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Episode 00: 予告編〜ビアスタイルってなんだ?〜

ビアスタイルという言葉を聞いたことがあるだろうか?ビールには原料の種類や使用される量やタイミング、醸造方法の違いなどによってさまざまな種類のものがある。日本地ビール協会が発行している現在のビアスタイルガイドライン(2020年4月版)にはなんと122ものスタイルが定義されている。ちなみにこのガイドラインは、日本地ビール協会のウェブページでウェブ版が閲覧できる他、製本されたもの(下写真)をオンラインショップで購入することもできる。

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ビアスタイルガイドラインは、そもそもビールの審査会などにおいて、評価をするための基準となるもので、基本的に審査会で官能評価をする審査員や、審査会にビールを出品するブルワリーにとっては重要なものである。

審査会で使う大切な「ものさし」なので、世界各地の審査会ごとにいろいろなものが用いられている。日本のビアスタイルガイドラインはアメリカの Brewers Association が World Beer Cup のために作成したものをアレンジして作られている。いろいろな団体が独自のガイドラインを作っているが、実際はそれほど大きな違いはない。

というわけで、実用上は審査会で専門家が使う以外の用途はなく、あるとしても詳しくビールのスタイルについて知りたい人が参照するくらいだろう。ただ、単なるビール好きの方々も、ビアスタイルについて知っていると、ビールの楽しみがより広がるのではないかと思う。なぜなら、ビアスタイルで定義されている内容は、そのビールの見た目や香り、味わいだけではなく、その背景まで読み解けば、醸造方法やスタイルそのものの歴史まで垣間見ることができるからである。

というわけで、いくつかのビアスタイルについて、その成り立ちや背景も含め、シリーズで記事を書いてみることにした。今日はその予告編。このシリーズ、次のようなことを予定している。

 ★2021年12月1日から24回シリーズ
 ★毎週月曜・水曜・金曜の3回新しい記事を公開
 ★第1回はミュンヒナー・デュンケルを予定

ということで、これから2ヶ月ほど、忙しくなるが、やると言ってしまったんだから仕方ない。24回シリーズ、ぜひお楽しみください。

なお、記事はさまざまな資料をベースに僕なりの理解をまとめたものである。ひょっとすると誤りや見直しが必要なものもあるかもしれない。そういったものについてはぜひコメントを寄せてもらえると助かる。このシリーズ、単にみなさんにビアスタイルについて紹介するだけではなく、自分自身の理解を含めるためにも自分なりの考えをシェアしたいという意味合いもあるので。

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さて,ビアスタイルについてもっとよく知りたいという方には、拙訳の『コンプリート・ビア・コース:真のビア・ギークになるための12講』(楽工社)がオススメ。米国のジャーナリスト、ジョシュア・M・バーンステインの手による『The Complete Beer Course』の日本語版だ。80を超えるビアスタイルについてその歴史や特徴が多彩な図版とともに紹介されている他、ちょっとマニアックなトリビアも散りばめられている。300ページを超える大著ながら、オールカラーで読みやすく、ビール片手にゆっくりとページをめくるのは素晴らしい体験となることだろう。1回か2回飲みに行くくらいのコストで一生モノの知識が手に入ること間違いなしだ。本書の購入は楽工社のウェブフォームからどうぞ。

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また、ビールのテイスティング法やビアスタイルについてしっかりと学んでみたいという方には、私も講師を務める日本地ビール協会「ビアテイスター®セミナー」をお薦めしたい。たった1日の講習でビールの専門家としての基礎を学ぶことができ、最後に行なわれる認定試験に合格すれば晴れて「ビアテイスター®」の称号も手に入る。ぜひ挑戦してみてほしい。東京や横浜の会場ならば、私が講師を担当する回に当たるかもしれない。会場で会いましょう。

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