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大阪 大好きな3人と

午前6 時の東京はほの暗く、でも傘を取りに部屋まで引き返す気にはなれなくて、大阪はきっと天気いいだろうと思って出かけることにした。3人の女性と会う約束をしている。晴れるに決まっている。

そして実際に大阪の空はきれいに青かった。光はまあまあ、柔らかい。待ち合わせ場所のビッグマンで、服装を知らせるため自撮ってLINEする。でもその直後、未読のまま彼女は笑顔でやって来た。

こころさん

「結婚したんです」
月曜日だという。1週間経っていない。
「えー……そうなんだ」
お相手は大学の2年先輩だそうで、スマホに保存してある2ショットを嬉しそうに見せてくれた。頼りがいありそうなイケメンのスポーツマンだ。

嬉しくなった。人生は選択の連続から成り立っている。彼女も彼も結婚という大きな選択をして、そしてこれからはもっともっと多くの出来事を二人で選択していくことになるのだ。

感情表現がまっすぐで澄んでいるこころさんが、大好きだ。私の写真のモデルをしてもらえるのは本当に嬉しいし貴重なこと。これからも変わらず引き受けてくれるという言葉をもらって安堵する自分。笑

大阪に着いて最初の30分で「ご結婚おめでとう」を言うことになろうとは。これだから写真って楽しい。

さゆこさん

京都から忙しい合間を縫って、茶色いパーカー姿のさゆこさんがビッグマンに来てくれた。去年京都駅でお会いしたときと同じで、私が直前に予定をねじ込んでもらったので1時間しか時間はとれない。その1時間のために梅田まで来てくれて、「どんな感じのが撮られたいとかあられますか」と、撮り手が撮りたい写真のことを考えてくれる。

さゆこさんは私が知るモデルさんの中でも五指に入る表現力ある人で、うまいカメラマンさんもよく知っていて、ていねいに作り込んだ素敵な作品を生み出す。そんな彼女を中崎町の街撮りに付き合わせてしまうのは贅沢だ。

でも私は、さゆこさんのたおやかな話し方やかいらしいしぐさが大好きだ。だから、わがままを言ってでも会いたくなってしまう。

ゆにさん

遅めの昼食をとっていたとき、DMに気づく。予定より早くお会いできることになったらしい。西梅田の中改札へ急いだのだけれど、結局は予定通りの夕方になってしまった。

モデルには二通りある。毎日でも撮りたい人と、あえて次の撮影まで時間をあけたい人だ。どちらがいい悪いとかではなくて。ゆにさんは私にとって典型的に前者のタイプ。だが住んでいる場所が関西と関東なので頻繁にはお会いできない。そのもどかしさが、でも意外といいかもしれない。

ゆにさんと会うと撮り合いになるのだが、7月に錦糸町で会ったときより明らかに速くなっていた。何度か完全に不意をつかれた。カメラが呼吸になっている。そんなゆにさんが大好きだ。さっそく明日また会いたいのだが。

「志和さんと奥さんにぜひ食べて欲しいものがあるんです」
新幹線の駅まで見送ってくれたゆにさんは、30分近くも行列に並んで焼き上がったばかりの美味しいチーズケーキを持たせてくれた。

写真って

何もカメラのシャッターを切ることばかりが写真ではない。私の写真にシャッターを切る切らないは、実はあまり関係がないことだ。
大阪で3人の素敵な人と会って、3通りの素敵なひとときを過ごすことができた。何の変哲もない人生を送っている凡人な私にとって、この日は生涯の記憶に残る日になったはずだ。
写真とは、そういうことなんだと思う。

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