適な観賞方法のアナウンスを事前にしっかりされていたのはさすがでした。
このあたりはVRChatで鑑賞する際も同様にとてもわかりやすいアナウンスが徹底されていて、安心して観劇することができます。地味なことですが、芸術鑑賞においてこれはとても重要なことなんです。
ぱんだ歌劇団と未来の話
ぱんだ歌劇団が行っている「VR演劇」は、未来のミュージカルそのもののスタンダードとなる、と確信しています。
たとえば、映画やドラマは実写の作品でもCGが普通に演出として多用されていますよね。いまやCGはゲームやアニメだけのものではないし、CGに向かってわざわざ後ろ指差してまがい物だなんだと揶揄する人はほとんどいないでしょう(プロの方がこだわりを持って表現方法を取捨選択する場合や、個人的な好みの話は別ですよ)。
こんなにCGが重宝されるようになったのは、それを使うだけのメリットがあるからです。技術や人件費などの面でコストやリスクがかかること自体はリアルと同じでも、リアルにはない、CGならではのメリットが存在します。
まず物理的なスペース(撮影場所や劇場、倉庫等)が必要無いし、装置や道具が破損・劣化することも基本的にはない。表現によっては免許がないと扱えないようなリスクを伴う演出でも、役者が安全に演技を行うことができるという事もあるでしょう。極端な例だと“銃撃戦”とか“爆弾が爆発するシーン”とかね。
それどころか、リアルでは絶対にあり得ないような、豊かな表現や大規模な演出が、少人数でも実現できる可能性がある。
実際、ぱんだ歌劇団はあれほどすばらしい演技・演出・配信を行っていながら、メンバーは演者/裏方あわせてたった12名のみという超少人数運営です。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500758/picture_pc_8eae265454b3eaf899b6b1a5b43904f2.jpg?width=800)
素人目線で思いつくだけでもこれだけメリットがあるのですから、現場レベルでいえばもっと色々な面で良さがあるのだろうと思います。
もちろん、メリットがあればデメリットもあるわけで、そこはどちらを取るかというところになってくるのでしょうが、
ここ最近のVRの動向を観察していると、技術的なことが改良され続ければ、どうやら世のスタンダードはだんだんとバーチャルへシフトしていくのではないかと感じるのです。演劇やミュージカルも、例外ではないはずです。
それを、ぱんだ歌劇団は今、この段階で、それも非常に高いクオリティでやってのけています。(しかも企業でなく個人で!)
その感動と興奮を一人でも多くの人に知ってもらいたい!、一ファンとしてはそう願うばかりです。だからこそスマホからでも観れるcluster公演の成功は大きな意味を成すのですよね。個人的には、学生の方やこどもたちにもぜひ見せてあげたいです。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500801/picture_pc_dea44d74c5ef53a30d81745f708aaf6f.jpg?width=800)
生のミュージカルはどうなる?
生身で演じるミュージカルは逆に貴重で贅沢なものと考えられるようになるかもしれない、と予想しています。
これは断じて、バーチャルがチープだと言っている訳ではなく、ただ趣向の違いとして、生身の人間や生音に価値を見出だす人間だけが劇場に足を運ぶことになるのではないかな、と思うのです。
賛否ありそうですが、音楽はもうすでにそうなっていますね。生楽器ではなくシンセサイザーを使うことは当たり前になったし、ライブやコンサートもインターネット上で配信されるケースが増えて、それを心から楽しむ人はたくさんいます。
つまり、どちらを選ぶかは好みの問題で、広く大衆的・標準的という点ではデジタルやバーチャルに寄っていくのではないでしょうか。そのなかで、リアルに特化した芸術と、バーチャルに特化した芸術がそれぞれ成長していくのでしょう。
それでいうと特に今回のcluster公演は、バーチャルSNSを使ったコミュニケーション型ミュージカルという新ジャンルを開拓出来そうな気配が感じられました。将来、演者と観客の線引きが曖昧になったら面白いですね。
蛇足ですが、生身は生身でAR技術との融合が可能なので、VR演劇とはまた異なる趣向の演劇として何か登場しそうな気がします。
なんにせよ、ミュージカルや演劇という尊い芸術に、未来の可能性を示してくれたぱんだ歌劇団さんをこれからも全力で応援したいし、次の公演もぜひ楽しく観劇させていただきたいと思います!
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56500826/picture_pc_633f5cf1d8e681f14e6d40301534fcd3.png?width=800)
ここまで記事を読んでくださって、ありがとうございました! ぜひ、ぱんだ歌劇団のVR演劇を体験してみてくださいね!
▼ぱんだ歌劇団の公式サイトはこちら
http://site.wepage.com/pandakagekidan
▼ぱんだ歌劇団 cluster公演『シンデレラ』配信アーカイブ
https://www.youtube.com/watch?v=tr-FJrE811c
ライター:紅花(こうか)
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