転職して気づいたこと
「コジコジ(こじゆか)は仕事を楽しんでいると思った。」
大学時代の友だちと仕事のグチを言い合っているときにそう言われた。たしかあれは社会人3年目。その友だち(Aちゃん)は、新卒で入った会社をやめて転職先が決まったところだった。
その頃仕事をやめたかった私は、転職活動経験のある友だちに連絡をとって、転職理由や転職活動の仕方などを聞いていた。
Aちゃんは、「私は元々仕事が好きなタイプじゃないんだよ。だから転職先は仕事内容とかよりも働く環境で選んだよ。でもコジコジ(こじゆか)は仕事を楽しんでいると思った。」
そう言われた。私もそう思っていた。私は昔からまあまあ活動的な方で、中学時代は委員会の活動に熱心に参加していたし、英語のスピーチコンテストにも出場した。高校時代の途中まで部活を一生懸命やっていたし、やめてからは作文を書いて無料で中国にも行かせてもらった。大学時代も海外インターンのようなものに参加したり、国際交流パーティーの運営を手伝ったり、短期留学をしたりとやりたいことをたくさんやってきた。
だから仕事でもやりたいことをやって、楽しんでいると信じていた。というよりも、やりたいことじゃないことを仕事にするなんて考えられなかった。だから自分が納得するまで就活して、最終的に就職先を決めたのは大学4年生の1月だったと思う(笑)
入社して1年目は毎日やめたいと思っていた。訪問先に行く前にコンビニで泣いたこともあった。2年目になると、面倒見のよい先輩に出会ったこともあり、いい結果がでるようになり、仕事が楽しくなった。でも結構きつい生活を送っていたので、このときも仕事はやめたかった。
3年目に本社に異動になって、以前よりも楽な生活を送れるようになったけれど、仕事が全然おもしろくなかった。異動したばかりの頃は放置されていたし、その後異動してきた上司はけっこう詰めてくる人だったので、相性が悪かった。
社内的には力を入れていこうとしていた部署だったけれど、私は完全においてけぼりで、結構しんどかった。
それは会社が悪いというよりは、当時の私が主体的に動けなかったことや動こうとしても縛りがきついように感じてしまったこと、人の表情を読み取りすぎてしまったことが原因だと思う。歳の近い人がいなかったのも孤独だったなあ。
もう少し私の心が強かったらよかったとも思うし、単純にあの職場と私は合わなかったとも思う。
だから3年目の途中で私は会社をやめる決意をし、友だちから情報収集をしていたのだ。それで退職の意思を示したら止められて、ちょっとほっとした自分がいたことにびっくりした。
このときには仕事でやりたいことがやれているかどうかなんて1ミリも考えてたくて、ただただやめた後のことが不安だった。
だから「やめます!」と言い切ることができなくて、結局会社に残ることににした。でも自分の気持ちを顧みずに仕事をし続けた結果、どんどん元気がなくなって、仕事に行けなくなった。
仕事に行けなくなったとき、会社の人たちの仕事を増やしてしまったことに罪悪感を抱き、帯状疱疹になってしまった。皮膚科の先生に「若い女の人が珍しいですね。疲れですか?ストレスですか?」と聞かれた。調べてみると、帯状疱疹は働き盛りの男の人に多い病気らしい。
しばらく有給を使って休んで、その後は元の部署に戻したらまた体調を崩すかもしれないからということで、一時的に関連会社の倉庫で働くことになった。倉庫で本のピッキングをしながら「この先私はこの会社で何をしたいのだろう?」と考えていたけれど、全然思いつかなかった。
そんなときに大学時代から気になっていた会社のメルマガが目に飛び込んできたので、説明会に参加した。
説明会に参加して、自分のやりたい仕事ができそうだと思い、もう1度退職の希望を伝えた。すると今度はびっくりするくらいあっさりと退職することができた。
「自分はもういらないんだな」とつくづく思った。
その後、飛行機と電車を乗り継いで、新しい会社のインターンシップに参加した。1カのインターンシップはとても楽しくて、その会社で働くことにした。
新しく入った会社はとても自由で、「やりたくないことはやらなくてもいい」「やりたいことをやってください」と公言しているちょっと変わった会社だった。
でも私はその世界観が理解できず、最初はとても苦しかった。だってみんながやりたくないことをやらず、やりたいことばかりをやっていたら仕事は成り立たないと思っていたから。
フルフレックスタイム制というのも働きやすいようで働きにくくて、休みたくても目の前に仕事があると休む気にならないし、自分が休んでいる間にメールの返信が放置されるのでは?と不安に思って最初は旅行先にパソコンを持って行くほどだった。
そんな状態だから決められた労働時間は超えちゃうし、自分自身も苦しくなってしまった。
でも問題はいたってシンプルだった。
最初私は「だからやりたくないことも結局誰かがやらないといけないんだってばー」と思いながらやりたくない仕事を一生懸命やっていた。でもそれに苦しくなってしまって、やりたくないことを伝えてみたら、私がやりたくないことをやりたいと思っている人がいた。
働き方が苦しくなって上司に相談すると「土日休みで1日8時間と決めて働けば?」と提案された。そこで、「ああそんなにもシンプルな問題だったのかあ」と気づいた。
結局問題は「やりたくないこともやるべき」「自分が休みをとることよりも目の前の仕事を終わらせるべき」という私の固定観念から生まれているものだったのだ。
固定観念を取っ払って自分の意思を伝えると、自分のやりたいことをやれる可能性が高まるということを今の会社に入って知った。
自分の気持ちを伝えて、調整してもらうということができる従業員とそれを受け入れる組織が増えれば、今よりずっと働きやすい世の中になると思う。それを教えてくれた今の会社には感謝している。
実は私は、転職したことで年収が半分になった。でも以前の職場より今の職場の方が満足感が高い。それによって「私にとって仕事が楽しいということは年収が高いことよりもずっと大事なことなのだ」と気づいた。だからこれからも私は、やりたい仕事を楽しくやることを何よりも大事にしていきたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?