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「気持ちが揺れ動く経験」は試合でしか経験できない。だからこそ、子どもたちに試合を。

SNSとコロナ禍

ハンドボールの試合をよく見る私は、1月の終わりあたりに開催されたヨーロッパ選手権の時期、大好きなデンマーク代表の試合を中心に今まででもっとも多い試合数を見た。

ただ見てるだけでも十分幸せなんだけど、ハンドボールのコーチングに携わっている身なのでどういう選手がいるのか?バックグラウンドはなにか?チーム戦術は?最近のトレンドは?などの部分をふんわりと感じながら見ることが多い。

そんな中TwitterやInstagramなどのSNSで独り言を発信していたら、周囲の人からそれなりの反響があり、少しは面白がってくれる人がいるんだなあと思った。

もちろん日本リーグの試合もよく見る。去年の様相と打って変わって好カードが多い印象、近い世界なので「このチームの戦術はこうこうで、この選手はこうこうで」みたいな分析がましいことはやりずらいが、ユーロ同様にその辺をメモしながら見ることがある。

今回は、「試合をすること」で得られる特有の現象(後述)を、コロナ禍が、育成年代である中高生、また大学生から奪ってしまっているのではないかという、ある意味僕1人ではどうにもできない心のモヤモヤを消化させるためにこのnoteを書く。

では「試合をすること」で得られる特有の現象とは何か。

リーグ戦というものを本格的に経験したのは大学に入ってから。毎週戦う場があるというのは本当に素晴らしくて、自分なりの言い方をすれば、試合をすると心が揺れる。

日常生活でなんとなく億劫だった、続けられるストレッチや、SNSでの積極的な発信が、堂々と出来る様になったりする。(これらをすることが全面的に良いとは思ってませんが)用は人間性が少し整理される感覚がある。それは、もっと勝ちたい、勝つためにはどうすれば?気持ちを全面に出していこう。などの「様々な気持ちの揺れ動き」がそうさせるのだと思っている。

そういう経験って、やはりヒリヒリするような試合を重ねること、応援してくれる人がいるって自覚できることが大きいと思う。

日本リーグでSNS活用が上手いチーム

先日Twitterを見ていると、日本リーグの選手のSNSが非常に活発であることに気がついた。これは私が小学生だった頃と比べると大きな違いだ。当時は試合が終わった後に振り返りを投稿する選手はほとんどいなかった、ファンを意識したムーブメントが定着している証拠なのかなと勝手に思っている。

特に男子はトヨタ紡織九州、女子は三重の選手たちの発信が魅力的で、オリジナルコンテンツに加えて、選手個々の発信も豊か。選手たちの背景と実際のプレーが結びついたときに見ている人たちの心は熱くなる気がしている。

公式ツイッターに加えてマスコットキャラクターによる歯に着せぬツイートが話題を読んでいる。


このように、地域やファンに寄り添ったチーム運営ができるチームは、これから新しいリーグに移行していく上で大きな強みを持っていると思う。

今の時期、とにかく学生は試合が出来ていない

日本選手権が終わった12月前半以降、学生たちはコロナウィルスが再燃してしまったことも相まって、練習試合を含むおよそ「ゲーム」と呼ばれるものをほとんどこなせていない。

私の肌感覚だが、目標を見据えて直向きに努力できる選手だって苦しい状況であることは間違いなく、選手単位で見ても、チーム単位で見ても満足のいくトレーニングが積めていないところがほとんどではないだろうか。

八王子のハンドボールスクールの中学生に話を聞いたところ、コロナの影響で部活も満足にできていないという。

話が右往左往して申し訳ないが、葦原さんが新リーグ構想を打ち出したとき、日本リーグの1試合あたりの観客数が年々減少していることも問題だが、それらを問題として捉えていないことが最も問題だと話していた。

育成年代における今の状況は、最も経験を積むべきカテゴリーの選手たちが身動きが取れない状況になっており、その問題をほとんどの人が認識できていないのではないかと思ってしまう。

日本リーグが終盤を迎え、盛り上がっていることは大変素晴らしい。しかし、彼らもまた育成年代を経て、ほとんどの選手が学生時代を経て現在に至っていることは間違いなく、日本リーグが続いていく上で現在の育成年代の「試合ができない現状」に焦点を当てることは必ず必要であるのではないか。

私自身、勝っても負けても「試合が出来た」ことを報告するSNSに少し僻みのような気持ちを感じたことも嘘ではない。

健康が第一、命が第一、間違いない。何よりも変え難いほど大事だ。

でも、子どもたちの未来もそれと同じくらい大事だと思う。

多くの選手が発信をしている今だからこそ、子どもたちの環境をより良くしていくための視点を持ってもいいのではないか、力も実力も足りていない私では影響力に欠けていることは重々承知しているが、まず自分が声を上げないと。

今のSNS社会は、社会的な流れに一石を投じることは、周囲からの風当たりをより強くする傾向にある。だから、全員に届けとは思わない。一人でも良いので、考えるきっかけになってくれるだけで良い。

さて、今日はこの辺りにします。

ご意見ご感想お待ちしております、ぜひ一緒にお話ししましょう。

本日もお疲れ様でした!

森永 浩壽

2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。