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ドライブ・ヒズ・カー
地方で乗るタクシーの運転手のおっちゃんは、たいていフレンドリーだ。
というか、おかしいのは東京に住む僕たちか。タクシーみたいなせまい空間にいて、コミュニケーションがないのがおかしいような気もする。
さて、いまは岡山に来てる。いわゆるワーケーションってやつ。
品川からのぞみに乗って岡山駅へ。そこから瀬戸大橋線で児島駅まできて、宿まで向かうためにタクシーを拾った。おっちゃんに住所を伝えると、
「あぁ、あの宿ねぇ、あの、フラットやろ?」
フロートです、というと、あぁフロートかとおっちゃん。東京から来たんです、とか、さいきんはここのあたりの飲み屋街も閑散としてきたもんですねぇ、とかいう話を、宿に着くまでの15分ほどする。
もう人生で、このおっちゃんと会うことはないんだろうな、とふと思う。だからといって、かなしいとかさびしいとかいうことはないのだけど。一週間たったらおっちゃんのことなんて忘れているんだろうけど。僕もまたそうやって誰かに忘れられてゆくんだろうけど。
サポートがきましたって通知、ドキドキします。