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ヤン・ウェンリーの言葉(銀河英雄伝説)

銀河英雄伝説の最新刊読んで泣きじゃくってしまいました…。

銀河英雄伝説は何十年も前から小説・漫画・アニメが展開されていますが、ずっと読んだことがありませんでした。

2年ほど前にある取材を受けた際に「麻野さんのそういう考えってヤン・ウェンリーっぽいですね」って言われて気になって現在連載中のリバイバル版の漫画を読むようになりました。

銀河英雄伝説は極めて雑に簡単に言うと宇宙を舞台に帝国軍のラインハルト・フォン・ローエングラムと同盟軍のヤン・ウェンリーの2人の英雄の戦いを描いた壮大な物語です。

尊敬する人物は誰かと聞かれたらヤン・ウェンリーと答えるくらい銀河英雄伝説が好きです。

仕事してて、「こういう時、ヤン・ウェンリーってどうするだろうな」って考える時があるくらい影響を受けています(笑)

文字にしてしまうと文脈がないので陳腐になってしまうんですが、僕が好きなヤン・ウェンリーの名言をまとめてみます。

ガチファンの方々にしたら薄い書評だと思いますし、ご容赦下さい(笑)

(ヤン・ウェンリーのコメントはTwitter botから取らせてもらいました)

●戦略


「戦術レベルでは奇跡も偶然もおこりっこない。だから戦略こそ、ほんとうに思考する価値があるんだよ」
「吾々は戦略的にきわめて不利な立場にあるし、戦術レベルでの勝利が戦略レベルでの敗北をつぐなえないというのは軍事上の常識だ」
「戦場に着くまでは補給が、着いてからは指揮官の質が、勝敗を左右する」
「戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属するというわけさ」
「戦略を読め。予測内の思考をするのは凡人。予測を超える思考ができて名将だ」
「心配するな。私の命令に従えば助かる。生還したいものは落ち着いて私の指示に従ってほしい。わが部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ」
「信念で勝てるのなら、これほど楽なことはない。誰だって勝ちたいんだから」
「運命というならまだしも宿命というのは実に嫌な言葉だねぇ。二重の意味で人間を侮辱している。一つには状況を分析する思考を停止させ、もう一つには人間の自由意志を価値の低いものとみなしてしまう」
「私は 流した血の量に値するだけの何かをやれるのだろうか?」
(ミンツの言葉)「みんな圧倒されて言葉もなかった。宇宙の中のたったひとりがこんなにも宇宙全体のことを考えられるのかと。でも僕だけは知っているんだ。ヤン提督はときどき深夜までひとりで机に向かって何時間も動かず考え事に集中なさる。これは数ヶ月に渡る知的格闘の結実なのだ」
(ミンツの言葉)「ご安心下さい!ヤン・ウェンリー提督は勝算のない戦いはなさいません!!」


「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリーの魅力はやっぱり戦術眼ですよね。

・戦術で戦略的な優位や劣位は決して覆せない。戦闘が始まってからは戦術が大事だが、戦闘が始まる前の兵站はそれ以上に大切

・だからこそ、指揮官が戦略・戦術・兵站にあらゆる角度から徹底的に思考を巡らせる必要がある

・そうしなければ戦場の兵士の努力や頑張りがすべて無に期してしまうから

そんな考えがヤン・ウェンリーの根底にあるからこそ、卓越した戦略や戦術が生まれてくると感じさせられます。

言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、銀河英雄伝説の壮大で緻密なストーリーと共にこれらの言葉を読むと心の深いところまで沁み込んできます。

ビジネスにおいても、勝てる戦略・戦術・兵站を描けない・授けられないリーダーはメンバーの時間を無駄にしますよね。

戦争と違ってビジネスではメンバーの命まで取られることはないんですが、リーダーの役割の重さというのを感じさせられます。

逆に勝てる戦略・戦術・兵站なしに現場のメンバーに努力を求め、責任を問うリーダーの振る舞いの愚かさも身にしみます。

ヤン・ウェンリーの指揮を見ていると、宇宙全体を俯瞰して見る「鳥の目」、目の前の戦場の細かな状況を掴む「虫の目」、過去から現在の流れの先にどのような未来があると読むかという「魚の目」がなければ適切な戦略や戦術は決して描けないとも感じます。

リーダーって本当に気が休まることがない仕事だよなとも思います。

●リーダーへの統治や牽制


「私がきらいなのは、自分だけ安全な場所に隠れて戦争を賛美し、愛国心を強調し、他人を戦場にかりたてて後方で安楽な生活を送るような輩です。こういう連中と同じ旗のもとにいるのは、耐えがたい苦痛です」
「地位が上がるにつれて、発想が不純になっていくのがよくわかるよ」
「どうも勝つことばかり考えていると、人間は際限なく卑しくなるものだなぁ」
「専制とは、市民から選ばれない為政者が権力によって市民の自由を奪い、支配することだ」
「民主主義とは力を持ったものの自制にこそ真髄があるからだ。強者の自制を法律と挙行によって制度化したのが民主主義なんだ」
「私は最悪の民主政治でも、最良の専制政治に優ると思っている」


