スティーブ・ジョブズの生声

ナレッジワーク麻野です。

ふと本屋で手に取った「スティーブ・ジョブズの生声」という書籍がとても心に残りました。

ベタですが(笑)、スティーブ・ジョブズが大好きで、伝記も読んだし、映画も見たんですが、本人の発言だけを集めた本書はめちゃくちゃ良かったです。

忘れないように、書き留めておきたい箇所を記しておきます。

僕は世の中を驚かせるようなプロダクトを発明したくて起業をしたんですが、当然日々経営をしていると目の前の数字の圧力もあるので、知らず知らずのうちにそちらに目が行ってしまいそうになります。

まだまだ発明と言えるプロダクトにはなっていないので、基準をもっともっと高く持って、プロダクトづくりに取り組んでいきたいと思います。

●アーティスト

(初代Macintoshのケースの金型にサインを刻んだ、47名のMacチームメンバーに対して)アーティストは、自分の作品にサインするものだ。

アーティストとして創造的な人生を送りたいなら、過去を振り返りすぎてはいけない。これまで自分が何をしてきたとしても、どんな人間であったとしても、そのすべてを受け入れ、捨て去る勇気がなければならない。

アーティストの才能というのは、身の周りにある物事の本質を見抜く力のことだと思う。そういう洞察力を持った人は、誰もやったことのない方法で物事を組み合わせ、それを洞察力のない人にも分かる方法で表現できるんだ。

最終的にはセンスにつきる。人類がつくり出してきた最高のものに触れ、それを自分自身が作り出すものに取り入れられるかどうかだよ。ピカソは「優れたアーティストは真似る。偉大なアーティストは盗む」と言った。素晴らしいアイデアがあれば、我々はいつだって堂々と盗んできた。Macintoshが素晴らしい製品になった理由の1つは、それをつくった人たちがミュージシャンや詩人、アーティスト、動物学者、歴史家だったからだと思う。彼らが、たまたま世界最高のコンピュータ技術者でもあったということだ。

●クラフトマンシップ(こだわり)

自分たちがつくれる最高のものをつくりたかっただけさ。例えば、家具職人が立派なベニヤ板なんて使わないよね。壁に面して誰にも見えなくても、自分にはその存在が分かっているから立派な板を使うんだ。夜、ぐっすり眠りたかったら、美しさや品質へのこだわりを最後まで貫くべきだよ。

(Mac OS のAquaユーザーインタフェースについて)
画面上の押しボタンをかっこよくしたんだ。なめたくなるほどだよ。

アップルでは、あらゆるものに対し「ユーザーにとってどれだけ簡単になるか?ユーザーにとってどれだけ素晴らしいものになるか?」と問いかけている。
それはピクサーも同じだ。
映画界の人たちはみな、よいアニメ映画をつくるには一にもニにもストーリーだって言うだろ。
でも、実際に映画をつくる時、ストーリーに問題があっても製作を中断しない。
ちゃんとお金をかけてストーリーを修正しようとしないんだよ。まさにこれと同じことがソフトウェアのビジネスでも言える。
「ああ、最も大事なのはユーザーだ」とみんな言うけど、うち以外は口先だけだね。

これをエンジニアのところに持っていったら、案の定「ちょっとこれは」と言われた。できない理由を38個も並べてね。
「だめだ、もうやることに決まってる」って話すと、「えっ、なぜですか?」と言う。
それで、「CEOは私だ。その私ができると考えているからだ」と答えたら、しぶしぶ従ったよ。でも、これがのちに大ヒットしたんだ。

何か問題を解決しようとする時、最初に思いつく解決方法というのは非常にややこしいものになる。
たいていの人はそこでやめてしまう。ところが、継続して問題に向き合い、タマネギの皮を1枚1枚むいていくようにすると、非常にエレガントでシンプルな解決方法にたどり着くことが多いんだ。たいていの人は、そこまで時間をかけて努力していない。消費者は賢いから、しっかり考え抜かれたものを求めていると思う。

「フォーカスする」とは、フォーカスすべきものに対して「イエス」と言うことだとみな思っている。だが、決してそうではない。他の100のよいアイデアに「ノー」と言うことだ。しっかり考えて選別しなければならない。私は選んだものと同じくらい、選ばなかったものにも誇りを持っている。

●ビジョン

アップルのみんなを結びつけていたのは、ここなら世界を変えられるようなものがつくれるってことだった。それがとても大きな意味を持っていた。

ところで、アップルとは何なのだろうか?アップルとは「既成概念にとらわれない」考え方をする人たちのことだ。

ただ仕事をこなすのではなく、コンピュータを使って世界を変えたい、創意あふれるものづくりをしたいと考える人たちのことだ。

イノベーションは、研究開発費の大きさとは関係ない。
アップルがMacを開発していた頃、IBMはその100倍以上の研究開発費を使っていた。要はお金じゃないんだよ。肝心なのは人であり、人をどのように導くか、そして人がどれだけのことを理解できるかだ。

Lisaの担当者は「何か偉大なことを成し遂げたい」と思っていた。Macの担当者は「何かとてつもなく偉大なことを成し遂げたい」と思っている。その違いは明白だよ。

●デザイン

デザインっていうのは面白い言葉だ。見た目のことだと考えている人もいるが、もっと深く掘り下げてみると実は機能のことなんだ。Macのデザインとは「どう見えるか」ではない。部分的にはそうとも言えるが、本質的には「どう機能するか」ってことなんだよ。

たいていの人は、デザインという言葉にベニヤ(うわべを飾るもの)の意味があると理解している。しかし、私に言わせれば、デザインにそんな意味はまったくない。デザインとは人間の創造物の根底にある魂であり、それが最終的に製品やサービスの外層に現れてくるのだ。


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