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「さびしがり屋のひとり好き」という星

むかしむかし、僕が大学生のころ、mixiをみんなやってる時代がありまして。

mixiのおもしろいところのひとつは、コミュニティ。趣味とか価値観のコミュニティがあって、そこで知らない人とつながれるんだけど、なかには「考えたやつ天才か」みたいな名前のコミュニティってのがあったのですな。

いまでも強烈に印象に残ってるのが、「さびしがり屋のひとり好き」って名前のやつ。

見つけた瞬間、ソッコーで参加した。いや、もう、ほんとそれよ!さびしがり屋にもいろいろあるのよ!と。

「さびしがり屋のひとり好き?はて?」という方もいると思うので、図にしてみる。こういうことなのだ。

さびしがり屋のなかには、ひとりでいるのがきらいな人がいる。これはわりとイメージしやすい。

でも、なかには「ひとりでいるの、めっちゃ好き。でもさびしい」という、なんともめんどくさいヤツもいる。それが「さびしがり屋のひとり好き」だ。

そういうヤツは、もりあがってる飲み会でもひとりぽつんとしていたりする。休み時間にみんながドッジボールしてるなか教室で読書していたりする。「あいつはひとりが好きなんだな」と思われてほっとかれるし、「飲みいこうぜー」とか「ドッジボールしようぜー」とかいわれても、「ひとりでいたいんだけどなぁ」と思っていたりする。

が、内心「さみしいなぁ!」と思ってるのだ。

そう、自分でも意味わからない。だから「俺って変なんかな」と思ってた。だけど、mixiの「さびしがり屋のひとり好き」コミュニティには、たしか何百、何千という人が参加してて、びっくりした。うわー!!俺だけじゃなかったのか!!と、茫漠な宇宙をひとり漂ってたら、同じ星の人間を見つけた!みたいなうれしさがあった。

「さびしがり屋のひとり好き」星人、意外といっぱいいる、という気づきは、その後の僕をすこし、ほんの少しだけ支えている。自分だけじゃないぞと。

あれから10年以上。もうmixiをひらくことはなくなった(っていうか、パスワードもIDもわすれてしまった)。あのコミュニティにいたみんなは、いまごろ元気なんだろうか。やっぱり真っ暗で一人ぼっちの宇宙で、いまも同じ星の人間を探してるのだろうか。



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