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さよならカメラ

新しいバッグに新しいカメラを入れて今日初めて会う人と待ち合わせる。
就活中の大学4年生。忙しい日々を過ごす中でその人は私の写真のモデルになってくれる。

待ち合わせた交差点。赤信号の向こう側にその人はいる。

信号が青になる。

はじめまして!

すぐに写真を撮り始める。

もしもカメラがなければ私の前に今あなたはいないし今あなたを撮っている私もいない。

約束した2時間だけこの街でその人を撮り続ける。

就活中ということは来年は社会人だ。生活はいろいろ変わるだろう。もし地元が遠いところでこの街には大学にいる4年間だけ来ているのだとすればもといたところへ帰ってしまうかもしれないし、そうでないとしても社会人になったらモデルはもうできなくなってしまうかもしれない。

どんなときもそのときしかない。そう思ってシャッターを切る。また撮れるといいのに。ずっと撮れるといいのに。いつもそう思うけれどずっとモデルとカメラマンの関係であり続けることのできる人はそういない。

写真を撮ることはさよならを言うことだ。

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model:さやか
Twitter:@sayakaphoto_h

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