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「筋肉美女」ぱんちゃん璃奈(りな)<後編> 熱血スポーツ少女が疲労骨折で挫折し、高校も中退。 キックボクシングと出会い再生するまで(2019年3月28日公開。「REBELS.60」インタビュー)

キックボクシング&ムエタイプロモーション
REBELS(レベルス)

オフィシャルインタビュー
ぱんちゃん璃奈(ぱんちゃんりな)


「筋肉美女」ぱんちゃん璃奈<後編>
熱血スポーツ少女が疲労骨折で挫折し、高校も中退。
キックボクシングと出会って再生するまで 

プロフィール
ぱんちゃん璃奈
(ぱんちゃんりな。本名 岡本璃奈)
所  属:STRUGGLE
生年月日:1994年3月17日生まれ、25歳
出  身:大阪府豊中市
身  長:164cm
戦  績:1戦1勝。KAMINARIMON全日本2018・47㎏優勝、Girls Bloom Cup50㎏優勝

*データはインタビューした2019年3月時点。

前編からの続き↓

 2018年9月、記者会見で「パンクラス・レベルス・トライアウト」の実施が公表されて、アマチュアの岡本璃奈(STRUGGLE。当時は本名)と川島江理沙(クロスポイント吉祥寺)の出場が発表された。

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 ぱんちゃんはその後、同月のアマチュア大会で優勝。11月にはタイに渡り、防具なしのプロルールの試合を経験した。
「9月と11月の試合では技が出るようになったので自信が付きましたけど、一緒に練習したり、試合をした女子選手たちがどんどんプロデビューしているので焦りもありました。最初は『11月』と聞いていたトライアウトの試合が3か月も伸びてしまって。『5か月後? その間に何戦も出来るのに!』って。正直、イライラはしていて」

 ぱんちゃんと川島さんは、プロデビュー戦に向けてTOKYO MXのスポーツ情報番組「BE BOP SPORTS」にそれぞれSTRUGGLEとクロスポイント吉祥寺から生中継で出演。練習の様子やインタビューが放送されて、デビュー戦としては異例の注目が集まったが、プレッシャーはぱんちゃんの方が大きかった。
 アマチュア大会での実績や、体格面とフィジカルでの優位など、下馬評は圧倒的に「ぱんちゃん有利」だったからだ。それだけに、デビュー戦から「絶対に負けられない戦い」として臨まなくてはならなかった。


「『負けたらどうしよう?』はありました。相手がプロで何戦もしてるなら、たとえ負けても『次に頑張ろう』と思えますけど、アマチュアで1回試合して勝ってて、その後も私の方が絶対に練習してるのに『これで負けてしまったら自信も無くなる』と思って。
 でも、格闘技は100パーではないし、川島選手はパンチがあるのでラッキーパンチでダウンを取られたら、という不安もあって。だから、記者会見では大きいことを言ったかもしれないです。『絶対いける、絶対いける』って自分に言い聞かせてたので」

 そうして、ぱんちゃんが記者会見の場で「何もさせずに圧倒します」「倒します」と発言するたびに「大人の女性が女子高生をいじめてる」ように見えて、自然と「ヒール(悪役)・ぱんちゃん、ベビーフェイス・川島さん」という構図が出来上がった。ぱんちゃん自身、その自覚はあったという。


「私がヒールになってるのは分かってました(笑)。会長にも『今回の岡本さんは完璧にヒールキャラの立ち位置だから、最初はそっちの方が注目して貰えるからいいよ』って言われてました(笑)。川島選手は『純粋な良い子』だし、私は性格もそんなに良くないので(笑)。演じてるわけではなくて『素』なんです。
 記者会見で『圧倒します』というのは、自分で『しなきゃダメ』って思ってましたし(笑)。普段から『絶対に倒してやろう』と思って練習してて、対戦相手が決まった瞬間から『ぶっ倒したい』と思うから、相手にも伝えたいな、って(笑)」

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6オンスグローブで殴った衝撃と、殴られた痛み。
それでも「女子アトム級の頂点に立ちたい」

 2019年2月17日、新木場スタジオコーストでおこなわれた「パンクラス・レベルス・リング1」のメインイベントは「職業キックボクサー」日菜太vs現役ムエタイ王者シップムーン。その後で「BE BOP SPORTS特別提供試合」として、デビュー戦同士のぱんちゃん璃奈対川島江理沙がおこなわれた。

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 ぱんちゃんは1Rに前蹴りからのパンチでダウンを奪い、3Rにも得意の右ストレートでダウンを奪って、3-0(30-26、30-25、30-25)の判定勝利を収めた。

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 初めてのプロのリングでは、それまでに味わったことのない「感触」を経験した。
「初めて6オンスグローブで殴ったんですけど、ストレートが当たった瞬間『相手の骨』が分かったんです。もうびっくりしてしまって(苦笑)。タイでの試合は8オンスで、もう少し大きくて。6と8は全然違いました。それでも川島選手は倒れなかったですからね。ただ、試合後に見たら顔が腫れていたので『殴ってごめんね』って思いました。5か月間、ずっと『ぶっ倒してやろう』だったので、やっと解放されて、仲良くできるのかな、とも」