銀河英雄伝説は専制君主制の帝国軍と民主制の同盟軍のぶつかり合いを描く物語でもあります。

どのような統治システムが優れているかは人それぞれ意見が分かれるところだと思うんですが、僕はヤン・ウェンリーの考え方がかなり好きです。

特に「権力は必ず腐敗する」という描写が特に心に残っていて、ナレッジワークを創業以来自分をどのようなガバナンスの中に身を置くかというのはこだわりを持って取り組んできたところではあります。

会社における創業オーナー経営者って下手をすると一国の大統領よりも会社の中においては権限を持つので、自分の都合の良い考えを持ってしまわないかは怖いなと思っています。

また、「戦場の兵士の痛みを分からない指導者や指揮官ほど醜いものはない」というのはヤン・ウェンリーだけでなく銀河英雄伝説におけるもう一人の英雄であるラインハルトの描写からも感じさせられます。

リーダーとして戦略や戦術の目線と共に現場のメンバーの視点を持ち、共に挑む姿勢を持ち続けたいと思わされます。

●組織と個人


「懸かっているのはたかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば、大した価値のあるものじゃない」
「人が必ずいつか死ぬように、国家だって永遠にして不滅のものじゃない。国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ」
「ユリアン、戦っている相手国の民衆なんてどうなってもいい、などという考えかただけはしないでくれ。(中略)国家というサングラスをかけて事象をながめると、視野がせまくなるし遠くも見えなくなる。できるだけ、敵味方にこだわらない考えかたをしてほしいんだ」
「いいか、ユリアン、誰の人生でもない、お前の人生だ。まず、自分自身のために生きることを考えるんだ」
「つまり、祖国のためとか、命を懸けてとかじゃなくて、その…うまい紅茶を飲めるのは生きている間だけだから、みんな、死なないように戦い抜こう」


ヤン・ウェンリーからは「国家と個人」に関するコメントが多々出てきます。

こちらのテーマも人によって色々な意見があると思うんですが、「国家というのは人間が作り出した虚構であり、人間の存在を超越するような絶対的なものではない」という考えは自分にも影響を与えています。

会社というのは人間を幸せにするために作られたはずであり、顧客や組織に所属するひとりひとりの人間の幸福を超越するようなものではないという考えは持ち続けたいなと思います。

特にひとりひとりの健康や家族を蝕むような組織にしてはならないと思いますし、顧客の存在をないがしろにしてまで会社の業績を求めなくて良いとも思います。

また採用や退職において応募者や社員と向き合う際に、最終的には会社よりも個人の幸せを優先してもらいたいなとも感じます。

●正義


「私は、あなたの主張に対してアンチ・テーゼを提出しているにすぎません。ひとつの正義に対して、逆の方角に等量等質の正義が必ず存在するのではないかと私は思っていますので、それを申しあげてみただけのことです」
「人間の歴史に『絶対的な善と絶対的な悪の戦い』など存在しない。あるのは、主観的な善と主観的な善との争いであり、正義の信念と正義の信念の相克である」
「絶対的な善と完全な悪が存在する、という考えは、おそらく人間の精神をかぎりなく荒廃させるだろう」


ヤン・ウェンリーは一貫して「正義の反対は悪ではなく、正義の反対は正義である」というスタンスを持ち続け、敵側である帝国軍も悪とみなすことはありません。

会社を創業し、理念を掲げ、人生を賭けてビジネスをしていると創業者は社外においても社内においても自分や自分の考えを絶対善と捉えてしまいがちな気もしますが、相手の中にも正義や善があるということを忘れたくないなと思います。

●周囲との関係


「君がいてくれないと困る。私はものおぼえが悪いし、メカにも弱いし、有能な副官が必要なんだ」


ヤン・ウェンリーには結構抜けているところがあり(射撃が苦手、事務処理が苦手、機械が苦手、部屋が散らかってるなど)、そこを白兵戦のアッテンボロー、事務方のキャゼルヌ、副官のグリーンヒル、そしてミンツくんが埋めていきます。

(逆に、もうひとりの英雄のラインハルトは完全無欠の覇者として描かれます)

誰しもに弱みがありますが、自分の弱みを隠さず曝け出すことで周囲のメンバーの才能を活かしているところも、凄く好きなところではあります。

異なる個性や才能を持ったメンバー同士がお互いの強みで弱みを補うチームが僕はやっぱり好きですねぇ。


以上、自分の備忘録を含めて書いてみました。

自分でも何のために書いているか不明ですが(笑)、採用担当のメンバーとnoteもうちょっと更新すると約束したので会社とは全く関係ないですが書いてみました。


いやぁ、最新刊21巻はp179とp180で本当に息を飲みました。そして泣きました。(結末は知っているんですが…)

私欲と保身にまみれた指導者の醜さと言ったらないし、信念を貫いた指揮官の美しさも言葉にし難いものがありました。

勝つことは大事だけれどもそれ自体が目的ではなく手段であり、自らの信条に従って美しく生きることこそがその先の真の目的ではないかと考えさせられました。

書いてたら「銀河英雄伝説」について誰かと飲みながら話したくなってきました(笑)

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