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前回の続きです。

第三に、ASEAN大陸部(図表2)は、中国経済との一体化を強めていくと予想します。筆者は、米中対峙は超長期化するとみており、25年後、相当程度デカップリングは進展しているとみています。

米中デタントも一時的にはありえますが、ASEAN大陸部は、民主化の遅れもあって、地理的に隣接する中国との経済的な一体化をより一層強めると見込んでいます。

そのことは、ASEAN大陸部が世界の工場の地位を得るうえでは、必ずしもマイナスとはならないでしょう。インドもまた、ASEAN大陸部への関心を高めるでしょうが、そこまで影響力は高まらず、むしろ、地理的優位性から中東・アフリカ地域で存在感を高めていくのではないでしょうか。

(図表2)ASEAN大陸部とASEAN島嶼部の地図

(出所)外務省


第四に、ASEAN島嶼部(図表2)は、日米豪などアジア太平洋諸国との関係を深めていくと予想します。民主化の進展する島嶼部において、中国の影響力は、大陸部ほどは浸透しないのではないでしょうか。

さらに島嶼部は、人口動態から、ASEANの市場に変質するでしょう。インドネシアとフィリピンの2カ国だけで約5億人の人口を抱えることになり(図表3)、バーゲニングパワーは高まるでしょう。

(図表3)日本とASEAN主要国(一部抜粋)の人口予測

(注)中位推計
(出所)UN, World Population Prospects(2022)

(続く)

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