サウジアラビアのムハンマド皇太子は、韓国に次いで、日本はスルーで、中国を訪問。世界最大級の石油消費国(まだ一位は米国)の中国と石油産油国のサウジの連携強化は、世界の耳目を集めています。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/12/e6c1a6393f53712f.html


実は、中国にとっては、サウジは石油輸入先として1位ではありません。アンゴラや、スーダン・南スーダンなど、中国石油(CNPC)が上流の権益を抑えている国に比べると、サウジの重要性はそこまでは高くない・・・のが実情ですが、いかんせん、そもそもの石油の輸入量自体が多く、調達先は多角化、さらに、安価であることが必須ですので、サウジ重視は理にかなっています。

そのため、2国間で様々な合意がなされていますが、
気になるのは、「THE LINE」というサウジのスマートシティ計画で、なんと900万人が居住するというという壮大な近未来都市計画がある点です。
ここに、2国間合意のAI、クラウド、次世代通信などで、中国がコミットしていくのではないかと推察されます。


さらに、2国間で人民元決済を広げて、伝統的な石油≒ドル決済に少なからず風穴を開けようという動きもうかがえます。

足元は化石燃料の高止まりが続いていますが、長い目でみれば、脱炭素の流れから化石燃料の将来性は不透明です。キャッシュリッチな今、新分野に投資しておかねばというのは、オイルメジャーも、日本の石油元売りも同じであり、その大元締めともいえるサウジもまた、巨額のオイルマネーがあるうちに、次の産業を育てておかねば・・・そういう焦りは強いはずです。

そのために、サウジは、脱化石燃料のf布石となる「ビジョン2030」を打ち出していますが、そのパートナーとして、日本も含め、米国、韓国、中国など様々なところに打診をしているわけですが、

ここに来て、中国の存在感が目立ってきた感は否めません。
日本にとって、サウジは石油の最大の輸入先であり、そっぽを向かれてしまったらアウトです。そのため、今回の日本スルーもあって、警戒感が相当に高まっています。

元々は、米国はサウジとは蜜月でしたが、米国が国内のシェールオイルを手に入れてからは、2国間関係は、少し距離感のあるものに変わってきています。日本が米国べったりでは、足元をすくわれかねません。

情勢は厳しいのですが、アジアでやってきた日本の技術・ノウハウ支援の経験は、サウジを筆頭とする中東でも活きるはずです。

足元は超キャッシュリッチ、他方で、長期では脱炭素の大波到来の危惧を抱える中東と、どのように付き合うのか、経済安保の時代に入って、重たい課題が増えていることを認識しておく必要がありそうです。

中国とサウジは、最強タッグとなる可能性を秘めます。他方で、そうであるが故に世界は警戒しますし、強者同士の最強タッグに仲間割れはつきものですので、その警戒を和らげる役割を、日本は担える気が致しますし、3人タッグに持っていくしたたかさも必要なように思えます。

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