オンライン講座でヘンリー・ジェイムズ『デイジー・ミラー』を読みました
2024年4月3日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「文庫で味わうアメリカ文学」で、ヘンリー・ジェイムズの『デイジー・ミラー』(新潮文庫)を取り上げました。
ヨーロッパ暮らしの長いウィンターボーンという青年が、アメリカから来たばかりの美しい女性、デイジーと出会います。常に好奇心旺盛で、自分のしたいことを追求するデイジーに対して、ウィンターボーンは戸惑いながらも強く引かれます。しかし、深い関係を築くこともできず、お互いを理解しようとしても結局はすれ違い、イタリアでの悲劇へと突入します。
僕はもともとヘンリー・ジェイムズの作品が大好きで、お互いに相手の気持ちを理解しようとしながら、結局は考えすぎるばかりで全然分からない、というところに魅力を感じています。受講生の皆さんも、この奇妙なヘンリー・ジェイムズの味わいを大いに楽しんでくれました。
うまく感情表現ができず、道徳的なことを言うばかりのウィンターボーンに苛立つデイジーの視点から読んでくれた方もいれば、逆にデイジーの気持ちがわからないウィンターボーンの悲しい恋に寄り添って読んでくれた人もいて、なかなか楽しかったです。夏目漱石の『三四郎』と味わいが似ているという指摘もあり、これにははっとさせられました。皆さん、なかなか洞察が深いですよね。勉強になりました。
次回は5月8日、課題図書はサローヤンの『僕の名はアラム』です。これもとても楽しみです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?