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里山からウェブメディア、はじめます。

台風の通り過ぎたその日、小塩の谷に流れる空気はひんやりと、そしてさらりとしていて、あまりにも気持ちよかった。

小塩にできたロダンというピザ屋でノンアルコールビールを片手にピザを食べていたのだけれど、もう少しで溶けるかと思った。
心地よい風と音楽もなく静かで穏やかな時間が流れる空間で、店主である藤吉さんとここで暮らすことの豊かさについて話をしていた。
それは物質的なものではなく、里山という自然に限りなく近いところに住み、その時々の天候や空気、時間をゆっくりと味わうことのできる、そんな豊かさのことだった。

小塩の中崎地区に暮らし始めてから2年半が過ぎようとしている。手に入れた家と事務所についてきたという理由でうっかり始めることになった米作りも、小塩の営農組合の稲刈りの様子を追いかけて写真を撮ったり作業を眺めたりする日々も終わり、ほっと一息ついている。

そうしてようやく、一度作ったもののなかなか稼働させることのできていなかったウェブメディア「耳納山麓の人と暮らしの」再準備を、もう一人の編集たけやすなつこさんと共に始めた。
そのウェブメディアでは、耳納山麓つまりうきは市周辺の地域に暮らす人々に、彼ら自身の暮らしや身の回りについて書いてもらうことをメインに、編集部でインタビューや取材した記事も載せる予定でいる。

移住してきて十年余り、このうきはという土地には引力や磁場の強い、生き方や考え方の魅力的な人たちが多くいると思う。それと同時に、小塩に暮らすようになって、里山での暮らしの豊かさをしみじみと感じる。
それらは刺激に満ちたというよりは、しみじみとした味わい深いもので、ぼんやりと山や川を眺めている時や心地よい風が吹いた時に「ああ、いいところに住んでいるな」と、そんなふうにふと思う良さだ。

私は今年のはじめまで、耳納新聞というローカルフリーペーパーを作っていた。そこではほぼ同じようにいろいろな人にうきはでの暮らしを書いてもらっていた。
けれど、ここでの暮らしの普遍性のようなものを、もう少し広く、そして違う場所で暮らす人々に届けるのも結構面白いんではないかしらと思い、耳納新聞を離れ、ウェブメディアの準備を本格化させている。
今からその準備が大変だろうし、運営していくことはそう簡単ではないだろうけれど、とてもわくわくしている。

願わくば、これを読んでくださってる皆さまも、楽しみにお待ちいただけますよう。

追記
「耳納山麓の人と暮らし」は年内に稼働させる予定です。息が長く、ゆっくりと、そして楽しく、運営していきたいと考えています。今後、協賛やご支援など願うこともあるかと思いますが、その時はよろしくお願いいたします。

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