慈しむ撮影
正直、最近は生きていたくないと思うことがすごく増えました。
ただ家族をはじめ私が生きていなければ悲しんだり困ったりしてしまう人たちがいるのも事実で、それだけを頼りに生きています。私が支えないといけない人たちが、私にとっても支えになっているんです。誰かに必要とされるって生きる力そのものなんだなって感じます。
写真撮影もそのひとつなんでしょう。俳優の若尾桂子さんの撮影をしました。若尾さんが幼少期から24歳まで住んだご実家の界隈で撮ったんです。
そうしたら若尾さんは、小さな頃怖かった場所が大人になった今の目線で見れてすごく安心したと喜んでくださったんです。写真って、出来上がった作品としての写真だけではなく、撮影という行為そのものにも意味や価値があるんですよね。
結果としての作品も大事ですが、私はそれ以上に撮っている時間そのものを慈しみ大事にしたいです。写ってくださった方に「楽しかったな。今日こいつと会ってまあ良かったかな」程度には思ってもらえる日にしたいんです。そしてその日の記念になる写真がお相手の手もとに残れば……それが私の写真なのかな、と思います。
若尾桂子
フリーランス役者・脚本家・演出家
Twitter:@keiko_wakao
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