オンライン講座でカレン・ラッセル「狼少女たちの聖ルーシー寮」を読みました
1月24日水曜日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「英語で読みたい!アメリカ文学」で、カレン・ラッセルの短篇「狼少女たちの聖ルーシー寮」を読みました。
主人公となるのは狼人間の少女たちで、男女に分けられた上、人間の営むカトリックの修道院に入れられます。そこで人間の言葉や行動などを徹底的にしこまれ、狼と人間両方の世界に適応できるよう教育されます。
とは言え、その教育は全然うまくいきません。進みの早い生徒と遅い生徒の間で確執が生まれ、さらに人間に抵抗し続ける生徒は最終的に追い出され、いないことになってしまいます。主人公も戸惑いながらも、人間に同化することを選びます。
それでも、結局は完全に人間になることはできず、かといって、元の狼のコミュニティに戻ることもできません。なかなか辛い話ですね。
受講生の方々はそれぞれ、田舎から都会に出て行った時のことや、社会人として会社に入った後のことなど、自分に引き付けながら、すごく共感して読んでくれました。その他にも、ネイティヴ・アメリカンやアボリジニの同化政策など、歴史的な観点から論じてくれた方もいて、大いに盛り上がりました。
この作品で一番切ないのは、人間に良く思われるために、自分を助けてくれた仲間を語り手が裏切るところでしょう。語り手の気持ちも仲間の気持ちもよくわかって、とても切なかったです。
次回は2月21日で、ケン・リュウの短篇「紙の動物園」を読みます。これも楽しみです。
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