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小さなコートとゴールでハンドボールがもっと楽しくなるお話

U-12のハンドボールについて

久しぶりにデンマークで学んだことを振り返ってみたいと思います。

今回紹介するのはデンマークでのU-11,12ハンドボール。

12歳以下なので日本で言う小学生ハンドボールです。

この時期は、ハンドボールそのものの「楽しさ」をプレーしながら感じることが出来たり、ハンドボールの基礎の部分や対人感覚を養う上で非常に大切な時期です。

デンマークで目の当たりにした小学生ハンドボールはどのようにプレーされていたのかを紹介していきたいと思います。

実際に見たデンマークでの小学生ハンドボール

試合で使われるコートは基本的には40m×20mですが、トレーニングのほとんどは20m×10mのミニハンドボールコートが使われていました。

DHF(デンマークハンドボール協会)の育成方針の中に

『U-11では小さなコートでの「トータルハンドボール」→大きいコートでの5:5のゲーム』

と書かれています。

僕が育成ガイダンスを訳したものです。

「トータルハンドボール」には20m×10mのコート(ゴールの高さは2.4m×1.5m)が使用され、基本的に3:3(GKが攻撃参加することで4:3になる)のハンドボールを指します。

この写真(うちのシニアチームのトレーニング)で見てわかるように、大人には少々小さいコートとゴールですが、数的優位の中で自分がどんなプレーができるのか、仲間と協力してどんなことが出来るのかを学ぶことが出来ます。

実は日本でも2.3年前から「ストリートハンドボール」として小学生を中心にプレーされています。

駆け引きの要素が強く、大人がプレーしても怪我の心配が普通のハンドボールより少なく済みますし、何よりすごく楽しめます。

詳しいルールなどは以下のツイートに書かれています。
興味を持たれた方はぜひ。

次に「大きいコートでの5:5」ですが、この文章を見たときには目を疑いました。

「本当に公式戦で5:5が行われているのか?!」

行われていました。

見ての通り、コートにはお互いに5人しかいません。

それ加え、ゴールも少し小さくなっています。

人数を5人にすることで、一人一人が使えるスペースが増えますよね。

これによって、広い空間を使った1:1や2:2が自然と生まれます。

そして驚くことに、ほとんどの体育館に大人用のゴールの上の部分を調節できるような用具が用意されています。

小さいゴールも同様に体育館の壁にぶら下がっています。

この辺はさすがデンマークといった感じで、すぐに真似できる環境でありませんね。笑

実際に現地で撮った写真です。このように、ゴールの上部を覆う用具を使って、山形のボールで上のコースに簡単に決まってしまうことを防いでいます。

小学生のハンドボールと大人のハンドボールは違う

もうすでにお気づきの方はいらっしゃるかもしれませんが、小学生の身体には40m×20mのコート、2m×3mのゴールは大きすぎます。

もし大き過ぎる環境でハンドボールをしたら、どんなことが起こるでしょうか?

身長が150cmに満たない子供がGKをすれば、どんなに頑張っても上のボールに届かず、横にも届きません。

GKに入っても全然シュートが止まらない=つまらない

そう思ってしまう子供が増えてしまいます。

シュートを打つ側はどうかというと、あまりにも簡単にゴールを決めることができるので張り合いがなく、同時にGKと対峙する感覚を養うことができなくなってしまいます。空いてるスペースに放るだけですから。

大人になってシュートを打つと、GKと対峙し、空中で駆け引きをしながらシュートを打たなければなりませんよね。そうした感覚を養う場を大き過ぎるゴールは奪ってしまっているのです。

また6:6でプレーすることによって、狭いスペースを崩すスキルがないため、ほとんどの攻撃が中央のバックプレーヤーたちで完結してしまいます。

サイドのポジションには、背の低い選手が入り、ゲーム中は往復ダッシュをしているだけ。そんな風景をご覧になったことはありますか?

数年前から小学生の試合でオープンディフェンス(3:2:1、3:3など)が推奨されて、一人ひとりがプレー出来るスペースが広がっています。
確実に選手の可能性を確保するルールが定まっていることは間違いありません。そこに尽力してくださった方々のことを尊敬しております。

銘苅さんがよくおっしゃっていますが、

数あるスポーツの中からハンドボールを選んでくれた子には、ハンドボールを大好きになって欲しいです。そのためにはハンドボールが楽しいものだと伝えなければなりません。

その責任を負っているのは私たち大人ではないでしょうか。

楽しいと思える瞬間さえ提供できれば、子供たちは自然とハンドボールにのめり込んでいってくれると思います。

私たちのやっている「ハンドボール」というスポーツはそれだけ素晴らしい魅力を持っていると確信しています。

今日はこれくらいで!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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本日もお疲れ様でした!

筑波大男子ハンドボール部 森永 浩壽

2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。