見出し画像

『スタートアップ 冬の時代』に思うこと。顧客と向き合うのが起業家の仕事

クリエイターと一緒にショートムービーのプロモーション支援をしている株式会社Nateeの代表をしています小島です。

今、日経新聞では『冬のスタートアップ』という連載がされています。

これを読んでいると、まるでスタートアップは終わったかのような特集になってます。実際に僕の観測範囲でも2021年までのイケイケのムードはしぼんで、利益重視の経営体制への変更を余儀なくされている企業が非常に多い印象です。

でも、見方を変えればボーナスタイムが終わっただけで、まっとうな形に収斂するんだからむしろよかったんではないかと感じています。どう考えてもPSR80倍というのはちょっと説明がつかない世界線だったよね、という話なのかなという理解です。

そもそも資金調達とは何か?

お前が何を話せるんだよっていうのは置いておいて、僕の理解を整理も兼ねて書いてみます。

経営は基本的には無借金の100%オーナー会社でやるのが一番いいと思っています。たとえば自分が1000億円を持っていたら、銀行からお金を借りたり、VCから出資してもらって起業するでしょうか?自信があるほど自分のお金でやりたがるのではないでしょうか?

ただ、現実問題1000億円は持っていないわけで、ほとんどの人がゼロからのスタートになります。その前提で、無借金のオーナー会社を経営していてもAmazonやメルカリは絶対に作れません。周りを圧倒する成長をするためには、必ず追加でリソース調達が必要になります。事業で利益を残して、それを元手に再投資して、というのは非常に時間がかかる。

難易度で見ても、利益を1億円残すのと、1億円を資金調達するハードルではリアルに前者の方が100倍は高いと思います。

身の丈を超えた急成長を志す過程では、必ず資本にレバレッジをかけて投資をするフェーズが来るということです。なので調達環境が良いことは基本的に素晴らしいことであり、調達をした企業が大胆に投資をして勢いよく成長して、上場しても株価の騰落率は何倍にもなり、IPOで調達したお金でもっと投資したりM&Aをしたりと、まさに資本にレバレッジをかけまくってメガサイズのスタートアップがたくさん生まれたのが2021年まででした。

資本市場は急速に逆回転し始める

実体経済の数倍もある金融経済ですが、定期的にバブルが弾けます。何が引き金かはその時々に違うでしょうが、膨張して弾けてを繰り返すようにできてます。

一度バブルが弾ける、もしくはバブル崩壊とまではいかなくとも調整局面に入ると、もう目も当てられないほどに株価が下がっていきます。Amazonはドットコムバブルで株価が95%吹き飛びました。

未上場株の株価(private market)は上場株の株価(public market)に必ず追従します。上場企業の株価が1/3になれば、未上場企業の株価も1/3になるのが自然の理です。

株価が1/3になれば、調達金額も1/3になります。異常とも言えるバーンレートを許容してでもグロースを求められていたわけですから、資金調達ができなくなると企業の存続を揺るがす大きい出来事になります。

米系のスタートアップであれば増やした人員はリストラすればいいでしょう。でも解雇規制の強い日本では、増やした人員をバッサリと減らすなんてことは法律的にも倫理的にも許されません。

増え上がった固定費をまかなうほどに売上が伸びるわけでもなく、そもそも良い調達環境に身を委ねてビジネスモデル上無理がある固定費ラインを引いているケースも少なくはないと思います。

顧客の持つニーズ / ペインは変わらない

ではマーケットがクラッシュして資本市場が逆回転し始めたとして、もちろん金融経済と実体経済はリンクしていますので、最終的に多大な影響が及んできます。

一方でサイバーエージェントはドットコムバブルが弾けた後、成長スピードは減退したのでしょうか?リーマンショックのときのAmazonは?

みんな大好きジェフ・ベゾスさんのこの動画を見ていただきたいです。たった5分だけど最高すぎる。しびれる。

記者か投資家かわかりませんが、流通センターを作りまくっているAmazonに対して「Amazonはピュアインターネットの会社ではない。倉庫を持って、たくさん人を雇って、すごいギャンブルをしている。投資家もよく思ってない」というような揶揄をしています。

それに対するベゾスの回答が「Amazonがインターネット企業かどうかは関係ない。とにかく顧客に狂うんだ(obssess over customers)。長い目で見て顧客の利益と株主の利益はまったく違うことはない。」なんですよね。

バブルが崩壊したからといって、便利なAmazonのサービスを使わなくなる、YouTube / TikTok / Netflixを見なくなる、Microsoft Officeを解約する、なんてことには絶対になりません。顧客の行動は逆回転しません。

最終的に利益を出すのが経営者の仕事

弊社のメイン株主であるXTechVenturesの西條さんとご一緒していた時に「PERは20倍くらいで考えるほうが健全だよ。1000億を目指すなら営業利益80億円は出したいよね」と言われて、非常に納得しました。

また、ある株主に「PERをどうつけていくか」という相談をした際に「PERは純利益を掛け算するんだ。蜃気楼みたいなもんじゃないか。純利益が実態だよ」と叱られたことがあります。

もちろんPERをつけるのも経営者の大事な仕事です。決してどちらかではないわけですから。PER20倍よりは200倍の方がいいには決まってます。

でも、最終的に利益が出るから企業は存続するという順番を間違えてしまうと、資本市場の逆回転をもろに受けてしまうことになると思っています。

時価総額、純利益、社員の平均年収、社員数、成長率など何を一番大事な指標にするかは経営者の考え方次第であり、多種多様な経営のスタイルがあります。

Nateeという会社は、資本市場をうまく活用しながらも、顧客に対して価値提供をきちんと積み上げていく、そんな会社にしていきたいと思っていますし、利益が最終的にすべての原資となり、時価総額も社員の平均年収も最大化されるだろうと思っています。

もちろんフェーズによってシェアを取りに行くときは赤字でも攻めるべきだし、利益を出しに行くときは贅沢になったコストを極限まで絞っていくという全然違う筋肉になるので赤字がダメとかそういう話ではまったくありませんが、少なくとも外部調達に頼り切らずにビジネスモデルの健全性は確認しながら経営したいと常日頃から思っています。

おわりに

Nateeは「スタートアップ冬の時代こそチャンス!」と思って、毎月5-8名が入社するくらい、積極的な採用を実施しています!ショートムービーに興味がある方、クリエイターエコノミーが好きな方、スタートアップで青春したい方、経営に近い距離で圧倒的に成長したい方、ぜひ気軽にTwitterのDMでもサイト経由でもご連絡くださると嬉しいです!

あと最後に下のいいねもポチッとした後に、noteの感想をTwitterでシェアもお願いします!

サポートいただいた方には一人一人に感謝の返信を差し上げたいと思います!いつもサポートありがとうございます。