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初めてコーチとしてベンチ入りした日

秋季リーグが最終戦を残して終了してから少し時間が経ってしまいましたが、リーグを通して初めて経験したコーチとしての体験をまとめていきたいと思います。

今回はアシスタントコーチという立場で試合を経験しましたが、実際に指揮を取っていたのは福田ヘッドコーチです。試合を進めながら自分だったらどうするんだろう。と考えていたのでその辺りも書いていきます。

とは言っても、大抵は「難しいな、ジョーさん凄いな。」となるようなことばかりだったので、反省というより妄想のレベルでお付き合いいただけると嬉しいです。

数少ない試合を戦い抜いた。

2020年度の春季リーグはコロナウィルスによって中止、続いてインカレの中止も明らかになった後、少ない練習期間を経てやっと行われることになったのが秋季リーグです。

結果から言うと予選リーグを2位で通過した後に行われるはずだった順位決定戦が中止になり、筑波大学は国士舘大学と並び3位で終了することになりました。

本来なら春と秋で9試合づつ、合計18試合が行われるはずが、4試合に止まることになりました。

しかし、この情勢を鑑みると少ない試合数であったとしても大会を開催するにあったっては運営側の大変な努力があったと思います。

リーグ期間中は、プレーをさせてもらう側としての感謝の気持ちと、選手スタッフとしての自覚を常に持っていました。

コーチとしての役割は?

選手だった頃は試合前は自分のやるべきことに集中していました。1本目にどこへシュートを打とうか考えたり、相手のバックやセンターの癖を思い返してDFするときの材料にしたり。

しかし、コーチになれば自分のことだけに集中することはありません。特に久しぶりの公式戦で選手たちがどんな精神状態なのか、また身体の調子はどんな感じなのかを感じようとしていました。

幸い、試合が行われたのが茨城県だったのもあり、普段のリーグ戦のように移動に疲弊することなく試合に集中することが出来ていたみたいです。

ヘッドコーチの場合、スターティングメンバーはもちろん、展開によって考えられる布陣をあらかじめ数パターン考えておきながら、ベンチの方向によっては公主交代も含めた戦術の引き出しが必要です。

試合の展開にあらかじめ当たりをつけておくために、ゲームプランを用意する必要があり、そのゲームプランも、リーグ全体を見据えてプランニングする必要があります。

日頃の練習から選手たちとコミュニケーションをとっておかなければ、選手のコンディションを含めたプランを練ることは容易ではありません。

そこまで考えるのはかなり難しいと思いますが、試合毎に「目的」を設定することはチームが成長するにあたって乗り越えなければならないハードルを設定することなのかなと個人的に思います。

リアルタイムで進行する試合展開

実際に試合が始めるとわかることが3つありました。

1つ目:ベンチからコート全体で何が起きているのか完全に把握することの難しさ

レフェリーをしたことのある方ならわかると思いますが、選手がプレーしている同じフロアにいた場合、全体を把握するためには最低でも2人、それも耐えず位置を調節する必要があります。

ヘッドコーチならまだしも、立つことが出来ないアシスタントコーチの私はコートの反対側で怒っているプレーを幾度か見逃し、ストレスがたまりました。笑

ヘッドコーチでさえ、同時に起こる複雑な状況を一瞬で判断するためにはとても長い時間と経験が必要だそうです。

近年、ベンチにタブレット端末の持ち込みが許可される動きがありハーフタイムのみならず試合中もアナリストからリアルタイムで状況を分析するように変わってきています。

2つ目:刻一行と変わる状況で正解のわからない判断を迫られる

2000年代からクイックスタートが世界で行われるようになり、今では3秒あれば点が取れるとまで言われています。

攻撃回数の増加は近年抑えられている傾向にありますが、IHFは淀みないスムーズなゲーム展開を目指していると言うこともあり、必要のな笛によってプレーがぶつ切りにならないようなルールの解釈を広めています。

コーチは常に流れ続ける時間の中で、戦術がゲームプランに当てはまっているのか、それに伴う選手の起用やタイムアウトのタイミングを判断しなければなりません。

「3点差か...どうしよう、タイムアウト取ろうかな。」

そんなことを悩んでいるうちに攻撃でミスが連発し、あっという間に5点差になっていたと言う場面は珍しくありませんし、このリーグの中でも相手チームに起こった悲劇でもあります。

難しい点は、それが正解かどうかは後になってみないとわからない。ことだと思います。もちろん、経験豊富なコーチは様々な状況を加味して判断をするのでしょうが、その経験がない以上は手探りでやらないといけないなと思っていました。

3つ目:選手個人へのフォーカスすることと戦況を俯瞰すること

たとえば攻撃において上手くいかないプレーがあったとして、それを認知できたとしても、改善するためには個人に働きかけないといけません。

試合全体の展開を追ってしまうだけで、個人まで焦点があっていないと、上手くいっていないのは判るけどどう改善したらいいのかわからない状況に陥ってしまいます。

もしセンターが利き腕に強くいくことを怖がっていることがわかれば、本人にアドバイスするのか、選手を変えるのか判断するのでしょう。

疲れてきている選手がいれば、控えの選手にあらかじめ声をかけておかなければならないでしょう。

このようにチームが機能しているかを観ながら、個人を観ることはかなり難しいです。

番外編:点差が離れたときの声かけ

戦術の確認や技術的なアドバイスに意識が向きがちだが、点差が離れたときに選手たちにどう声をかけるのか、かなり難しい問題だ。

勝っている時でも、負けている時でも点差が大きく離れると心の中で消化試合(残りを全力で戦うことを諦める)にしてしまうこともあるかと思います。

しかし、自分が成長するためにも時間が余っているうちは常に全力で戦わなければなりません。

「全力で戦う」とは何もダッシュに手を抜かないことや、絶え間なく全力で動き続けることだと感じる人もいるかもしれませんが私自身はこのように考えています。

「相手を攻略するために考えることを止めないこと」

勝っている状況なら、どうやったらもっと確実に点を取ることが出来るのか、また見方にアシストすることが出来るのか。

負けていたら臆病になるのではなく、通用していることとしていないことを冷静に分析して、自分たちの個人戦術力をどう駆使したら相手を崩せるかを絶えず考え続けるのです。

そうして考える癖がついた選手は必ず重宝されます。

試合に出してもコーチが損をしない選手っていうのは滅多にいないですし、そんな選手が集まった集団は間違いなく「負けない集団」なのでしょう。

日本選手権が間近に迫るこの頃ですが、ハンドボールが出来ること、健康体でいられることに感謝して過ごしていきたいものです。

今日はこの辺で。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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スポーツイベントハンドボール12月号で新連載がスタートします。お題は「見て、聞いて、プレーして感じたデンマークのハンドボール文化」です。現地の様子を出来るだけリアルに書いた内容になっています。11月20日から発売されているので、ぜひお手にとっていただけたら幸いです。

本日もお疲れ様でした!

筑波大男子ハンドボール部 森永 浩壽

2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。