甚大な米利上げのインパクト どこから資金が消えていくのか 新興市場・仮想通貨は厳しい局面
米利上げは、今しばらく続きそうです。そのため、アジア新興国からの資金流出は、利上げについていけない国・地域からは続きそうです。株価は調整されます。
より、懸念されるのが、マネーの新興市場、いわゆるベンチャー市場からの流出です。これまで特にテック系スタートアップ企業には、コロナ禍での低金利という追い風が吹いていましたが、完全に逆風になりました。アジアでもスタートアップ企業のリストラが相次ぎ、優勝劣負が明白になりそうです。
テック企業は、これまでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)×SX(サステナビリティトランスフォーメーション)という期待先行で資金調達ができましたが、資金繰りは綱渡りのケースが多いのが実情です。実績が伴わないと判断されると、資金返済が重しになってきます。期待が現実に変わる、シビアな局面を迎えています。
さらにシビアなのが、仮想通貨などでしょう。仮想通貨には中央銀行がありません。リアル通貨が急速な利上げ局面になった場合は、仮想通貨はより大きな影響を受けます。
https://www.asiafinancial.com/bitcoin-recoups-some-losses-after-fed-hikes-interest-rates
ドル高の際は、通常は原油安になりますが、今回は、ドル・原油などのエネルギー高になっています。それだけ、新興国・新興市場・仮想市場から、全面的にドル・エネルギーに資金が還流していることになります。
それでは、果たして、ドル高の勝者はだれなのか?米国は勝者なのか?
実際は複雑です。米国の狙いは、まずは国内のインフレ抑制ですが、基軸通貨であるだけに、急激な利上げが世界への影響が甚大であることは理解されています。さらに、選挙の度に、国内の製造業振興が大きな政策課題になるなかで、ドル高は、中国、ベトナム、日本、韓国などに、塩を送る形になっているとも言えるでしょう。
マネーは基本的に臆病者ですので、いざとう時(リスクオフ)では、安全なもの、確実性が高いものに集まります。リスクオフの局面では、当面、より脆弱と見込まれる部分から、資金は流出していきます。現在は、そのため、新興市場や仮想市場から、資金流出が起きていることになります。ひとまず米利上げが一服するまで、この潮流には抗えません。
他方で、集まり過ぎたマネーは、キャッシュを持て余してしまうことになります。世界の分断で、中国はもとより、新興国などへのM&Aなどでキャッシュを使う場面は減りそうですので、いずれ持て余しが問題になりそうです。この局面は、次の段階として精緻なフォローが必要になりそうです。
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