 とはいえ、試合の内容は反省点が多かった。
「試合前に(梅野)源治さんにずっと『落ち着け、距離を取って』って100回ぐらい言われてたので(笑)。最初の1分は『落ち着け』って言い聞かせながら戦えたんですけど、顔面前蹴りでダウンを取ったら『いける!』って思っちゃって、そこから真っ白になりましたね。2ラウンド目はぐちゃぐちゃで、3ラウンド目はまた落ち着きを取り戻して試合が出来たんですけど」

 川島さんの必死の反撃も想定内だったが、6オンスグローブで受けたパンチは想像以上の痛みで、ダメージも残った。
「自分が打ち合いたいタイプで、打ち合う時は前重心で『自分は殴られても絶対に倒れない。殴られてもいいから、先にダウンを取ってやろう』と思って殴ってます。だから川島選手の攻撃で『危ないな』と思った攻撃はなかったですけど、あんなに喰らうとは思わなかったです、フフフ。川島選手の右ストレートを何発か喰らって、鼻は10日間ぐらい痛かったです。
 試合では本当に技が出せなくて。膝も練習したし、回転技とか飛び技も練習してたのに焦ってしまって。前蹴り、ミドル、ワンツーしか出なくて、力んでしまってパンチを打つ時も距離が短すぎて、威力が出ないし。
 会長からは『勝てたのはよかったけど、まだまだこんなもんじゃないから。力を全然出せてない』って。それを聞いて、ちょっと救われました」

 試合が地上波ゴールデンタイム生中継で放送されただけに、試合後の反響は大きかった。
「周りの方も初めて私の試合を見てくれて『本気でやってると思わなかった』って言われたのと『川島選手の気持ちが強くて感動した』って(笑)。でも、みんなに『階級が違うよね』と言われました(苦笑)。それはアマチュアの時から言われるんですけど……」

 ぱんちゃんが希望した体重は46キロ。試合の契約体重47・5キロは対戦相手に合わせたものだった。
「私はデカく見えるみたいですけど、一応、女の子なので『デカい』と言われるのは(苦笑)。足が細くて肩幅があるのと、脂肪がないから筋肉でデカく見えるんだと思います。
 普段は朝起きた時で49キロです。だから前回は食事を変えず、直前に水分だけ1・5抜いて。次のSae選手との試合は45・5キロ契約なので、4キロ近く減量があってキツいですけど、試合になるとまた『どれだけ減量してるの?』と言われるんでしょうね(苦笑)」

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ぱんちゃんが目指すところと、切望する「あの選手」との試合

 ぱんちゃんが目指すのは、女子キックボクシングのアトム級(46キロ)の頂点。そして「あの選手」との試合。
「キックボクシングに出会った時、ビビビって来ちゃいました(笑)。ただ頑張ればいいだけじゃなくて、テクニックも必要、頭も必要、才能も努力も、身体能力もすべている。こんなに難しいスポーツはないだろうなって思いますし、キックボクシングは本当に面白いです。
 いずれ那須川梨々ちゃんとやりたいですね。アマチュアの時に試合を見てるんですけど、手数とか圧力とかあって強いので。一番尊敬しているのが天心選手なので、いつか妹さんとやりたいです。
 まだプロでは弱い方なので、1戦ずつキャリアのある選手に勝っていって、いずれREBELSで女子アトム級のトーナメントをやって貰いたいです。タイトルマッチというよりか、何人か選手を集めて貰ってトーナメントをやれば、比較で『自分の方が強い』って見せれると思うので。
 そのためにも次の試合は何が何でもKOしたいです。Sae選手は記者会見で顔を合わせたらとても優しそうな方なんですけど、当日は関係なく倒しにいこうと思ってます。
 Sae選手の試合の動画を見たらずっと首相撲でしたけど、私も首相撲は毎日やっているので、首相撲の勝負になったらぶん投げたい、って思ってます(笑)。今回こそ倒して勝ちたいので、ぜひ応援をよろしくお願いします」  

(了)

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「REBELS.60」第1試合 45.5kg契約、2分3回戦(延長なし)、REBELS-MUAYTHAIルール(ヒジなし)

Sae_KMG(クラミツムエタイジム)
vs
ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)

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「REBELS.60」
2019年4月20日(土)
17:00 開場、
17:10 オープニングファイト開始、17:30 本戦開始
後楽園ホール
 http://www.tokyo-dome.co.jp/hall/

主 催 株式会社 Def Fellow
協 賛 株式会社ランドハウジング
株式会社エム・ティ・エム
株式会社Tカンパニー
株式会社OFFICE MIRAI
備長炭焼き鳥・駅
株式会社三和トラスト


その後のぱんちゃん ↓

女子キックの頂点を目指して、ぱんちゃんの戦いはまだまだ続く!!

大会の最新情報、対戦カード、チケット情報は、
REBELS公式ホームページにアクセス!!
http://rebels.jp


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